沓脱タケ子の発言 (本会議)
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○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表して、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
平和解決への願いに反して、今、湾岸戦争の真っただ中であります。私は、刻々と報道されるミサイルやトマホーク、まさにハイテク兵器の威力を誇るかのようなあのテレビの映像を見ていて、本当に心臓の凍るような思いがいたしました。四十六年前、爆弾の雨をくぐり、焦土の中での悲惨な体験をしてきた私どもは、再び惨禍が起こることのないようにすることを決意したのであります。一刻も早く中東に平和をと願わない人はいないでしょう。
加えて、原油の流出は地球環境破壊の重大問題として人々の心を痛めております。我が党は、戦争になればこういう事態は避けられない、このことを早くから警告して、あくまで平和的に解決するよう、イラク、アメリカ及び国連安全保障理事国に訴え続けてまいりました。にもかかわらず、こういう事態になったことはまことに遺憾であります。
今回の湾岸危機の根源は、イラクの乱暴なクウェート侵略・併合にあることは明白であります。しかし、国連安保理事会の多数が賛成し、国連のイラク大使も歓迎したフランス提案による平和解決の道を断ち切り、アメリカ政府がみずからのシナリオに沿って戦争開始を急いだことには重大な問題があります。
今何よりも求められていることは、平和解決への局面転換を図り、中東の公正な平和を実現するためにあらゆる努力を尽くすことです。これこそ憲法の平和的原則にのっとった日本が果たすべき真の国際的貢献の正しい道であり、海部総理に求められているのはこの道ではありませんか。ところが、自民党・海部内閣は、平和解決を口にしながら、実際には開戦前からアメリカに対して武力行使への全面的支持を表明し、開戦への後押しをする役割を果たしたのであります。
今日、明らかになりつつある湾岸戦争の実態で最も重要なことは、アメリカの軍事力行使が国連決議にいうクウェートからのイラクの撤退という枠を超えているという問題であります。戦争目的の変質に抗議して、昨日はフランスのシュベーヌマン国防相が辞任をいたしました。米軍による核施設の破壊、フセイン政権の打倒、中東の安全保障体制の構築などは、一体どの国連決議に含まれているのですか。
総理の施政方針演説では、このようなアメリカなどの武力行使に確固たる支持を表明し、さきの二十億ドルに加えてさらに九十億ドル、日本円にして一兆二千億円、国民一人当たり一万円という途方もない追加支援を決定し、そのために財政法の禁止する戦時国債の発行、大幅増税を行うことを明らかにしたのです。総理は、開戦を急いだアメリカの態度や日本がこの武力行使を支持することが唯一の早期決着の道だと考えているのですか、はっきりとお答えをいただきたいのであります。
この追加支援なるものは、戦後初めての戦費分担であります。これが憲法に違反することは議論の余地はありません。しかも、昨年の国会では、憲法上日本の支援による武器弾薬の購入はあり得ないと言明をしていたのに、今度はそういう使途の制限は設けないというのですが、なぜこういう態度の変更を行ったのか、明確に答弁を求めます。
さらに総理は、この九十億ドルについて、関係諸国が当面する経費に充てるためのものと言っていました。ところが、アメリカのベーカー国務長官はこれはすべて米国の経費に充てられると述べ、これはアメリカ議会への報告書に明記されることになっております。総理の言うことと違っておりますけれども、実際は一体どうなっているのか、はっきりとお答えをいただきたい。なお、我が国の負担は戦費の二〇%と言われていますが、アメリカは何%負担なさるのですか、明確にしていただきたいのであります。
総理は、九十億ドルの資金援助を日本の応分の負担だなどと答弁しています。しかし、国の財政そのものは大変な赤字ではありませんか。大企業は巨額の利益をため込んでおりますが、国力の基礎である国民の生活は、住宅も手に入らない、長時間労働を強いられ、消費税などの重税、社会保障の削減などで苦しんでおり、とても豊かとは言えないのであります。その国民から大増税で取り上げる巨額の戦費を、日本の応分の負担などと言えるのですか。また、政府が勝手にアメリカに約束をした巨額の戦費について、国民がひとしく共同で負担する責任があるかのような言い方も、まことに身勝手な政府の言い分ではありませんか。総理の認識をお伺いします。
次に、国民の憤激を買っている重大問題は、国会にも諮らず決定した自衛隊機の湾岸派遣の暴挙であり、これは撤回すべきです。直ちに撤回することを求めます。難民輸送といいますが、いかなる理由をつけようとも、戦争地域への自衛隊の派遣は従来政府も認められないとしてきたものです。自衛隊機の派遣は、国際的にも軍事行動と見られることは明らかであり、これが憲法上許されないことは明白ではありませんか。小沢自民党幹事長に至っては、記者会見で負傷兵の輸送をするとまで言っているようでありますが、総理はこのような明白な憲法違反の戦争参加に同意をするのかどうか、また、ヨルダン政府が自衛隊機派遣を拒否した場合に、政府は一体どうするつもりなのか、明確な答弁を求めます。
こういう重大な問題を、内閣法制局の疑義をも強引に押さえ込んで、一片の政令で強行しようというのは一体何事ですか。まさにこれは議会制民主主義破壊のクーデター的暴挙と言わざるを得ないわけであります。総理、なぜ国会に諮らないのか、それをしかとお伺いしたいのであります。
次に、湾岸戦争への財政負担ともかかわりのあります軍事費問題であります。
政府は、自衛隊増強の口実にしてまいりましたソ連の潜在的脅威が言えなくなった状況下でも依然として軍事費増大、自衛隊増強の道を進めており、次期防衛力整備計画は二十二兆七千五百億円、うち来年度防衛費は五・四七%アップの四兆三千八百七十億円となっております。これは時代の流れに逆行するとは思いませんか。しかも、在日米軍駐留経費は、日本人従業員の本給と基地で使用する光熱水費など、地位協定にもない新たな負担をすることになります。米兵一人につき八百万円の負担になっておりますが、安保条約、地位協定の取り決めさえも無視するつもりですか。また、世界じゅうにこんなに高額の分担をしている国がほかに一体あるのですか。明確な答弁を求めます。
軍事費の増大に加え、湾岸戦争の戦費負担は、必然的に国民生活を大きく圧迫しております。軍事費を削って福祉、教育に回せ、湾岸戦争のための一兆二千億を国民生活に回せという声は当然ではありませんか。総理、今求められているのは、国の政治を軍拡から軍縮の方向へ抜本的に転換し、国民生活を向上させることではありませんか。
そこで、まずお伺いをいたしたいのは、老人医療問題であります。
政府は、軍事費を増大させる一方、老人医療費に対する国の負担は一貫して削減し、お年寄り本人と国民の負担を大幅に増加させてきました。その上、七十歳以上のお年寄りに世界で類例のない別建ての制限医療の制度化をしたのであります。今回さらに、外来八百円を千円に、入院負担を一日四百円を八百円にするなど、本人の一部負担の引き上げと医療費増額に伴うスライド制の導入が計画されています。わずか五万や六万足らずの年金で入院費二万四千円の自己負担を取られるという、お年寄りには本当に余りにも冷たい仕打ちと言わなければならないではありませんか。湾岸支援のうちの十億ドル、千二百億円を振り向けたら、今回の老人本人負担の引き上げはやらなくても済むのです。
非人道的な差別医療をやめ、老人医療費増加分への対応のために国の負担を医療費の五割に引き上げ、老人医療費をもとの無料に戻すべきであると考えますが、総理の見解を求めます。
また、国保料の負担も国民にとっては耐えがたいものになっております。政府は、これまた国庫補助を減らし続けて、国保料はこの十年間に二倍に引き上げられてきたのであります。その結果、保険料が支払えないために健康保険証が交付されない世帯は、政府の答弁でさえも三万一千にも及び、まさに国民には、金の切れ目が命の切れ目というひどいことになろうとしているではありませんか。住民負担の軽減のために、国の補助率を四五%に戻すとともに、黒字の自治体に対しては保険料の引き下げを指導するのが当然だと思いますが、この点もあわせて答弁を願います。
教育もまたゆとりのないものになっていて、詰め込みと管理の教育は子供の全面的発達をゆがめています。欧米では二十五人前後の学級編制が普通であり、日本は欧米に比べて四十年近くもおくれているのが現状であります。落ちこぼれや勉強嫌いを解決するためにも、三十五人以下の学級を早急に実現し、教師がゆとりを持って教育できるよう条件整備を急ぐべきであると思いますが、総理の認識をお伺いいたします。
勤労者の家計にとって教育費は過大な負担になっています。これを解決するため、私学に対する助成もふやすことです。私学経常費の五〇%国庫補助という国会決議があるにもかかわらず、私学経常費に対する国庫補助率は、八〇年の二九・五%をピークに毎年低下し、八九年には一五%に落ち込みました。総理は国会決議の目標を一体どう達成するおつもりであるのか、明確な答弁を求めます。
私はここで、働く女性をめぐる問題についてお伺いをいたします。
今、出生率の低下が社会問題化していますが、その背景の一つに働く女性のための施策のおくれがあるのであります。働く女性が強く求めております育児休業の制度化は、全産業に働く労働者を対象にし、所得保障、現職復帰、代替要員の配置を義務づけ、利用しやすい制度を一刻も早くつくるべきですが、あわせて介護休暇の制度化もぜひ約束をしてもらいたいのであります。
看護婦不足も深刻な問題になっています。少ない配置基準のもとでの重労働、低賃金、それが招く病気や退職が看護婦不足に一層拍車をかけています。そのため、全国的に病床の閉鎖などが起こり、国民医療に重大な不安が広がっています。看護婦不足の根本的な原因は、政府が計画的養成と労働条件の改善を怠ってきたところにあります。この際、思い切った対策の強化を求めるものです。
また、子供たちの健やかな成長を保障するため多くの期待が寄せられている子供の権利条約は、国内法の整備を急ぎ、早期批准を行うことを求めます。
また、児童手当をせめて小学校入学までは支給すべきであると考えますが、見解をお伺いします。
次に私は、消費税の廃止を強く要求します。同時に、異常な地価高騰の一方的被害者である庶民に対して、固定資産税、都市計画税の引き上げも許せません。来年度の評価がえを中止し、次回以降の一層の引き上げ計画を撤回することを求めます。また、緑と防災、新鮮野菜の供給に寄与している都市農民の営農意思を無視した宅地並み課税は、中止するべきです。これらについて、総理の見解を求めます。
水俣病問題の早期全面解決は、人道上の緊急課題であります。だからこそ、一高裁、四地裁は、生きているうちに救済してほしいという願いに切実なものがあることを認めて、和解の勧告を行ってきたのであります。これが国民世論の求めるところなのであります。加害企業であるチッソや熊本県は和解に応じているのに、なぜ国がかたくなに和解のテーブルにさえ着かないのか。このような冷酷、非人道的な態度は断じて許されないのであります。直ちに和解のテーブルに着くよう、総理の決断を要求いたします。
大気汚染公害は、窒素酸化物、特に自動車排気ガスによる幹線道路沿道住民の健康被害は全国的に拡大して、一刻も猶予できない緊急課題となっています。今こそ、骨抜きにされた環境基準をもとに戻し、公害指定物質に窒素酸化物などを加え、公害健康被害補償法の指定地域を、従来のものに道路影響などを加えて拡大することが急務になっています。また、汚染の元凶である大型ディーゼル車を初め、自動車の排気ガス規制を、直ちに実効ある強化を図るべきであります。総理の見解を求めます。
戦後四十六年、被爆者は高齢化し、一日も早い被爆者援護法の制定を切望しています。莫大な湾岸戦争支援を国民の反対を押し切って出そうとしながら、なぜ水俣病患者の救済や被爆者援護法制定に踏み切れないのですか、総理の決断を求めたいと思います。
最後に、我が党は、世界に誇るべき日本国憲法の平和的原則に基づいて、湾岸戦争の一日も早い解決のために力を尽くすとともに、国民の生活向上を目指す諸課題実現のために奮闘することの決意を表明いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕