ロバート・リケットの発言 (法務委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○リケット参考人 法学者でもないし、アメリカの移民制度の専門家でもあるわけではないですけれども、大体日本以外の国、私、いろいろな国に暮らしたことがあります。フランスは長く暮らしたこともあるし、アルジェリア、台湾、イギリスは多少暮らしたこともある。ある程度居住すればするほど権利を取得するようになりますけれども、日本はどうしても、先生今おっしゃったとおりですけれども、権利はないのです。資格しかない。
 その資格はどうやって与えられるかというと、それは法規定ももちろんある程度ありますけれども、一句よりもやはり法務省の自由裁量なんですね。自由裁量は日本の法制度の一つの特徴的なところかもしれないけれども。アメリカでも冷戦のときに特にアメリカの法務省の裁量権が拡大されたのですけれども、ただいろいろな人権侵害が起こらないようなチェックが設けられていて、アピールの権利も、強制退去者についてもアピールができるわけですね。それで、判事はそれを聞いて、強制退去の余地があるかないか、政府は誤っているかどうかと。それで二年前、アメリカ政府は中東問題の絡みで十九人のパレスチナ系の人たちを強制退去しようとしたのですけれども、地方裁判所はそれはだめだ、政府はやり過ぎているんだと。それはちょっと日本では考えられないことなんですね。権利じゃなくて、どうもどこかわからないところで自分の運命が決まってしまうということがありますけれども、確かにジレンマだと思います。
 それをどう解決すればいいのか。どの制度がいいか。アメリカの制度もいろいろな問題もあるだろうし、ただし住めば住むほどとにかく権利をある程度取得できる。そういう問題もありますけれども、それ以前の問題は意識の問題ですよね。それは歴史に対しての意識とか、あるいは在日外国人あるいは外国人、外から来る人間はどうもマイナスの存在である、先ほど田中先生のお話があったように国に害を与える人間だ。やはりそうでなくて、視野をもっと広げて、あるいは違う観点から――いいかどうかそれは別として、とにかく事実としては日本はもう国際化しているわけですね。大勢の、百万人ほどの外国人がこの国に暮らしていますし、日本人ととにかく日常生活の中で出会っているしつき合っているし、けんかしたりいろいろ普通に暮らしているわけですから、まず外国人としての存在を認めて、日本にとってはそこにいいことがあるのではないかと。意識変革の問題だと思いますね。
 意識変革といいましても、どうもやはり特に日本の場合は国というふうになってしまうのですね。国はこういうふうに指摘しているから、国はこういう指令を出しているから、文部省はとにかく在日外国人は教員として、教諭として認めたくない、法律には書いてないけれども、自由裁量で通達とかそのレベルでやっているし、指示しているわけですね。それはどう考えても日本の国際化を妨げているのではないかと思います。ですから、政府の責任は非常に大きいと思います。思い切ってこれは正しい、これは正しくないという政府からの判断が欲しいのです。どうごまかせばいいのかとか、あるいは今の制度を守りながら改正しているかのイメージをどう与えるかという問題じゃない、もっと根本的な問題ですね。
 それで、やはりもう過去に戻れないのです。二十一世紀に向かって、ボーダーレスエコノミーという大前研一先生の言い方がありますけれども、国境がなくなってしまったもので、とにかく外国に工場を建てて利益を日本に持って帰るのはいいのだけれども、人間は要らない、そういうわけにはいかないのですね。そういう時代じゃないので、やはり政府とか、特に日本の国会は非常に主導的な役割を果たさなければいけないのではないかと思います。

発言情報

speech_id: 112305206X00519920407_128

発言者: ロバート・リケット

speaker_id: 6026

日付: 1992-04-07

院: 衆議院

会議名: 法務委員会