尾身幸次の発言 (政治改革に関する特別委員会)
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○尾身委員 私は、今回政府によって提案されました政治改革関連三法案につきまして、自民党の一員としてその原案作成の初期段階から携わってきた者の一人といたしまして、その方向及び内容について多くの疑問があるとの観点から質問をさせていただきます。
もとより、政治改革は、新しい内外情勢の変化に対応して、民主主義の原点を踏まえつつ、政治が国民から負託された責務を正しく果たすためにぜひとも成し遂げなければならない課題でございます。この法案を取りまとめられた関係者に深く敬意を表する次第でございます。しかしながら、この三法案に盛り込まれました政治改革案のうち、特に小選挙区比例代表並立制の導入に関しましては、内外の諸情勢を踏まえ、民主主義の原点に立ち返ってみたとき、我が国将来の政治のあり方を過つおそれが強いと考えているわけでございます。そこで、この点を中心といたしまして幾つかの質問をさせていただきます。
民主主義の基本である選挙制度の変更、改正を行うに当たりましては、我々は、現行中選挙区制度の長所、短所と、また新しく考えられている小選挙区比例代表並立制の長所、短所を十分に比較考量をいたしまして、そのどちらの制度が今後の我が国の国家社会の発展のために民主主義の基本原則から見てよりよい制度であるかということを冷静かつ客観的に比較考量し、分析した上で結論を出す必要があると考えている次第でございます。そういう意味で、私は、これから選挙制度改正の基本的な問題点について質問をいたします。
まず、総理は所信表明演説の中で、現行中選挙区制度では、政策、政党を同じくする者同士が同じ選挙区で争い、そのために政治活動に金がかかり過ぎる、そして、その政治に金がかかり過ぎる点が政治が腐敗したり堕落したりする原因であるので、政策本位、政党本位の小選挙区比例代表並立制を導入すべきであるとされているわけであります。
私も、政治に金がかかり過ぎるというのでこれを是正する、それが必要であるという点はまさにそのとおりであると考えております。ただ、しかし、小選挙区制にしたら金のかからない選挙が実現できるか否かについては大きな疑問を持つものでございます。例えば、小選挙区制の典型的な実例とされております奄美群島区ではほかの選挙区よりもはるかに厳しい選挙が行われ、そして金も多くかかっていることが現実であることは否定し得ないところであります。また、昭和二十二年に我が国が中選挙区制を導入した際にも、大先輩の小沢佐重喜先生が小選挙区制を採用し得ない理由として、小選挙区制は選挙抗争が非常に激烈になり、その結果は当然の事実として情実と投票買収が横行するとされて、金がかかることが小選挙区制の欠陥であるというふうにされているところでもございます。
さらに、外国の例で見ましても、お隣の韓国でも、金のかからぬ選挙を実現するために、現在の小選挙区制から大選挙区制の方に変えた方がいいのではないかという主張が強くなっていることなどもございます。
このように、過去の歴史や諸外国の実例を見ますと、中選挙区制よりも小選挙区制の方がお金がかからないという見解とはむしろ反対の現実や歴史の教訓が多いのであります。この点につきまして総理はいかにお考えか、お伺いをいたします。