海部俊樹の発言 (予算委員会)

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○海部内閣総理大臣 松永議員がおっしゃるように、今回の湾岸に起こっておる問題の一番の根本は、昨年の八月二日イラクがクウェートを武力で侵略をし併合をした、そこから問題が始まったわけでありますし、またおっしゃるようなことは世間でもいろいろな角度から議論せられ、きょうも私は朝、新聞の社説で湾岸問題の本質を見誤るなという一文を読んで、今委員の御質問と非常に重なる点が多い。要するに、東西の力の対決というものが、力による均衡の中で、あるときは恐怖の均衡とか、あるときは力の均衡とか言いながら世界の平和のバランスをとってきた。世界が平和でいくための枠組みは東西の冷戦であったと言われた時期もありましたが、それを乗り越えて、そして国連が初めて安全保障理事会でも平和を果たしていかなければならぬという立場で機能するようになってきた。
 極端に言えば、歴史の流れの希望を打ち砕くようなイラクの暴挙でありますし、また我々は、新しい世界の理想というものは、日本は平和主義であり、国際協調主義であり、憲法第九条にも「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、」と書いておるわけでありまして、私どもは、正義と秩序を基調とする国際平和を力でもって乱すことはしてはならぬというのがこれからの平和な世界の中においてまず守らなければならない基本的なルールだと思うのです。
 今度、このイラクの行為、これでクウェートがどれだけ長い間、半年近くにわたって国民が虐げられ、苦しみ、主権を侵されてそれっ切りになっておるか。これをただ武力行使はだめだ、だめだ、すぐに停戦だ、公正な平和じゃなく物事の本質を見誤った解決をしてしまいますと、何か力で侵略されたときには、された方はされるがままで黙って耐えていなければならぬのかという深刻な疑問が出てまいります。非武装中立で、そういうときは降伏した方がいい場合もあるよということ
が言えるならばいいのですけれども、降伏する、世界の正義がなくなる、正義と秩序のない世界の平和は日本国憲法でも求めておるものではありません。
 したがって、私どもは、国連が何回も決議してイラクに強い反省を求め、クウェートからの撤退を再三にわたる決議で国際社会の総意として求めたのですが、残念ながら反省も、撤退の意思表示すらされなかった。それどころか、イラクはクウェートを絶対手放さない。それでは国際社会の秩序は守られなくて、強い者が弱い者を勝手に、恣意に虐げるということを認めてはいけませんから、国連憲章に定められた国連の意思によって武力の行使をして平和を回復する、これ以上の平和の破壊は許さないという行動が起こっておるのが一月の十七日からの現象だろうと思いますから、あくまで正義と秩序を基調とする国際平和をきちっとつくれ。
 せっかく戦後四十五年、東西の対決が終わって、米ソの対立が終わって、イデオロギーの対立が終末を迎えつつあって、自由と民主主義に基づく世界の平和があらわれようとしておるときでありますから、力による他国の侵略は許さないという鉄則は、国際社会全員の意思として、おっしゃったように国連の権威としてこれは守り抜かれなければならぬことでありまして、あくまでイラクにクウェートからの撤兵、反省を強く迫っていかなければ問題の根本的な解決はできない。私は委員と全く同じ考えを持っております。

発言情報

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発言者: 海部俊樹

speaker_id: 5376

日付: 1991-02-14

院: 衆議院

会議名: 予算委員会