宮澤喜一の発言 (予算委員会)
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○宮澤内閣総理大臣 ただいま二・二六事件以来の出来事を回顧されましていろいろお話がございました。御趣旨の意味は、同じ過ちを繰り返さないためにも、現実に過去に起こったことをよく一遍考えておく必要がある、こういう御趣旨であると、意義深い御発言であると承りました。
で、考えてみますと、五十年という年月はまだまだ歴史として定着するのには短過ぎるのであろうと存じます。それらのことは、いずれ先の将来において学者が学者の立場から歴史として述べていかれることであろうと存じますが、現実に我々が今日このような国になって世界的にも大きな貢献をしつつあるということ、そういう現実とそれとを一応混同をすることなく、私はこれからの日本の歩みを考えていくべきであろうと思っております。
真珠湾のお話がございました。まことに不幸な戦争であったわけでございますが、五十年たちまして、幸いにして日米は深い親善関係を結び、価値観を共同にし、また世界的な貢献を一緒にしようとしております。
御指摘になりましたように、私も実は、ブッシュ大統領が来られまして、そしてその後に恐らく真珠湾に行かれるものと考えておりましたので、東京で、今中山委員の言われましたようなことを含めました東京宣言とでも申すべきものを両国でつくりたいと、実は野におりますときから考えておりまして、この仕事につきましてから、外務当局も米国の国務省当局も同様な気持ちがありまして作業が進んでおることを知りまして、さもありなんと思ったわけでございます。
そこで、ブッシュ大統領の日程が訪日延期になりましたこととの関連で、この問題をどうすべきかということがまだ残っております。日程が延期後のことにつきましてまだ確定をいたしておりませんので、そういうことも考えながらどうするかを決めなければなりませんが、いずれにいたしましても、この五十年という機会はそういうことを申すべき機会であろうと、私は同感でございます。
それから、国連の敵国条項につきましてもお話がございました。これは昭和四十五年ごろから我が国はその都度この条項について注意を喚起しておりますし、今年も外務大臣がそのことを言われたところでございます。したがって、この敵国条項というのがまことに時代錯誤であるということは万人の認めるところでございますけれども、国連憲章全体の改定ということは御承知のように大変に厄介な問題を含んでおります。加盟国の数もふえましたので、安保理事会というようなものはこれでいいんだろうかというようなことから始まりましてたくさんの問題がございますので、したがいまして、これはその一環として我が国は言い続けるということであろうと存じます。
ただ、それはそれといたしまして、今日国連に対する我が国の貢献、また国連から期待されている我が国の責務というのは現実に極めて大きなものでございますし、また我々はそれを果たしつつございますので、そういう現実はやはり我々として誇りに思ってもいいし、また責任を感じていくべきではないかと考えております。
それから、憲法の問題についても御指摘がございました。憲法のつくられました環境は御承知のようなことでございますけれども、しかしこの憲法が持っております自由、民主主義あるいは基本的人権、国際協調等々、それらは国民が広くこれを支持し、またその下に育ってまいったものでございますから、現実にこの改正が政治の具体的な日程になるとは考えておりません。
したがいまして、今中山委員の言われましたことは、すべて大変に有意義なことでございます。やがては歴史家が歴史としてそれを書いていくことになるのであろうと存じますが、現実の我が国の事態というものは、それはそれとして極めて我々が誇りに感じてもいい、また世界から大きな期待を寄せられている今日の我が国ではないかと、このように考えております。