佐々木秀典の発言 (政治改革に関する特別委員会)

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○佐々木議員 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、我が党が提出いたしました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由と内容の概要を御説明申し上げます。
 今回の政治改革の基本テーマは、一つには定数是正の課題であり、一つには政治倫理の確立、政治資金の明朗化、選挙に伴う腐敗行為の追放という課題であります。これは、繰り返し提起されました違憲訴訟に代表される国民の意思が一票の価値の格差是正にあったことに基づいておりますし、他方でロッキード疑獄、リクルート疑獄と相次いだ疑獄事件の反省に基づくものであります。
 さて、御案内のとおり、最高裁判所の違憲判決を受けた一九八六年の定数是正が、緊急是正を理由に格差三倍未満という不徹底な是正に終わったこと、また、二人区・六人区という中選挙区制を逸脱する選挙区を生んだことと関連して、各党党首に対して坂田議長見解が示され、国会決議が行われたのであります。ここには、明確に、総定数は五百十一とすること、小選挙区制はとらないこと、二人区・六人区はとらないこと、すなわち中選挙区制は堅持することとして、格差の解消に努めることが示されております。
 にもかかわらず自民党と政府は、たび重なる野党の国会決議に基づく定数是正の呼びかけにこたえず、小選挙区制を基本とする並立制を提唱し、国会決議の否定という議会制民主主義のじゅうりんを行ったのであります。私たちは、このような自民党と政府の暴挙を見逃すわけにはまいりません。
 また、金のかからない選挙についてでありますが、一体選挙に金がかかるというのはどういうことでありましょうか。これまで法定選挙費用を超えて金を使ったという選挙の収支報告書は見たことがありません。また、法律どおりに選挙を行っていれば、それほど金がかかるはずもないのです。にもかかわらず選挙に金がかかるのは、違法な買収、供応が横行しているからでありますし、また、選挙の時期ではないから、政治教育の名目だからと有権者に飲ませ食わせしてもよいとするあしき慣習がまかり通っているからにほかなりません。こうした慣習を改めないままに制度をいじっても何の解決も生まないことは、既に実質的に小選挙区制である奄美群島区の実例を見れば明らかなところであります。
 同僚議員の皆さん、以上のような点を踏まえて、私たち社会党は、国会決議にのっとった、また、ロッキード疑獄やリクルート疑獄の反省の上に立った本法律案を提出することといたしたわけであります。
 本来ならば、選挙制度に関する法律案は、各党協議の上で、その合意に基づいて提出することが望ましいことは言うまでもありません。しかし、国会決議に反する公職選挙法の改正案が政府提案として提出されていることなどの事情から、本法律案の提案を急ぐこととなった次第であります。したがって、私たちは、この提案をもとに、あるべき制度について同僚議員の皆さんの慎重な御審議をお願いしたいと考えるところであります。
 以上が本法律案を提出いたしました理由でありますが、以下、本法律案につきまして、その内容の概要を御説明申し上げます。
 第一は、定数是正に関する事項であります。
 一九八六年、第百四国会における衆議院議員選挙の定数是正に関する決議に基づきまして、総定数を五百十一とし、中選挙区制の原則に従い、格差を二倍未満といたしております。なお、総定数並びに選挙区及び選挙区定数に関しましては、公職選挙法改正の歴史的な沿革にかんがみ、附則による改正といたしましたことを申し添えます。
 第二は、地方公共団体の議会の議員並びに長の選挙の公営化に関する事項であります。
 公選法の改正に関しましては、かねてより、国会議員のみに選挙の公営を認めて地方公共団体の選挙についての配慮が足りないとの批判のあるところであります。この際、国政選挙において選挙費用の公費負担が行われている選挙運動用自動車の使用、選挙用通常はがきの交付、選挙運動用ポスター並びに都道府県知事選における個人演説会告知用ポスターの作成、新聞広告に関し、地方公共団体が条例で定めることにより費用負担ができる道を開こうとするものであります。
 第三は、戸別訪問に関する事項であります。
 本来、戸別訪問は自由でなければならないものであります。しかし、我が国では、基本的には解禁されたことのない分野であることも考慮し、候補者本人のほかに戸別訪問できる者を当面十五人、または有権者数が多い選挙にあっては有権者数五千人に一人を上限に、戸別訪問員を認めようとするものであります。また、買収、供応に対する配慮として、戸別訪問を行う者に候補者の氏名と戸別訪問員の番号を記載した証票を持参させ、戸別訪問先に提示させるものといたしました。
 第四は、公職の候補者等の寄附禁止の強化に関する事項であります。
 公職の候補者は、選挙区内への寄附は禁止されているところでありますが、いわゆる政治教育のための集会に関しては、必要やむを得ない実費の補償という名目で旅費や宿泊費を出したりすることが慣例化しております。こうしたことも非公式な選挙費用というべきものであり、金のかかる選挙の原因となっておりますので、これを禁止するものといたした次第であります。
 第五は、連座制の強化に関する事項であります。
 買収、供応が横行しているにもかかわらず取り締まりが実効性を持たない大きな原因は、連座制が有効に機能しないことにあります。したがいまして、連座の対象を候補者のみならず候補者になろうとする者にまで拡大し、当該違反行為を行った者の範囲も秘書にまで拡大するとともに、秘書等の名称を使用する者を秘書と推定することとし、さらに親族については、執行猶予の言い渡しかあった場合においても連座制の適用除外が行われないものといたしました。
 また、地域主宰者の定義について、現行法が選挙区の三分の一以上の区域における選挙運動を主宰する者とするため、大きな選挙区では、市区町村の選挙運動を主宰した程度では地域主宰者に該当せず、地域主宰者の犯罪による連座の適用はほとんど不可能となっているところであります。したがいまして、地域主宰者の定義に、選挙区内の一つの市区町村、これは特別区を含むわけですけれども、これを含む区域において選挙運動を主宰した者を追加することとし、この面でも連座制の実効を期するものといたした次第でございます。
 さらに、連座制をより実効あるものとするために、当選無効に加えて、一定期間の立候補制限を加えるものといたしております。
 第六は、選挙犯罪に伴う刑事裁判の迅速化に関する事項であります。
 現行の公職選挙法も、いわゆる百日裁判の規定があるのではありますが、現実にはこの選挙の裁判が数年にわたる、陣には十余年にわたることなどにより当選無効の制度が意味を失っております。そして、これが国民の政治不信を招く一因ともなっております。したがいまして、第一回の公判期日前に公判期日を一括指定することにより、百日裁判の規定に実効性を持たせようとするものであります。
 第七に、選挙権が付与される年齢についてであります。
 国際的に見ましても十八歳選挙権が一般的になっており、また近々我が国も批准しようとしている子供の権利条約も子供の範囲を十八歳未満としている今日、そしてまた、我が国の教育水準等をも考えあわせるならば、十八歳、十九歳の国民にも選挙権を付与すべきものと考えます。したがいまして、国会においてはもとより、政府においても、成人年齢の規定並びに未成年者の保護に関する制度における年齢等に関して検討を加え、十八歳選挙権の実現に努めるものといたした次第であります。
 最後に、本法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行するものといたしますが、衆議院議員の選挙に関する規定は、本法律の施行の日以後に初めてその期日を公示される総選挙から、その他の選挙につきましては、本法律の施行の日以降に告示される選挙から適用するものといたします。
 以上、公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由と内容の概要を御説明申し上げました。何とぞ慎重な御審議を賜り、満場の御賛同を得まして、速やかに本法律案が可決されんことをお願いを申し上げます。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 佐々木秀典

speaker_id: 26980

日付: 1991-09-24

院: 衆議院

会議名: 政治改革に関する特別委員会