海部俊樹の発言 (予算委員会)

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○海部内閣総理大臣 市川委員御指摘のように、昨年の法案審議の中でのいろいろな議論の中で、日本国憲法でなしてはならないことは、武力による威嚇もしくは武力の行使である、いわゆる海外派兵と言われるものは、武装集団が武力行使の目的を持って他国の領土、領海、領空へ行くことである、そういうことは私も何度も申し上げましたし、同時に、この間の法案には、そのことはしないということを条文にきちっと書いて御審議をお願いしたのでありましたが、議論の中では、それは憲法違反になる、それは戦争につながる、いろいろな御指摘があったことも、これは事実でございました。
 そのことを念頭に置きながら、私は今の御質問にお答え申し上げるとすれば、確かにおっしゃったように、あの法案が審議未了で廃案になったときに、我が党と、失礼しました、自由民主党と公明党、そして民社党との間で三党合意をいただき、今御指摘のようにいろいろなことを成案を得るべく、これは新しい国際化時代に国際協調主義を述べておる日本の憲法の宣言の理念からいきましても、何もしないでいいということではない。憲法の枠の中で、武力行使を伴わないものであるなれば許されるものがあるはずだ。それは人に関する問題で、お金の問題もいろいろあるはずだ。それは三党合意を踏まえて成案を得るための努力を政府は今鋭意努めております。
 それから、今回のこのことは、まさかサダム・フセインというような横紙破りの人があのようなことをする、それによって現実に避難民がたくさん出てきておる。人道上の立場でこれは対処しなきゃならぬ。そのときには、前回の御議論になったような軍事面ではないところで、憲法の禁止する武力行使を伴わない面で協力できる面はあるのではないだろうか。できる限りの努力をすべきであるということを誓っておりますし、また、いずれの国家も、自分の国のことのみに専念して他国を無視してはならないということも、日本は憲法の前文で理念として宣言しておるわけでありますから、他国の避難民の人たちが現にいらっしゃる、それを国連の委託を受けた国際機関がこれの本国への移送その他について要請をする。私どももいろいろな場面を考えました。そうして第一回目の具体的な要請については、これは民間機にお願いをして既に処置も始めております。けれども、どうしてもそれができない場合があり得る。
 例えば示唆の一つとして、今度もIOMからのお話によれば、どうしても集まるところはアンマンの周辺とか、それからカイロまではどうやって運ぶのか、カイロからはどうやって運ぶのか、いろいろ具体的な示唆もあります。民間にお願いできるのはカイロからの路線であるということは何回もいろんな角度から協力を要請したわけです。具体的要請があった場合におこたえができませんというのでは、日本ができる限りのことをする、憲法違反にならない武力行使以外のことでできる限りのことはすると言った以上、できるようなこちら側の準備と心構えをしっかりしておく必要があるというので、いろいろなことを考えてきました。
 そうして、自衛隊法の第百条の五というところに、国賓、内閣総理大臣及び政令で定める者を輸送することができると、こう法律に明文で明確な規定がございます。――それは横紙破りじゃなくて、法律を素直に読んでください。「政令で定める者」と書いてあるんですよ。総理大臣以外は運んじゃいけないなんという書き方じゃないのです。ですから、例示的に出ておって、そしてプラス「政令で定める者」と出ておるわけですから、私は素直にその条文を読んで、それでは政令できちっと定めて、避難民の人の移送で、いろいろな場合があって、必要なときには対応することが、日本が国際化時代に極めて人道的な立場で世界に向かって汗を流す対応の一つではないか、こう思ったから政府の責任で政令に踏み切ったわけでありますから、それはどうぞ御理解をいただきたいと考えます。

発言情報

speech_id: 112005261X00619910205_011

発言者: 海部俊樹

speaker_id: 5376

日付: 1991-02-05

院: 衆議院

会議名: 予算委員会