羽田孜の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○国務大臣(羽田孜君) 平成三年度補正予算の御審議をお願いするに当たり、当面の財政金融政策の基本的な考え方について所信を申し述べますとともに、補正予算の大綱を御説明申し上げます。
 まず、最近の経済情勢と当面の政策運営について申し述べます。
 我が国経済は、住宅建設の減少などに見られるように、拡大のテンポが緩やかに減速しておりますが、個人消費や設備投資に支えられて、総じて底がたく推移しております。また、雇用情勢については、有効求人倍率が高い水準にあるなど、依然引き締まり基調で推移しております。このような状況から判断すれば、我が国経済は、いわば完全雇用を維持しながら持続可能な成長に移行する過程にあるものと考えられます。
 他方、物価の動向を見ますと、国内卸売物価は引き続き落ちついており、消費者物価についても、その騰勢は鈍化しつつあります。また、地価についても、大都市圏を中心に鎮静化の方向にあります。生活重視の観点から、今後とも、こうした傾向を定着させることが重要であると考えます。
 金融面では、本年七月に公定歩合の引き下げが行われた後、市場金利が低下を続け、これを受けて金融機関の貸出金利も低下してきておりますが、さらに先般、十一月に公定歩合の再引き下げが実施されたところであります。また、財政投融資計画につきましても、今回の補正予算において、国民金融公庫及び中小企業金融公庫に対し、一般会計の措置にあわせ追加を行うこととしております。さらに、日本開発銀行その他の政府関係金融機関等に対する資金需要の増加等につきましても、日本開発銀行法の一部を改正する法律案を提出し、御審議をお願いするとともに、今後、所要の財政投融資計画の追加を行い、これに適切に対応してまいりたいと考えております。今後、これらの措置が、これまでの市場金利等の低下と相まって、内需中心の自律的成長を息長く持続させることに資するものと期待をいたしております。
 政府といたしましては、今後ともインフレなき持続的成長を確保していくため、内外の諸情勢を注視しつつ、適切かつ機動的な政策運営に努めてまいりたいと考えております。
 国際経済情勢を見ますと、先進国では、全体として見れば景気の減速局面からの緩やかな回復が見られます。他方、累積債務問題につきましては、前進が見られるものの、なお解決に向けての努力を必要としております。また、今後の世界的な資金需要の高まりに対処するため、世界的な貯蓄増大が重要であると指摘されております。ウルグアイ・ラウンドにつきましては、他の主要国とともに、年内に成功裏に終結するよう努力することが重要であると考えております。ソ連につきましては、連邦及び共和国が経済、金融面で深刻な問題に直面しておりますが、国際金融機関の協力を得て適切な調整・改革政策を実施していくことが重要であると認識しております。我が国といたしましても、他の先進主要国と協調しつつ、こうしたソ連の自助努力に対し、適切な支援を進めていくことといたしております。
 このような国際情勢のもとで、世界経済の安定を確保していくためには、各国が協調して対応することが極めて重要であると考えます。本年秋に開催されました世銀・IMF総会等一連の国際会議におきましても、引き続き経済政策協調を支持していくことが確認されたところであります。
 次に、財政改革について申し述べます。
 我が国財政は、平成三年度末の公債残高が約百七十兆円程度にも達する見込みであり、国債費が歳出予算の二割を超えて政策的経費を圧迫するなど構造的な厳しさが続いております。加えて、税
収動向につきましては、これまで増収をもたらしてまいりました経済的諸要因が流れを変えてきており、三年度税収は当初見積もりに比べ大幅な減収が生じるものと見込まれ、また、それを土台とする四年度税収も極めて厳しい状況となることは避けられません。
 しかしながら、今後の財政運営に当たっては、社会経済情勢の変化に財政が弾力的に対応していくために、高齢化社会に多大の負担を残さず、二度と特例公債を発行しないことを基本として、公債残静が累増しないような財政体質をつくり上げていくことが重要な課題であります。
 平成四年度予算編成に当たりましては、このような考え方に沿って、まず、制度や歳出の徹底した見直しに取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、一連の証券及び金融をめぐる問題について申し上げます。
 先般の証券及び金融をめぐる一連の問題によって、我が国の証券市場や金融機関に対する内外の信頼が大きく損なわれたことはまことに遺憾であり、極めて深刻に受けとめております。
 これまでも、一連の不祥事の実態の解明、再発の防止策等について検討を行い、先般の臨時国会においては、緊急に措置すべき事項として損失補てんの禁止等を内容とする証券取引法等の改正案を提出し、成立させていただくとともに、金融機関の内部管理体制の総点検を早急に行うことなどを内容とする対応策を講じたところであります。
 政府といたしましては、今後とも、行革審答申及び国会における諸決議を最大限に尊重して各般の検討を進め、このような不祥事の再発防止及び我が国の証券・金融市場に対する内外の信頼回復を図るため、法制上、行政上の総合的な対策に取り組んでまいる決意であります。
 次に、今国会に提出いたしました平成三年度補正予算の大要について御説明申し上げます。
 平成三年度一般会計補正予算におきましては、税収の大幅な減収に対処するとともに、雲仙岳の噴火及び各地を襲った台風等による災害の復旧等、人事院勧告の実施に伴う国家公務員等の給与の改善等、特に緊要となった事項について措置を講ずることといたしております。
 今回の一般会計補正予算につきましては、歳入面において、租税及び印紙収入が最近までの収入実績等を勘案すると、当初予算に対し、二兆七千八百二十億円の減収となることが避けられない見通しとなりました。このため、既定経費の徹底した節減、税外収入の確保、追加財政需要の圧縮等を行ったところであります。また、建設公債につきましては、大幅な税収減に対応するためのやむを得ざる措置として、災害関係経費の追加等に対応するものを含め、追加発行することといたしております。しかしながら、これらをもってしてもなお財源が不足することから、前年度の決算上の純剰余金九千九百八十四億円について、臨時異例の措置ではありますが、その全額を不足財源に充当することといたしております。なお、この剰余金の処理につきましては、別途、平成二年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案を提出し、御審議をお願いすることといたしております。
 歳出面におきましては、災害関係経費の追加、給与改善費、義務的経費の追加、貿易保険特別会計へ繰り入れ、住宅・都市整備公団補給金等、地方交付税交付金などを計上いたしております。これらによる歳出の追加額は一兆七千二百八十六億円となっております。
 他方、現下の厳しい財政事情にかんがみ、可能な限り既定経費の節減に努め、七千四百八十七億円を減額するとともに、税収の減額に伴う地方交付税交付金の減額及び給与の改善に対処するための給与改善予備費の減額を行うことといたしておりますので、歳出の修正減少額は一兆四千六百二十六億円となっております。
 これらの結果、平成三年度一般会計補正後予算の総額は、歳入歳出とも当初予算に対し、二千六百六十億円増加して七十兆六千百三十五億円となっております。
 以上の一般会計予算補正等に関連して、特別会計予算及び政府関係機関予算につきましても、所要の補正を行うことどいたしております。
 財政投融資計画につきましては、国有林野事業特別会計、国民金融公庫等五機関に対し、総額六千二百四十一億円の追加を行うことといたしております。
 以上、平成三年度の補正予算の大要について御説明をいたしました。御審議の上、何とぞ速やかに御賛同いただきますようお願いを申し上げます。(拍手)
     ————◇—————
 国務大臣の演説に対する質疑

発言情報

speech_id: 112205254X00819911206_009

発言者: 羽田孜

speaker_id: 3201

日付: 1991-12-06

院: 衆議院

会議名: 本会議