明石康の発言 (国際平和協力等に関する特別委員会)
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○明石参考人 大島委員からの御質問でございますけれども、UNTACが当面しております困難なことは幾つかございます。一つには財政的なことでございます。UNTACは国連史始まって以来の最も巨額の予算のかかる活動でございますし、ほぼ同時にユーゴスラビアの平和維持活動も発足しておりまして、これまた五億ドルないしは六億ドルかかる活動でございまして、それからエルサルバドルにおける国連の平和維持活動、これも数億かかるのじゃないかと思います。それからメジロ押しに待っておりますのは、西サハラにおけるモロッコとポリサリオとの対立を、国民投票を国連の手で実施することによって帰属を決めるという、そういう西サハラの問題。それから、事によったらアルメニアとアゼルバイジャンとの間のナゴルノ・カラバフの問題、これも国連に持ち込まれる可能性がございます。
そういうことで、安保理事会というのはもうほとんど毎日のように会合をやって、国連の事実上執行機関になりつつある、その動きの早さ、仕事の大きさ、そういうものは、かつての冷戦時代の麻痺した国連というものとは違って生き生きとした感じがございますけれども、そういう活発に前向きに次から次へと平和維持活動を発足させるにしては、どうも金の面になると急に渋くなってしまう。それらの国の大使連中は非常にビジョンのある積極的なことを言ってくれるわけでございますけれども、予算の担当者が出てくるACABQという財政と行政に関する諮問委員会、そこに出ますと、予算がずたずたに切られてしまう。また、かつて超大国の一つであったロシアなんかは、今の財政事情は御承知のとおり非常に厳しいわけでございます。ですから、そういう政治面での積極性と裏腹な財政面での厳しさ、そのことによって、国連自体は新しい野心的な任務を与えられておる、ところがその任務を達成するための手段、予算の裏づけを与えられていないということが我々のある意味では一番苦しい点でございます。
それからもう一つ申し上げますと、人的な面、これに関しましても、ある意味ではカンボジアとユーゴスラビアの平和維持活動が同時的に発足しておるものでございますから、ふだんでしたら、いろいろPKO活動のために派兵してくれる国の数は決して少なくございませんけれども、今回の場合、ちょっと例を申し上げますと、カナダの場合でございます。
カナダは御承知のとおり、一九五六年に国連の本格的な平和維持活動が発足したその言い出しっぺの国でございます。当時、カナダのレスター・ピアソン外相が事務総長のハマーショルドと協議の上でつくったのが一九五六年のスエズ運河に対する国連平和緊急軍でございました。そんなことで今までのPKO活動にはカナダは全面的に参加してきております。ところが、カンボジアには約二百人のロジに関する部隊しか出してくれないということで、私は非常にがっかりしまして、カナダの常駐代表の大使に言いましたら、ユーゴスラビアの方に千何名のカナダの兵士を出さなくちゃいかぬ、そういうことで、カンボジアにも出したいんだけれども、それはやまやまなんだけれども、これしか出せないんで御賢察願いたいという返事がございました。
そういうことで、しかもカンボジアの場合、さっきも申し上げたとおり、道路ができてない、橋も壊されておる、鉄道もろくにない、飲めるような水もない、非常に悪質なマラリアが蔓延しておるというインフラ未整備のところでPKOが発足するものでございますから、私どもは歩兵部隊を出してくれる国には六十日分の自給自足ができるような糧食その他を全部持ってきてほしいと言っているわけです。ところが、それだけの態勢を整えて出兵できる国がそんなに多くないというのが現状でございます。そういうことがございますし、それから警察部門、三千六百人のシビリアン警察が必要でございますけれども、これに関しましても人集めがかなり困難であるという現状がございます。そういうことが一つある。
それから、第三に申し上げますと、国連自体が次から次とPKOが発足するものでございますから、国連が機構としてパンク寸前である。国連の関係者はオーバーワークでぶっ倒れそうになっておりますし、国連のそういうマネジメントの機構を強化しないとやはりだめでおるという感じが非常にしております。
それから、カンボジア内部の非常に微妙な四派の対立関係それからポル・ポト派その他まだまだ猜疑心に満ち満ちておりますし、そういったような軍隊に対して国連による停戦をどのようにして遵守させるか、これについてはいろいろ問題がこれから起きると思いますし、そういう各派の指導層が我々の言うことを聞いてもそれが下にまで浸透しているかどうか。いろいろまた各派の中でも分派があるようにも聞いておりますので、そういうパリ協定の実際面での現地でのグラウンドにおける実施ということになるといろいろな頭の痛い問題が出てくるであろうということ、この四つぐらいではないかと思います。