前田勲男の発言 (本会議)
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○前田勲男君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました平成四年度予算三案に対し、賛成の討論を行うものであります。
今、我が国の政治にとって最も重要なことは、政治に対する国民の信頼を回復することであります。我々は、今般の事件を民主政治の根底を崩壊するものとして重く受けとめております。速やかにその原因を徹底的に究明し、再発防止に取り組むとともに、懸案である金のかからない選挙そして政治を実現するため、政治倫理、政治資金、選挙制度等の政治改革の断行をいっときも早く実現する決意であります。
これらの緊急課題は目下与野党協議にゆだねられておりますが、政治に対する国民の心を踏まえて真摯に対処し、国会全体として本問題が早く遂行できるよう、まず要望いたしておく次第であります。
さて、世界は今、何百年に一度という大変革のさなかにあります。わずか三カ月半前、建国七十年を目前にして昨年の暮れに、あの強大を誇ったソ連邦は崩壊いたしました。ここに戦後四十数年間にわたる東西冷戦体制は終えんをいたしましたが、一方、これまで表面化したかった地域紛争や民族間の対立が多発をし、世界秩序は新たに不安定さが増幅し、複雑になってきておるわけであります。
こうした中で、今、我が国は、多方面での国際貢献を求められております。湾岸戦争での百三十億ドルの資金援助や、ペルシャ湾での海上自衛隊の掃海艇による機雷除去等の実績は世界で大きく評価をされているところでありますが、今一番重要なことは、世界の平和、安定に対して、日本としての使命やその分担を世界に示し、具体的にどう汗を流すか、どんな活動、どんな行動をするかということであります。
これにこたえるその一つが、現在本院で継続審査中のPKO法案の速やかな成立てあります。特に、今日、アジアの同胞としてカンボジア和平に我が国としてもなし得ることを果たすことが国際的使命であります。予算成立後の最大の政治課題である本件につき、どうか各会派の積極的な御協力、御理解をこの際篤とお願いをいたすものであります。
次に、国内情勢でありますが、イザナギ景気に並ぶ勢いにあった長期にわたる好景気も、バブル崩壊とともに後退局面に転換をし、我が国経済は目下大変厳しい状況にあります。これに対し、政府は、我が党の要請を踏まえ、先月末に公共事業の前倒し発注を初めとする七項目から成る緊急経済対策を決定いたしましたが、本予算の成立によっていよいよ本格的に動き出すことになり、その効果が十二分に期待されるところであります。
また、宮澤内閣が掲げる国民一人一人が真の豊かさを実感できる生活大国づくりは、経済成長偏重への反省などから多くの国民の共感を得るに至っておりますが、中でも、労働時間の短縮、社会資本の整備、高齢化対策などはいずれも今日の重要な課題であり、今後はその着実な推進が望まれるところであります。
本予算案は、大変厳しい財政事情の中、これら内外の要請に応じたまことに適切な内容となっており、高く評価をするものであります。
以下、本予算案に賛成する主な理由を申し上げます。
まず、生活大国の基盤となる社会資本の整備に十分配慮している点であります。
総額八兆一千七百九億円の公共事業関係費は、生活関連重点化枠などを通じて、住宅、下水道、公園など国民生活の基盤となる分野に重点的に配分をされており、二十一世紀に向けての社会資本の充実が大いに期待できること、これが賛成する第一の理由であります。
第二の理由は、来るべき高齢化社会への対応が着実になされている点であります。
高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプランを推進していくことは、二十一世紀に向けて我が国が取り組むべき最重要課題の一つであります。本予算案では、看護学士への奨学金制度の拡充、ホームヘルパーの大幅増員、また介護労働者の福利厚生改善等のマンパワーの確保策や特別養護老人ホームの整備などの諸策に格段の配慮がなされており、来るべき高齢化社会への対応準備が着実に進められていることであります。
第三の理由は、国際貢献の要請に的確にこたえている点であります。
本予算案での政府開発援助予算は前年度比七・八%増と高い伸びとなっておりますが、これによって国際公約のODA第四次中期目標が達成される見込みであり、質的にも無償援助の額をふやすなどの改善がなされております。さらに、六月の地球サミットを控えて地球環境保全関係費の増額を行う等、全体として我が国の国際貢献重視の姿勢を明確に示すものであります。
第四の理由は、防衛費が適切に計上されている点であります。
冷戦体制の消滅は第二次世界大戦後の国際情勢を一変させるものでありましたが、我が国といたしましては、地域紛争や民族の対立など、なお動揺が続く国際情勢を見据えた上で、これまでおくれていた後方分野の改善に努めるなど、全体として均衡のとれた防衛力を維持することが今後とも必要であります。本予算案での前年度比三・八%増の防衛関係費は、これらの観点からまことに適切な内容となっております。
第五の理由は、積極的な景気対策が盛り込まれている点であります。
本予算案の公共事業関係費は一般歳出の伸びを上回る前年度化五・三%増となっており、また、財政投融資計画での公共事業分も一〇・八%増、さらに地方単独事業も一一・五%増と、それぞれ高い伸びを確保いたしております。これらは現下の景気対策として、緊急経済対策とも相まってその効果が大いに期待されるところであり、賛成をいたす次第であります。
第六の理由は、財政再建への努力が継続されている点であります。
景気の後退に伴い税収が低迷する中、本予算案は、赤字国債の発行に陥ることなく、歳出の徹底した節減合理化とともに建設国債の発行で対処されており、このような政府の努力は、現下の局面におきましてはもって多とすべきものであります。願わくは、内外の財政需要に対応するため、政府の第二段階財政再建計画の推進にさらなる努力を要請するものであります。
そのほか、平成四年度予算は、文教及び科学振興費、中小企業対策費等、当面する財政需要に対し適切な予算が計上されており、現状において編成し得る最良の予算であると確信をいたしております。
以上、平成四年度予算三案に賛成する主な理由を申し述べましたが、政府におきましては、本予算の成立後は、公共事業の前倒しを初めとする緊急経済対策の実施を推し進め、我が国経済を一日も早く調整局面、減速局面からインフレなき持続的成長へと移行せしめ、二十一世紀に備えた盤石な経済基盤を築くようにここに強く要望いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)