神谷信之助の発言 (地方行政委員会)

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○神谷信之助君 私は、日本共産党を代表して、地方自治法の一部を改正する法律案に対して、反対の討論をします。
 反対の第一の理由は、現行の職務執行命令訴訟制度に規定されている二つの裁判を一つに省略することであります。
 機関委任事務は、国の事務とされているものを地方自治体の長に執行させるもので、地方自治体の自主性を否定し、本質的に地方自治の本旨になじまないものであります。したがって、機関委任事務の執行を地方自治体にかわって国が執行する場合には、地方自治体の自主性が侵されることのないよう万全の配慮がされなければなりません。砂川事件の最高裁判決が、機関委任事務の執行に当たって国の行政機構内部の指揮監督の方法と同様の方法を採用することは、自治体の長の自主独立性を害し、憲法の地方自治の本旨に反するとの見解を示したのは、地方自治を尊重する当然の立場であります。
 現行の職務執行命令訴訟制度が、職務執行を命ずる裁判と命令不履行を確認する裁判の二つを国みずからに提起させ、その二つの提訴の適否を裁判所の判断にゆだねているのは、そのことで自治体の長の自主独立性を確保しようとしたものであります。この質的にも異なる二つの裁判を一つに省略することは、地方自治の根幹に係る制度の後退を許すことであり、容認できないものであります。
 罷免制度は、従来から違憲の疑いが強いもので、廃止されるのは当然のことであります。しかし、この制度の廃止をもって、二つの裁判を一つに省略するという制度の後退を合理化することは、極めて不当であります。
 第二の理由は、自治体の長の兼業禁止の緩和などの改正であります。これは、一層の民間委託と料金値上げによって、民活利用の弊害と住民負担が促進されることが明らかであります。
 改正案では、出資率が五〇%以上の法人であるなら、請負関係があっても自治体の首長などがこの法人の取締役などの役員を兼務できるとされています。第三セクターに絡む人事の天下りや粉飾決算、汚職腐敗などの不祥事件が多発しており、第三セクター役員の兼務がこの傾向を増大させ、行政と民間企業の癒着を一層進めることは間違いありません。
 さらに、公の施設の管理責任は当然地方自治体にあるのが原則にもかかわらず、営利追求を原則とする株式会社形態の第三セクターに公の施設の管理委託を可能にしていることであります。現行では公の施設の料金は使用料として議会の承認を必要としておりますが、ここでは、「条例の定めるところにより」という一定の歯どめはあるものの「利用料金」と言いかえることで営利を目的とする管理受託者の自由な料金値上げが容認されており、委託された施設の料金値上げは必至であります。以上が反対理由であります。
 なお、本改正案の特別の休日制度に関する部分については積極的に賛成でありますし、地方公務員等の在籍専従期間に関する部分についても、七年という上限をつけることは問題であるにしても、内容上は同意できるところであります。
 これらの賛成部分があるとはいえ、先に述べた職務執行命令訴訟制度上の改悪は地方自治の根幹に係る重大な問題であり、このような制度の後退を容認することはできず、全体として本法案に対して反対の態度をとるものであります。
 以上です。

発言情報

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発言者: 神谷信之助

speaker_id: 2286

日付: 1991-03-26

院: 参議院

会議名: 地方行政委員会