橋本龍太郎の発言 (本会議)

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○国務大臣(橋本龍太郎君) 後藤議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、この原因についてであります。先ほどもお答えをいたしたところでありますけれども、昭和六十一年以降の金融緩和局面におきまして、景気拡大などを背景にして株価が大幅に上昇し、株式市場が活況を呈します中、こうしたブームの中で証券会社の業務等も拡大をいたしましたが、一方で、証券会社の営業姿勢において行き過ぎがあったこと、顧客の側の自己責任原則の徹底が不十分であったことなどが今回の損失補てん等の背景にあると考えられます。さらに具体的に申しますなら、八七年十月のブラックマンデー以降、いわゆる営業特金が売買一任的に運用され、その結果として損失補てん等不適当な営業行為が生じたものと考えております。
 いずれにいたしましても、特定の投資家に対する損失補てんと申しますものは、一般投資家の証券会社、証券市場に対する信頼を損ね、また投資家の自己責任原則に反するという意味で不適切なものであることは言うまでもありません。
 証券会社による顧客に対する損失補てんに対しましてお尋ねがございました。平成元年末に通達を出し、こうした行為のないよう厳しく指導すると同時に、あわせて各証券会社に対し損失補てんについて自主点検、報告を求め、その時点におきまして報告のあった会社については厳正な社内処分などを実施させたところであります。ところが、今回、一連の調査の段階で、当局に報告のされていない損失補てんのあったことが明らかになりました。今申し上げましたように、特定顧客に対する損失補てんというものが、内外の一般の投資家の市場に対する信頼を傷つけるばかりではなく、特定な人あるいは特定なお客さんだけが有利な取り扱いを受けたのではないかという不公平感を国民の間に広くもたらしたものでありまして、まことに遺憾であり、深刻に受けとめております。
 大蔵省としても、このような事態に立ち至りましたことについての行政当局としての責任を重く受けとめ、対処してまいらなければなりません。今後、こうした問題の再発を防ぎますために、本院にも御協力を願いたいと考えております証券取引法の改正を初めとする法制上、行政上の総合的な対策を講じ、信頼を回復するために全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 また、中小証券におきましても、金額は小さいが、証券検査の過程及び税務調査の結果を受けて、数社から損失補てんがあったとの報告を受けております。これら中小証券につきましても、損失補てんがありました場合にその損失補てん額につきまして、ディスクロージャーのルールに従って、有価証券報告書の訂正という形で明らかにさせるよう指導していきたいと考えます。
 また、平成三年三月期及び現事業年度について、その損失補てんの状況というお尋ねでありました。こうした問題につきましては、七月十八日、大手四社に対し特別検査に着手をいたしたところであります。現在、鋭意検査が進行中でありまして、現段階におきましてその途中経過を申し上げることは控えさせていただきたい、こう存じます。
 また、企業倫理という点についての御指摘をいただきました。先ほど、こうした状況を生んだ株式市場の活況の原因については申し上げましたが、今回の損失補てんの背景には、こうしたブームの中におきまして企業などが自己責任を十分自覚せず資金運用を行ったケースもあり得ると考えております。こうした問題を総合的に考えて、我々としてこれからどう考えていくかについて多少お時間をちょうだいいたしたいと存じます。
 私は、さまざまな角度から御指摘を受けておりますこの証券不祥事というものの中で、全体の問題点を五つに分けて考えたいと思います。
 第一は、証券取引に適用されるルールが明確ではなかったのではないかという御指摘があります。これにつきましては、まず取引一任勘定取引や事後的な損失補てんの禁止を内容とする証券取引法の改正法案を私どもは今国会にできるだけ早く提出いたしたいと考えておりますが、ぜひ本院においても御審査を賜りたいと願っております。また、証券市場の公正及び行政の透明性の確保という観点から見て、証券取引の規制あるいは証券会社に対する行政指導というものを見直すこととし、その際、必要があれば法令化も行ってまいりたいと考えております。
 第二は、違反者に対するペナルティーの問題であります。相応のペナルティーが科されていないのではないかという御指摘をしばしば受けております。現在準備中の証券取引法改正法案におきまして、事前の損失保証、事後の損失補てんを行いました証券会社に刑罰を科する方向で検討いたしておりますほかに、今後、証券取引法違反に対する罰則の見直し強化や行政処分のあり方についても検討してまいりたいと考えております。
 三つ目の問題は、ルール違反を的確に把握するための検査監視体制が十分作用していなかったのではないかという御指摘であります。これにつきましては、去る七月十日、大蔵省内にプロジェクトチームを発足させ、証券のみではなく、証券会社、金融機関等に対しまして検査監視体制を充実強化させるための措置、施策につき目下鋭意検討を加えているところでありまして、早急に成案を得たいと考えております。なお、我が国にもSECのような機関を設けるべきであるという御指摘につきましては、証券取引規制の背景にある国情の相違でありますとか、金融資本市場の相互連関の強まりに伴う一体的な金融行政運営の必要性、あるいは免許制と登録制の違い、監督部門と検査監視部門との連携の必要性等、相当程度の議論が必要であろうかと考えております。
 第四に、証券取引に参加される一部の投資家にも自己責任原則を十分認識しておられなかった方があるのではないかという問題であります。これにつきましては、証券界に対してその徹底を強く求めますとともに、証券市場に参加されるすべての方々に対しましても、証券取引に伴う基本原則を改めて認識していただくという手法を講じていかなければなりません。この考え方の一つとして、例えば損失保証や損失補てんを求め、これを受けた顧客側にも罰則を科することを証券取引法改正案に盛り込みたいと考えております。
 最後に、行政が業界の保護育成に重点を置き過ぎ、適正な競争原理が働いていないのではないかという問題につきましては、金融制度改革の推進などを通じ適正な競争原理の活用を図っていきますとともに、証券取引所等の自主規制機関の機能の強化充実を働きかげてまいりたいと思います。
 また、議員はお触れになりませんでしたが、私は、このカテゴリーとして我々が考えなければならないことに、証券会社に対するいわゆる再就職の問題があると考えております。これにつきましては、いやしくも行政に対する信頼を損なうことのないように、厳正に対処してまいりたいと考えております。私は、既に審議をお始めになっておられます行革審の御意見をも踏まえながら、以上申し上げました方向に沿い、諸問題の解決に全力を尽くしてまいりたいと思います。
 なお、暴力団関係者との取引につきましては、私どもは、捜査当局による捜査の進展も見守りながら、捜査当局の助言も受けながら、政府部内でいかなる対応が可能かを検討してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣中山太郎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 112115254X00219910808_014

発言者: 橋本龍太郎

speaker_id: 24487

日付: 1991-08-08

院: 参議院

会議名: 本会議