橋本龍太郎の発言 (本会議)

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○国務大臣(橋本龍太郎君) 浜本議員にお答えを申します前に、一言お許しをいただきたいと思います。
 この場を拝借し、こうした御質問をちょうだいすることになりました一連の問題に対し、心からおわびを申し上げます。申しわけありません。
 まず第一に御指摘をいただきました問題については、プラザ合意以降、円高が急速に進展し経済活動が停滞をするという状況のもとにおきまして、内外から内需中心の経済成長というものが求められ、これに対応いたしますために財政、金融両面にわたる経済政策が行われました結果、我が国経済は昭和六十一年末に底を打ちまして現在まで息の長い景気拡大を続けてまいりました。しかし、その反面、昭和六十一年度以降の金融緩和の局面におきまして、景気拡大などを背景に株価が大幅に上昇し、株式市場は活況を呈しました。こうしたブームの中におきまして証券会社の業務等も拡大したわけでありますが、一方で、証券会社の営業姿勢において行き過ぎがあったこと、顧客の側にも自己責任原則の徹底が不十分でありましたことなどが今回の損失補てんなどの背景にあるものと考えております。
 次に御指摘を受けました系列企業等の株持ち合いについてでありますが、金融資本市場における自由な競争というものを促進し、市場の効率化、活性化を図りますことは、内外の利用者の利便性の向上、国際的にも通用する金融資本市場の形成に資するものであります。今回の一連の問題で失った証券市場に対する一般投資家の信頼を回復していきますためには、金融制度改革の推進などを通じまして一層の競争原理を活用することにより、証券市場に対する新しい参入を促していくことが必要なことと考えております。
 第三点に法改正の問題について御意見をいただきました。大蔵省といたしましては、現在、損失補てん問題の再発防止のために、今国会において、取引一任勘定取引や事後的な損失補てんの禁止を内容とする証券取引法の改正法案を提出し御審議をいただきたいと願っております。この法案におきましては、事前の損失保証、事後の損失補てんを行った証券会社に刑罰を科す方向で検討をいたしておりますが、例えば損失保証や損失補てんを求めこれを受けた顧客側にも罰則を科すことも盛り込みたいと考え、現在関係当局に御相談をいたしておるところであります。
 さらに、証券市場の公正性あるいは行政の透明性を確保するという観点から、証券取引の規制や証券会社に対します行政指導を見直すことといたしており、その際、必要がありますならば法令化することも考えてまいりたいと思っております。
 また、資本市場を通じます資金調達は主として設備投資などの目的で行われるものでありますが、一部運用資金として用いられたのではないかという御指摘は事実であります。しかし、今回の証券会社による損失補てんは、損失が発生した大口法人顧客などとの継続的な取引関係の維持のため生じたものでありまして、直接的には具体的な引受業務との関係で行われたものではないと考えられます。
 ただ、引受部門とブローカー、ディーラー部門が併営になっておりますことにより、引受関係情報を利用したブローカー、ディーラー業務が行われたり、また、ブローカー、ディーラー業務を利用した引受幹事獲得が行われたりしないようにすることが必要であります。これは御指摘のとおりでありまして、従来から両部門の間の遮断の徹底を図ってまいったつもりでありますが、今後ともに両部門の独立性を一層確保していくように努力したいと考えております。
 また、企業会計についてお触れをいただきました。我が国の企業内容の開示制度につきましては、これまで必要に応じて逐次制度の見直し、導入を行ってまいっており、諸外国に比しても遜色のないものと考えております。例えば、最近ではセグメント情報の導入でありますとか、関係当事者との取引の開示及び先物・オプション取引及び保有有価証券の時価情報の開示制度の導入など、情報開示の強化措置を講じてまいりました。
 また、企業内容開示制度及び会計処理基準の国際的な調和という問題につきましては、証券監督者国際機構あるいは各国の会計士団体で構成されております国際会計基準委員会を中心にそうした論議が今進められております。我が国といたしましても、これらの検討作業に積極的に参加してまいっております。いずれそのような方向がこの中から生まれてくるものと私も期待をいたしております。
 また、銀行融資の関連で、私自身の元秘書に関する件につき申し上げなげればなりません。富士銀行赤坂支店元渉外課長の一件は、既に司直による捜査が開始され、今後全容が明らかになるものと考えております。しかし、この元課長が不正融資にかかわっているとは全く知る由もなかったとはいいながら、私の秘書の立場にあります者が軽率にも銀行に対し融資希望者の紹介を行っていたこと自体が不適切であると考えております。結果として秘書に対する監督に至らぬ点がありましたことは、私としてもその責任を痛感いたしております。
 最近、一部の銀行において職員の関与した事件などが発生し、社会的批判を受けるような事態が生じていることはまことに遺憾であります。このような不祥事件などの発生の原因は、さまざまな要因があると思われますが、先ほども申し上げましたような、例えばプラザ合意以降の金融緩和基調のもとにおきまして、金融自由化などの進展と相まって金融機関の貸出競争が激化した。そして貸出資金も、資金需要の強い分野、すなわち不動産、財テクなど非製造業部門に向かうなどという融資構造が急速に変化している中にあって、一部の銀行に指いて、内部管理など安定的な営業体制を確立しないまま安易に業容拡大、収益第一主義に傾斜していったことが原因であろうと思われます。金融機関は、その業務の公共性にかんがみ、社会的責任を自覚した業務運営を求められておるものでありまして、第一義的には金融機関みずからが業務の健全かつ適切な運営のための努力をなすべきことはもちろんでありますが、最近発生しております不祥事件などは、金融機関の内部管理体制自体が脆弱化していることに起因しているのではないかと思われます。したがって、金融監督当局としては、日々の行政や金融検査を通じ、金融機関経営の基本である内部管理体制の改善などについて、なお一層厳正に指導していく所存であります。
 また、銀行に対する監督行政につきましての御指摘は、金融の自由化、国際化という急激な進展の中にありまして、これまでも努力を払ってまいったつもりでありますが、御意見、御批判も謙虚に受けとめ、金融機関の経営の健全性と適切な業務運営を確保すべく、今後とも最大限努力してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣中山太郎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 112115254X00219910808_005

発言者: 橋本龍太郎

speaker_id: 24487

日付: 1991-08-08

院: 参議院

会議名: 本会議