三野優美の発言 (本会議)

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○三野優美君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、議題となっております政治改革関連三法案について、海部総理に質問をいたします。
 海部総理、あなたは政治改革を本気で取り組む決意があるんでしょうか。もしあなたがまじめに政治改革を国民に語りかけようとするならば、あなた自身で海部内閣の身辺整理を行うべきであります。さきに明らかになったとおり、政治改革担当大臣である吹田自治大臣の脱税問題、いつも身辺に疑惑が漂い続け、国会のたびに陳謝を繰り返す大塚建設大臣、秘書が秘書がと言い続ける橋本大蔵大臣、これらを整理しないで、あなたが今国民の前に政治改革を語る資格なしと言わざるを得ません。(拍手)
 私は、まず質問の冒頭に、この海部内閣自身の身辺整理を強く求め、あなたの政治姿勢についての所信を求めるものであります。
 さて、政治改革が議論となりましたその理由は、言うまでもなくロッキード、そしてリクルート事件問題にその端を発し、政治家をめぐる贈収賄不祥事件が後を絶たず、国民の政治不信が高まる中で今日の緊急課題となったのであります。
 政治改革の第一は、政治資金の調達方法であります。
 政治資金の収入には三つの方法があるでありましょう。その一つは、政治団体の構成員による党費及び出版物等の事業活動の直接収入であります。二つ目には、企業からの政治献金。三つ目には、支持者による個人献金であります。このうち、問題は企業献金なのであります。国民の政治不信の最大の原因は、後を絶たない政治家による汚職事件でありましょう。これらをいかに断つことができるのか、これこそが政治不信の解消、信頼回復の第一の道であることを申し上げます。
 ちなみに、戦後国会議員の連座した贈収賄事件を見ますると、昭和二十四年の昭和電工疑獄事件以来、近くはロッキード、リクルートに至るまで十六件、四十二名に及ぶのであります。また、地方政界、行政機関にも多くの事件が数えられます。これら政界と行政機関の汚職事件は、政財官の癒着のあらわれであり、今日の政治不信、議会制民主主義の危機をもたらしたのであります。
 今指摘した国会議員の連座事件、十六件、四十二名は、そのすべてが企業による政治献金ばかりなのであります。個人献金による汚職事件は一件も見ないのであります。これは何を意味するのか。人にはそれぞれの異なった趣味や人生観がありましょう。しかし、企業にあっては、その大小や業種別、また設立過程の経緯を問わず、利潤をいかに生むかがその設立目的であります。したがって、企業に利潤追求の論理が貫徹している限り、企業が政界や政治家に献金する場合、その金額の多少を問わず、常に何らかの便益を求めるのは当然の帰結でありましょう。過去これらの事件が示すとおり、企業による政治献金をやめない限り、第二、第三のロッキード、リクルート事件は後を絶たないのであります。
 海部総理は、企業もまた社会的存在であり、収支を明確にすれば問題なしと答弁をしてまいられました。以上私が指摘したこの事実をどのように受けとめられますか。あなたの見解を求めておきたいと思います。(拍手)
 さて、本法案は、このような事実があるにもかかわらず、企業献金をやめるどころか、損金算入の枠を広げ、結果としてはさらに企業献金を拡大しようとするものであります。我が党初め野党の多くは、政治が公的なものであるだけに、政党及び政治家の政治活動に国の積極的援助があってしかるべきであると主張してまいりました。同時に、汚職の根源である企業による政治献金は一切禁止すべきだと主張しているのであります。
 政府提出の本法案は、企業献金を拡大し、さらに国が政党に約三百億円を援助しようとするものであります。これは、汚職、腐敗の根源を断ち切らないまま国民の税金を大幅に支出し、結果は選挙が金まみれとなり、政治が堕落の道を歩むものであります。政界と政治家を金の泥沼に押し込み、政治は力なり、カは金なり、この金権権力政治の延長、拡大にほかなりません。したがって、本法案は到底国民の納得するものではないことを申し上げ、直ちに撤回を求めるものであります。(拍手)
 政治活動に必要な資金は、公的な資金、党員による党費及び事業収入、一般大衆による個人献金に限るべきであります。今、緊急を要することは、政治家が選挙や政治活動に多くの金を使わない仕組み、その制度をつくることでありましょう。政治不信の第二は、政治家の選挙違反に対する甘さであります。
 法務委員会調査室の調べによりますと、昭和五十年以降平成二年までの公選法違反の有罪宣告を受けた者十一万二千三百二十三人のうち、公民権停止処分は十一万一千八百人であります。これだけ多くの事犯がありながら、これら選挙違反事件で連座制の適用を受けた者はわずか十六名、県会議員二名、市長一名、町長一名、市町議会議員十二名であり、国会議員はこの中に一人も含まれていないのであります。この数字が示すものは、どんな手段であろうと、当選さえすれば何とかなるという世間の批判そのままの実態であります。
 ところが一方、昭和六十一年七月総選挙以来、公選法違反による公民権停止を受けた者は二万二千七百五十一名、二回の恩赦対象者一万九千九百名となっています。適用率何と八七%であります。この恩赦制度は、憲法に基づいて政令で定められるものであります。時の内閣の政治的配慮も含めた自由裁量的な運用がなされております。この中には、恩赦によって選挙へ再び立候補した者及び再び選挙運動で違反を繰り返す者もおります。これらのことを思うとき、国民と国家の命運を決める選挙に対し、公選法違反者については公民権について恩赦制度を適用すべきでないという学説もございます。私もこの意見に同意するものであります。総理の見解を求めておきます。
 さて、政府提出の法案の中で、小選挙区制がいかにも政治改革の柱であり、またきのうの自民党代表羽田議員も強くこのことを主張されました。もう既に指摘されているように、この政府案は大きな欠陥を持っておることは言うをまちません。
 第一は、この制度によって多くの死票が出ることであります。法案九十五条が示すとおり、二五%得票者、有効投票の四分の一で当選者が決まります。あと七五%の多数派の意見は国政に反映しないのであります。これは民主主義そのものの否定であり、絶対に容認することはできません。
 また、総理は、一人区制度によって二大政党制を目指しておるようでありますが、現に自民、社会、公明、共産、民社、社民連等、それぞれ国民の意識の反映としての思想政策集団としてこれだけの公党が存在しているにもかかわらず、これを選挙制度をもって強制的に併合、もしくは少数政党を抹殺しようとすることは、現実を無視した強権政治であり、民主主義への挑戦であります。このような無謀な本法案は直ちに撤回し、当面、第百四国会における全会一致の現制度のもとにおける二対一以内の定数是正を実施すべきであります。そして、最も民主的な手法について討議、検討すべきであります。総理のこれに対する見解を求めます。
 民意を正しく反映し、議会制民主主義の正常な発展のためには、比例代議制度が最も正しいことは言うをまちません。この場合の批判として、政治家個人の顔が見えないという意見もあります。我が国は二院制をとっているのであります。また、政党政治が認められている以上、衆参両院の議員選出方法が、一院は比例制による政党政治、一万の一院は個人選挙の制度を採用することによって両制度の長所を活用すべきであります。この政府案を採用した場合、参議院選挙と同じ性格のものであり、ますから、将来は参議院無用論につながる危険性を持っておることを申し上げておきます。
 私は、国民の意識が多様化した今日、それぞれの意識や政策的要求によって政党もまた多党化時代に入ることは当然であろうと思います。このような多様な要求が比例制によって正しく政治の場に反映されるのであります。この場合、選挙の結果、第一党が過半数の支持を得ない限り、連合政権しかあり得ないのであります。この連合政権樹立の過程で、お互いの党が協議し、譲るべきものを譲り、妥協点を見出すという話し合いの中で、少数意見をも包含した政権づくりが行われます。
これこそが最も重要な民主主義の第一歩であり、ここに国民合意の政治が生まれるのであります。
 もし、この連合政権を不安定政権であると言うならば、それでは最も安定政権とは一体何でありましょう。一党独裁こそ一番安定政権でありましょう。これは、民主主義の死滅であり、国民の求めるところではないのであります。不法な金権選挙によって、自民党一党支配が続き、政財官の癒着による大不祥事件を次々と生み、政治的混乱をもたらし、また、政策的にも民意を反映しないものをつくり出してまいりました。その一つは、消費税の強行にあらわれているのであります。(拍手)
 以上、申し上げましたが、我が国の健全な議会制民主主義を育て、日本の運命を決する選挙制度改革は、各党各議員が何物にも拘束されることなく、それこそ自由濶達な議論のもとで決定すべきであります。したがって、本国会は、まず第百四国会の決議を実行し、同時に、企業献金の廃止、政治倫理について討議、決定されることを強く求め、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕

発言情報

speech_id: 112105254X00719910911_016

発言者: 三野優美

speaker_id: 27014

日付: 1991-09-11

院: 衆議院

会議名: 本会議