馬場昇の発言 (環境委員会)
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○馬場委員 その行政、行政、行政というのが半世紀もあるいは三十六年も解決していない原因の一つですよ、それは。少なくとも国民の健康とか生命に関して、やはりそれを守るというのが、これこそ行政の責任でしょう。被害のあった者を救済するというのは行政の責任でしょう。それは行政だから言えないということでは全然、その態度こそ半世紀も解決しなかった態度になってくるわけです。
ではあなた方が、行政が対応できなければ、これはもう立法が法律をつくって、今の総合対策とさっき私が言ったような慰謝料的なものを含めた、公健法から水俣病を抜き出して水俣病だけの特別立法をつくる。そしてこれをやれと言わなければあなた方は動かない。行政がどうもできない。司法がどうもできない。そうしたら今度は国会がそういう法律をつくって、あなた方にこれをやれという以外にはないと、私はまた今のような態度ならば思うのです。そういうことをまた国会もすべきだとも思います。
しかし、まだまだその前に行政がしなければならぬことはたくさんあると思うのですよ。責任はないみたいにおっしゃいますけれども、現地に住んでおりますと行政責任、政治責任はもう本当にいっぱいあるのです。例えば、昭和二十七年に漁民が、魚がおかしいということでチッソに補償要求を出しているのです。それで、熊本県の水産課に調査に来てくれと言ったのは昭和二十七年ですよ。水産課の三好という技師が行って、工場排水が原因と思われます、工場排水の分析が必要です、被害の実態調査をしなさい、こういうことを昭和二十七年に熊本県に出しているのです。それを熊本県は握りつぶしたんじゃないですか。これは責任がないと言えますか。猫の実験をやりました。排水を飲ませたら水俣病になったという。それが昭和三十二年にはちゃんと報告が出ているわけです。それも握りつぶしたそうじゃないですか。原因究明は、昭和三十一年には、熊本大学は重金属の中毒だと言っているのだ。それをずっと通産省主導の妨害が行われておるじゃないですか。みんな責任があるんだ。そして、その基本には、この間も言いましたけれども、水俣湾のチッソがアセトアルデヒドを生産し始めたのは昭和七年ですよ。昭和七年に年産二百十トンつくり始めた。それからずっとつくって、戦争で一、二年中断いたしましたけれども、戦後はまた生産を始めて、水俣病が公式発見されましたときには何と一万五千九百十五トンですよ。そして三十四年、公式発見されてから、今度は三年たって三十四年には何と四万五千二百四十四トンのアセトアルデヒドを生産しているのです。そして、公式発見されて後十二年間もその排水はとめていないのですよ。もう三十一年には重金属排水がおかしい、いや、二十七年にもおかしいと言われておりながらとめていない。ちょうどチッソが出した、排出した水銀というのは八十一トンということをチッソは言っているのですけれども、ある学者はこれだけのアセトアルデヒドをつくって水銀を捨てたならば六百トンだと言っているのです。そういうこともはっきりさせていない。
昭和三十二年は御存じのとおり神武景気でした。昭和三十六年は岩戸景気でした。そして、まさに日本は高度経済成長して人命はもうどうでもいいんだ。そして、まさにどんどん公害を垂れ流していってこの経済成長を遂げていった。これはまさに国家、社会が生み出した罪悪ですよ。患者というのはその犠牲者なんです。こういうことを考えますと、特に行政責任はないと言われますけれども、行政の仕事というのは、最大の任務というのは国民の生命とか健康に重大な危険があったときには積極的にその危険の発生を防止して被害を縮小する、そういうことをするのが行政の責任じゃないですか。行政の基本ですよ、生命、健康を守るというのは。それをやってきてないから責任があるんだ。こういう責任がない、とともに、もう少し、二度と再び、ノーモア・ヒロシマ・ナガサキと同じようにノーモア・ミナマタという積極的な姿勢がないから解決しない。そういうことを考えますと、私は法律もつくることを後で言いますけれども、環境庁が全面解決のリードをとらなければならぬ、政府部内の中でもリーダーシップを発揮しなければならぬ、このことを私は強く言っておきます。
具体的なことは後で申し上げますけれども、くどいようですが、生きているうちに救済をというのは、これは人道上の問題ですよ。そして、水俣病問題をこれだけ解決させていないということは、環境行政の、環境庁のイメージを日本国民の中でどれだけ低下させておりますか。環境庁は信頼できぬ、環境庁のイメージがこんなに低下しているのを、環境庁のイメージを回復する、そのことだけでもこれを解決しなければいかぬじゃないですか。環境行政できませんよ。
そして今度、大臣は所信表明演説で、私はいいことを聞かされました。地球環境という全人類的課題に取り組む、そして、そのためには国民の環境庁に対する信頼と協力が必要だと言われたでしょう。まだ足元の水俣病を解決せぬでおいて、何で国内外の人が、地球環境のことを言ったって信用しますか。そういうことを考えると、長官が所信で言われたことを再度繰り返しますけれども、環境対策の分野で多くの経験とすぐれた技術を有する我が国の地球環境問題での責任と役割に国際的注目が集まっておる、地球環境問題の解決に向けて積極的、主体的に国際的地位にふさわしい貢献をしたい。これは長官、水俣病を解決せぬでおいてこんなことは言えませんよ。足元のことをやらぬでおいて、今世界が注目しているのは水俣病をどう解決するかということが基本にあり、それが先です。それを解決せずしてこういうことは私は言えないと思う。
そこで、水俣病の解決のためにあなた方が具体的に行動を起こしきらぬというなら、それをやるだけの土俵をつくりなさいということをきょうは提案したいと思うんです。
熊本県には、熊本県水俣病対策協議会というのが県とか市町村、患者、当事者と各界代表を集めて、水俣市の助役がこの会長をいたしております。そして、水俣病をどうやって解決するかということをここで議論いたしております。私もこの委員会に、かつて臨時行政改革調査会それから臨時教育改革審議会、これを法律でつくって諮問をしたんですが、そのときに水俣病対策問題審査会というものを法律でつくって、どうやって解決していくかということをつくりなさいということをここで提案したことがあるわけでございますけれども、いろいろ名称とか何かは別にして、国も県も市町村も、あるいは国会も県会も市町村議会も、あるいは患者も、あるいは各種団体も含めて水俣病をどう解決していくかという協議会みたいなものを、大きく言えば水俣病サミットというようなものを現地水俣で開いて、そしてその中からどうやったらいいかという知恵を出してください。そういうものをつくる音頭を環境庁がとる必要があるんじゃないか、これは‘どうですか。