岸本重陳の発言 (予算委員会公聴会)

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○岸本公述人 真の豊かさを実現するためには、やはり住居というものが人間的なさまざまな必要を満たせるだけの広さがなきゃいかぬわけですね。例えば近所あるいは友達づき合いを我が家でやる。欧米でしたらパーティーをよく自宅で開きます。しかし日本では、二、三十人集まってパーティーを開けるような住居を持つということはよほどの限られた人でございますね。そういう人間的なさまざまな活動を可能にする住居というのがポイントであって、その住居の下には土地がなきゃいけないから、当然土地の問題が絡んでくるわけでございますが、土地の価格の問題とある意味ではもう切り離して住宅政策を考えていく、こんな必要が生じているのじゃないかと思いますね。土地価格を下げて、普通のサラリーマンが、まじめに働いている人が土地を入手しやすくする、これは口で言うのは簡単だけれども、先ほど言ったように、九倍も開きが出てきたやつをどうやってもう一遍一対一のところまで戻すか、これをどれくらいの期間をかけてやるか、なかなか容易なことではないですね。そうなりますと、土地価格の問題と切り離して住宅供給、快適なしかるべき住宅供給を行う方策、これはやっぱり真剣に考えていく必要がある。これは例えば、それだけでいいとは私申しませんが、公的な賃貸住宅というものの供給を本格的にふやしていくというようなことが必要でしょうね。しかし、公的賃貸住宅が、家賃が二十七万円だ、四十二万円だとなっちゃったら、これはまた入れる人が限られちゃうわけで、そういうときに、例えば傾斜家賃制度なり応能負担の制度なりというのが考えられてもいいのではないかと思います。
 念のために追加させていただきますが、しばしば日本では国土が狭いから土地の値段が高いのはやむを得ないという考え方がございますが、これはやはり根本的に間違っていると言わざるを得ません。なぜならば、現在三十八万平方キロの国土を、一億二千三百四十五万六千七百八十九人、去年日本の人口はこの数字を記録しているわけですが、この人口で割りまして一人当たり国土面積を出せば三千三百平米、千坪。国民一人当たり千坪の国土というのは狭いといえば狭い。しかし、現にその中から二十九坪を住宅地に使っているわけでありまして、したがいまして、標準世帯、四人家族で考えますと、一世帯当たり百十六坪の宅地が現に存在するというわけであります。したがって、地域的な分散あるいは人と人の間での分配よろしきを得れば、日本で現状一世帯当たり百十六坪の宅地は利用可能である。そういうふうに考えますと、住宅問題の、あるいは土地問題の解決は決して絶望ではないはずだというふうに言えると思います。国土の狭さをどこかで口実にして、まあ日本の土地の値段高くても仕方がないやという、そういう認識を持っているとやっぱり対策がぐずぐずになりはしないかというふうに申し上げたいと存じます。
 それと、さらにつけ加えますならば、我々は内外価格差という問題をアメリカからも突きつけられ、かつ日本の国内からも問題状況の自覚として厳しい声が上がっておりますが、言うまでもなく内外価格差の筆頭は土地価格でありまして、内外価格差の解消、土地以外のさまざまな価格面についても内外価格差の解消の必要はあるわけですが、それの大宗はやはり土地価格の内外価格差の解消であらざるを得ないと思います。その意味でも、解決できるという確信の上で対策を御工夫いただきたいと強く申し上げたいと存じます。

発言情報

speech_id: 112005262X00119910216_029

発言者: 岸本重陳

speaker_id: 15944

日付: 1991-02-16

院: 衆議院

会議名: 予算委員会公聴会