和田貞夫の発言 (本会議)

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○和田貞夫君 我が国は、敗戦後、焦土の中から経済社会の再建を進め、今日、世界有数の経済大国となるに至りましたが、この戦後経済の発展を支えたものは、一つは、通産省に代表される産業政策の展開でありますが、他方、私が強調しておきたいのは、紆余曲折があったにせよ、財閥解体を出発点とする経済民主化と独占禁止政策なくしては、今日のような我が国の繁栄は決してあり得なかったのであります。(拍手)
 また、我が国の世界経済への貢献が強く求められている今日、私は、その最低限の一つが、独占禁止政策の国際ルールの平準化実現という課題であると考えております。これまで産業政策の名のもとに、日本の産業の中に温存されてきた古い制度や慣行を見直し、世界各国との公正な競争の中で、よりよいパートナーシップを築くことが求められているということであります。そのことがまた、我が国の今後の経済発展の活力を生み出すものと確信いたしております。
 さて、恐らくは、そのような共通の認識に立ちながら、ただいま趣旨説明がそれぞれありましたように、私的独占禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律の両案が、竹村幸雄
君外提出のものと内閣提出のものとが、その内容に大きな隔たりが見られるのであります。
 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、提出番及び宮澤総理並びに関係大臣に対し質問をいたします。
 まず、社会党案についてお尋ねいたします。
 第一に、今回の法案を提出するに当たって、独占禁止政策を取り巻く現状と課題をどのようにとらえているのか。第二に、法人事業者に対する罰金の上限を五百万円から五億円に引き上げた理由は何か。第三に、第九十四条の二第四号の物件提出命令違反の罪を両罰規定の対象に加えた理由は何か。第四に、公正取引委員長及び委員の任命要件を加重する理由は一体何か。以上、明快にお答え願いたいのであります。(拍手)
 続いて、政府案についてお尋ねいたします。
 まず、本改正法案の基礎となっている刑事罰研究会報告書の公表を二カ月以上も公取委が拒み続けて、予算委員会での社会党の要求でようやく公表に至ったのであります。この間、産業界や政府・与党内で反対が強かったためとも言われていますが、公表をおくらせた理由を、この際、明らかにするよう要求いたします。(拍手)
 次に、罰金の引き上げについてであります。
 刑事罰研究会報告書では、主要先進国の罰金刑・制裁金の上限がアメリカにおいては十三億円、ECが約一億六千六百万円、もしくは当該企業の前年度総売上高の一〇%となっていますので、こうした事情をもとにして、さらに我が国では刑事罰と課徴金が併存しているとの事情を十分勘案した上で、第八十九条の罪について、事業者等に対する罰金刑の上限額を「数億円程度の水準に引き上げることが必要である。」との結論を出しているのであります。
 また、公正取引委員会もこれを受けて、当初、同研究会との間で、この数億円とは三億円から五億円程度と念頭に置いていたのでありますが、いつの間にやら一億円にと腰砕けになったのか、その理由をお聞かせいただきたいと思います。(拍手)
 また、今国会に提出されている証券取引法の改正案では、相場操縦行為等についての罰金額の上限を三億円に引き上げることとしており、これに比べても本改正案はまことに見劣りをするとは思いませんか。総理、ここはひとつ素直にお答えいただきたいのであります。(拍手)
 ところで、公正取引委員会が先ごろ告発を見送りました埼玉県の公共工事入札談合事件に対する政府、公取委の対応についてお尋ねいたします。
 埼玉県の公共工事入札談合事件については、公取委が告発の最有力事件として調査に力を入れていると承知していたのでありますが、ことし二月ごろから一転いたしまして極めて消極的になり、結局は告発を見送り、排除勧告のみにとどまり、国民の大きな期待を裏切ったのであります。この間のいきさつにつきまして、マスコミ等では、政府・与党関係者との間で、罰金の引き上げを盛った独禁法改正案の提出と埼玉談合告発の見送りで取引があった等の報道もなされましたが、それは事実でしょうか。この際、国民の前に明らかにすべきであります。
 また、公取委と検察当局との協議もほとんどなされていなかったとも言われていますが、もしこれを否定されるのでございましたならば、協議の回数等を含めて、納得ができるよう、この際お答えいただきたいと思います。
 公取委は最近の記者会見で、告発見送りの理由として、個人の違法行為があったとする具体的な証拠がないことを挙げています。しかし、もともと公正取引委員会には犯罪捜査権が与えられていない以上、告発に当たって個人の犯罪の認定まで求めることは、このような大がかりな悪質な事件ほど刑事責任の追及ができないようになるではございませんか。要するに、公正取引委員会が告発したくないから告発しなかったということに尽きるのでありまして、その理由づけに困ったあげく、本来、公正取引委員会にない権限まで持ち出して、告発要件をみずから困難にしているように私には見えてなりません。(拍手)これでは、罰金を一億円にしようが、仮に十億円にしようが、二十億円にしても、告発しないのでありましたならば、何ら抑止力の強化にはならないではございませんか。お答えいただきたいと思います。
 この機会に、独占禁止法の改正案と入札談合問題について建設大臣の認識を伺っておきたいと思います。
 大臣はことし三月初めの記者会見で、建設省としては、今議論されている独禁法の刑事罰引き上げには反対であると述べておられますが、国際的にも国内的にも批判されている我が国建設業界の談合体質を改善する意思がないのですか。
 また、社会的な指弾を受けている埼玉県の公共工事入札談合事件について、どのような対応策を考えておられるのですか。
 昨日、建設省は、埼玉土曜会の六十六社に対し、指名停止一カ月間の措置をとりましたが、このような一カ月程度の指名停止処分でお茶を濁し、停止期間が終えると大型工事量を発注するというのでは、世論を納得させることはできないと思いますが、大臣の所信を明らかにしていただきたいと思います。(拍手)
 次に、通産大臣にお尋ねいたします。
 カルテル等は強盗と同じで、非常に悪質な行為であるというのが先進国の常識でありますが、我が国の経済界では、これまでほとんど独禁法違反で刑事責任の追及がなかったこともあり、認識が極めて希薄であります。我が国の独禁政策のあり方についてどのようなお考えを持っておられるか、お答えいただきたいと思います。
 また、最近、アメリカが独禁法の域外適用についての新たな方針を発表したことについて、あなたはどのようにお考えになっておるのか、お尋ねいたしたいと思います。
 最後に、公正取引委員会のあり方について、総理の見解をただしたいと思います。
 公正取引委員会の委員長及び委員は、三十五歳以上で、法律または経済に関する学識経験ある者のうちから、総理大臣が両院の同意を得て任命する、こういうように法律で明記されておるのであります。発足後数年間は、裁判官、弁護士、大学教授といった肩書の方が任命されていたのでございますが、近年に至っては、大蔵省を初めとする各省庁の出身者が独占している現状であります。このような人事のあり方は、いかに手続的に適正であったといたしましても、本来の趣旨から申しますと、決して適切な人事とは言えないのであります。(拍手)
 公正取引委員会の職務の独立性、公正さについて、いささかも国民から疑念を差し挟まれる余地があってはならないと存じます。このような観点から、今後は各省庁からの天下り的人事は、ぜひやめていただきたいと思うのであります。公正取引要員会事務局で長年にわたり実務に携わってきたプロパーの職員や、裁判官や弁護士や学者等、幅広くバランスのとれた人事を強く要望するものでございます。
 四カ月先のこの九月二十三日に任期満了となる現公正取引委員会委員長の後任に、事もあろうに大蔵事務次官経験者の名前が既に取りざたされるに至っては、全く国会を冒涜する人事であると言わなければなりません。(拍手)
 しかるに、今後なおこのようなあしき慣行の人事が繰り返されるのであれば、我が日本社会党。護憲共同は、当該人事案件には同意しないこともあり得るので、厳重に注意を促して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕

発言情報

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発言者: 和田貞夫

speaker_id: 13016

日付: 1992-05-28

院: 衆議院

会議名: 本会議