池田元久の発言 (本会議)
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○池田元久君 私は、日本社会党・護憲共同を代表しまして、ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案、法人特別税法案及び相続税法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に対して質問を行います。
まず、これらの法律案の質問に入る前に、政治改革についてお尋ねいたします。
総理、現在の日本を覆っております国民の政治不信について、どのようにお考えですか。
さきの参議院奈良補欠選挙では、連合の会の候補者が自由民主党の候補者に大勝いたしました。この選挙は、共和汚職にあらわれたような自由民主党の金権腐敗政治に対して、有権者の厳しい審判が下されたものと思います。
総理、今、よその国の大統領選挙の候補者について批評している場合ではございません。ニューハンプシャー州よりも、奈良県で起きた事実について深く思いをめぐらせるべきでございます。
過去の二十年の間でも、ロッキード事件、リクルート事件などの疑獄事件がありましたが、特に、昨年からは大型の脱税事件、証券スキャンダル、そして共和汚職、さらに佐川急便疑惑が次々と間を置かずに明るみに出ました。政治の腐敗はまさに泥沼のようになっていると言ってよいと思います。この際、こうした疑惑を徹底的に明らかにするとともに、政治腐敗を防ぐ制度を確立することが何よりも重要です。
そのためには、本日行われました証人喚問に続いて、共和、佐川の関係者の喚問と、総理自身がかかわっているリクルート事件の未公開株問題について、関係者の証人喚問に応じるべきであります。
総理は、最近になって、政治改革について精力的に検討をお始めになりました。一内閣一仕事と申します。一票の価値の不平等をなくすことは当然です。かつて、三木内閣が手をつけた企業・団体献金の廃止を推し進めるとともに、汚職事件や選挙違反の連座制で有罪になった者すべてに対して立候補を制限したり、連座制を強めるなどの政治腐敗防止と政治倫理確立の立法を、今こそ行うべきだと思います。総理・総裁としてのリーダーシップを発揮すべきだと思います。総理の御見解をお伺いしたいと思います。(拍手)
税制問題についてお伺いいたします。
政治改革を進める上で、政治と企業、団体の癒着構造をなくすという視点から、与党の自由民主党税制調査会のあり方に関心を持たざるを得ません。自民党税調がそれなりに真剣に、また専門的に税制を検討していることに敬意を表するものでございます。
しかし、そこでの作業の中心は、多数の業界団体の各種の要望をいかに取り入れるか、そして、どれだけ税の例外措置ができるかを検討することです。税金のいわばディスカウントセールを組織ぐるみでやっていると言っても過言ではないと思います。しかも、年々盛んになって、政治と業界、企業の関係が肥大化しているのが実態です。こうした自民党税調の実態は、政治と業界の癒着をもたらして、多数のいわゆる族議員をつくる温床となっております。自由民主党に対する業界団体の多額の政治献金と果たして無縁でしょうか、疑問を感じないわけにはまいりません。
また、こうした実態は、税制を大きくゆがめ、議会政治の空洞化を招いております。自由民主党総裁としての宮澤総理の御見識をお聞きしたいと思います。
さて、ただいま申し上げたような自民党税調、政府税調などを経て、本日議題の租税特別措置法の改正案が提案されました。租税特別措置は、御存じのように、一定の政策目的を実現するために、負担の公平を犠牲にして、税の減免や繰り延べを行うものです。補助金と実質的に同じ効果を持つため、隠れた補助金とも呼ばれております。この租税特別措置は、いろいろな政策目的の名のもとに、次々と連鎖的に拡大されがちです。それは、自民党税調に九二年度もおよそ千六百項目もの要望が出されていることからも明らかでございます。
このように、一たん設けられますと、既得権とたって、当初ねらった政策効果が薄れても、廃止することが難しくなります。一九七六年度の政府税調の答申以来、政府は租税特別措置の整理合理化を打ち出してきました。しかし、まだまだ多数の租税特別措置が残っております。むしろ、逆に、特別措置の新設も行われております。九〇年度の税制改正では、輸入の促進を図るとして、製品輸入促進税制が創設されました。しかし、二年間たちましたが、この特別措置に政策誘導の効果があったのかどうか、貿易統計などを見ても実に不明確です。
このように、租税特別措置は多くの問題を抱えております。私は、まず、目的とする政策を実現する上で、税制以外の手段がないのかどうかを吟味すべきだと思います。そして、これまでの租税特別措置については、整理合理化のプログラムを早急につくるべきではないかと思います。大蔵大臣にお尋ねをしたいと思います。
次に、九二年度の税制改正の進め方を取り上げたいと思います。
日本の経済は、昨年の春から停滞局面に入っていました。しかし、政府は、景気は引き続き減速しながら拡大局面にあるという誤った判断をしていたことが最近わかりました。そして、九一年度の税収もおよそ二兆八千億円の減収となる見通しで、当初の見積もりは大きく狂いました。こうした事態に対しては、不要不急の経費の節減はもとより、補助金など歳出の削減合理化を行うべきでありました。
しかし、政府と自由民主党は、「まず増税ありき」で九二年度の予算を編成いたしました。そして、湾岸戦争支援のため一年限りの措置でありました法人臨時特別税を法人特別税として継続をいたしました。また、乗用自動車の消費税も割り増し税率を引き下げて延長し、地価税の純増収分も公約に違反して一般財源へ組み入れました。全く安易な増税の積み上げでございます。
また、税制論議の中で、国際貢献の増税構想が一時浮上いたしました。国際貢献という大義名分がありましても、その美名のもとに歳入不足の穴埋めを行うというのが主なねらいと見ざるを得ません。こうした正攻法でない手法はどうか、また、目的税は好ましくないとしてきた政府の考え方と矛盾しないかどうか、総理にお尋ねしたいと思います。
さて、総理はたびたび、国民一人一人が豊かさとゆとりが実感できる「生活大国への前進」を目指すとおっしゃっています。しかし、そこに至る政策の道筋がはっきりいたしません。日本は経済大国と言われておりますが、外国では摩擦を起こし、国内では豊かさやゆとりが実感できる社会にはなっておりません。
最近、論議が高まろうとしておりますが、経済の担い手である会社、法人のあり方に問題があります。企業は、押しなべて利益を配当などに回さずに、競争力の向上や内部留保に回そうとします。そして、労働者の賃金、また経営者の報酬も、先進国に比べて低く抑えられております。企業の社会貢献もまだまだ貧弱です。その結果、企業が豊かに在って、個人は豊かにならず、企業の競争力だけが強くなって、対外摩擦は大きくなる一方です。今こそ、こうした日本的経営を中心とする経済構造を改めるべきときではないでしょうか。
そのためには、企業会計原則を見直して、法人の含み益を開示させるとともに、配当を時価基準で行うなど、配当をふやす政策が必要です。また、税制の上からは、法人税を強める一方、内部留保を促進するような諸制度を見直すべきではないかと思います。生活大国を目指す宮澤総理の積極的な見解をお伺いしたいと思います。
次に、地価税についてお尋ねします。
ここ数年の地価の高騰によって、土地を持つ者と持たない者の間の資産格差は広がりました。また、一般の勤労者が住宅を手に入れることはますます難しくなりました。こうした土地問題の解決に向け、ことしから地価税が実施されました。この地価税は、当初の予定より大きく後退した内容になっておりますが、このような資産課税の仕組みを導入したことは評価できると思います。また、先ほど申し上げましたように、法人への資産の集中など、日本の経済構造のゆがみを正す上からも必要な税制です。
ところが、この地価税に対しまして、早くも大手不動産業者などから、廃止を求める声が上がっております。最近の地価の鎮静化は、対症療法的な措置などによってもたらされたものでございます。地価税はむしろ強めていかなければならないと思います。地価税の重要性についてどのように考えているか、明らかにしていただきたいと思います。大蔵大臣にお尋ねしたいと思います。
また、九二年度の税制改正で、相続税について、土地の評価を公示価格に近づけることに伴って負担の調整を行うことになっています。相続税については、これまでの政府税調の答申にありますように、富の再配分機能に留意しつつ、適正公平な課税を目指すことが必要だとされております。今回、負担の調整を行うことになったことや、また、小規模宅地等については、負担調整の範囲を超えて減税になったことについて、大蔵大臣の見解をお伺いしたいと思います。(拍手)
総理、政治に信頼がなければ、国民は納税する意欲を失います。まして、国民は増税などは許さないと思います。かけ声だけでない政治の改革が必要です。政治の腐敗をなくし、民意を反映する政治システムの確立に向けて、総理が先頭に立って具体的な改革に踏み出すときであります。
総理のお考えをお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕