小岩井清の発言 (本会議)

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○小岩井清君 和田貞夫議員の御質問に提案者を代表してお答えをいたします。
 第一点は、法案提出に当たっての現状と課題の認識であります。
 この点につきましては、まさに和田議員が御質問の冒頭で述べられたとおりでありますので、繰り返しを避けたいと思いますが、一言で申し上げるならば、生活者重視の公正な経済秩序の実現と国際的な競争ルールヘの平準化という主要な二つの観点から、独占禁止法違反行為に対する厳正な対処と抑止力の強化を図るとともに、法運用の透明性を高めることが今日の緊要な課題となっているということであります。
 なお、違反行為に対する厳正な対処という点につきましては、さきに公正取引委員会が決めました埼玉県の建設談合事件に対する告発断念と関連づけて、何点か申し上げておきたいと思います。
 和田議員も御指摘のように、まず公正取引委員会が告発を行うための要件について、法律の趣旨は、果たして今回のように当該事件への個人の関与に関する具体的事実の証拠の存在まで求めているのかどうか。今回の公正取引委員会の見解によれば、今後告発を行うことが著しく困難になりはしないかという点について、十分に議論する必要があると考えております。いかに罰金額を引き上げようとも、めったに刑事告発されないというのであれば、刑事罰による抑止力は事実上著しく減殺されてしまうのであります。
 第二に、現行法の両罰規定は、自然人の違反行為についての有罪判決があって初めて、事業者等にも罰金刑が科される仕組みになっておりますけれども、典型的な企業犯罪である独禁法違反行為について、このような仕組みのままでよいのかどうかも今後検討の必要があるように思われます。
 なお、この問題とも関連いたしますが、現行法には、一九七七年の大改正の際に追加された第九十五条の二のいわゆる責任罰に関する規定がございます。これは、法人の代表者が法人及び従業者個人の違反行為を防止もしくは是正しなかったことについて、代表者を処罰する旨を定めたものであります。この規定による法人代表者の刑事訴追は、両罰規定とは異なり、行為者個人の違反行為自体の刑事訴追を前提とせず独立して行うことができ、また、公正取引委員会の専属告発にもなっておりません。
 今回の埼玉県の事件では、談合ルールがかなり以前から形成されていたために、九〇年六月以降については個人の具体的な違反行為が認定できなかったケースであるとしても、それ以前の違反行為に基づいて今日まで談合が継続し、法人代表者がそれを知りつつ是正のために必要な措置を講じなかったという事実を認定できれば、この責任罰の規定によって法人代表者の刑事責任を追及し得たとも考えられるのであります。
 質問の第二点は、罰金額の上限を五億円に引き上げる理由であります。
 今回の改正により法人事業者に対する罰金を引き上げる趣旨は、法人事業者とその役員とでは資力に大きな格差があるため、その格差に応じて法人事業者の罰金刑の上限を引き上げることにより、法人事業者に対する刑罰としての抑止力を高めることにあります。その具体的水準につきましては、和田議員の御質問の中でも言及されている刑事罰研究会の検討結果を重視いたしました。
 すなわち、まず事業者等と従業者等の資力の比較でありますが、フロー面では、資本金一億円以上の法人の経常利益と、同規模以上の法人事業者の役員の役員給与を比較すると、過去五年間の平均で九十二倍となっております。また、ストック面では、資本金一億円以上の法人の純資産と、同規模以上の法人事業者の役員の収入に相当する収入のある個人の正味資産の推計を比較すると、約五十倍となっております。これは、時価に換算いたしますと約百七十倍になるのであります。
 次に、主要先進国におけるカルテル等の違反行為に対する企業についての罰金刑・制裁金の上限でありますが、米国では、一千万ドル、すなわち約十三億円になっております。また、ECでは百万ECU、すなわち約一億六千六百万円、もしくは当該企業の前年度の総売上高の一〇%になっております。これを総合し、また、我が国には課徴金制度が併存することをも一応考慮に入れた上で、研究会は数億円という結論を出しているのであります。
 研究会座長であります正田彬教授によりますと、この数億円の読み方は、現行の五百万円に、前に述べたとおり、資力比較で得られた係数を乗じて、二億五千万円から八億五千万円の範囲だという意味だそうであります。
 社会党案におきましては、このほかに、今国会に提出されている証券取引法改正案が、同様の趣旨から事業者等に対する罰金刑の上限を現行の百倍に引き上げていることをも十分に参考にいたしまして、現行の百倍、五億円といたしたものであります。これは、刑事罰研究会の言う数億円のちょうど真ん中ぐらいであり、また、米国やECと比較しても極めて適切な水準であると言えるのであります。
 刑事罰は、ばれたら損をするという仕組みによって違反行為を抑制することがねらいでありますので、大企業に対してもそれなりの感銘力、すなわち経済的打撃を与え得るものとしなければならない、この意味でも、五億円程度の水準は必要であると考えております。
 第三点は、公正取引委員会の調査権限を強化をするという観点から提案したものであります。
 現行法の規定では、公正取引委員会は、事件について……(発言する者あり)

発言情報

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発言者: 小岩井清

speaker_id: 7859

日付: 1992-05-28

院: 衆議院

会議名: 本会議