高井和伸の発言 (本会議)
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○高井和伸君 私は、連合参議院を代表して、ただいま議題となりました平成四年度総予算三案に対し反対の討論を行うものでございます。
宮澤内閣が発足して半年が過ぎようとしております。この間、国民は、目まぐるしく変化する内外情勢の中で、総理が山積する重要課題にどのように対処していくのか、期待を持って注目してまいりました。
しかるに、国際貢献、軍縮、平和の推進に対する取り組みが不十分である上、内政面においても政治改革は遅々として進まず、総理が最重要課題として掲げる生活大国の実現さえ、結局、絵にかいたもちに終わるのではないかと早くも危惧されているのであります。
とりわけ、政治腐敗の根絶が求められている政治改革については、総理自身の問題でもあるリクルートコスモス株疑惑の解明がなされていないばかりか、相次ぐ共和、東京佐川急便事件についても全容が明らかになっておらず、国民の政治に対する不信は高まるばかりなのであります。世論調査における宮澤内閣の支持率が、発足当時の五五・七%から月を追うごとに低下し、先月の調査で二六・五%へと半減していることは、就任以来の総理の政治姿勢に国民の落胆と失望が日増しに高まっていることを如実に示すものにほかなりません。
本予算についても、ODA、高齢化社会への対応、地方の活性化等の諸課題に十分対応した内容とはなっておらず、到底認めることはできません。
以下、反対の主な理由を申し述べます。
反対の第一の理由は、生活大国実現への取り組みが不十分なことであります。
国民がゆとり、豊かさを実感できる生活大国を実現していくためには、生活関連社会資本の整備や高齢化対策など福祉施策の充実が必要なことは言うまでもありません。
しかるに、本予算案の一般公共事業費の事業別構成比を前年度と比較してみますと、住宅は一一・五%、下水道は一一・三%で変わらず、環境衛生にしても三・〇%から三・一%へと、わずか〇・一%上昇したにすぎません。従来の固定した配分比率にはほとんど変化が見られず、とても生活関連事業を重視したとは言えない状態であります。社会保障関係費にしても、その伸び率は前年度化四・三%増と平成元年度以降最低の伸びとなり、看護婦、ホームヘルパーの増員など高齢化社会へ向けた緊急課題への対応も不十分な内容に終わっております。
こうした点を見ただけでも、総理の言われる生産者中心の視点から生活者を重視した社会への転換がかけ声倒れに終わっていることは明らかであり、国民の期待は裏切られたと言わざるを得ません。
反対の第二の理由は、景気への配慮が足りないことであります。
景気は昨年後半以降急速に落ち込み、ことしに入ってからは産業界にさらに生産調整の波が拡大するなど一段と悪化してきております。平成四年度の設備投資計画も前年度比マイナスを見込む調査結果が相次いで出され、既に景気後退が長引くとの見方も多数見られるのであります。
しかるに、本予算案は、一般公共事業費の伸びが前年度化四・五%増と前年度の五・一%増を大きく下回るなど、景気刺激型とはなっていないのであります。先日決定された緊急経済対策にしても、予算執行の前倒しにすぎず、追加の財政出動を伴うものではなく、景気浮揚には力不足であります。
反対の第三の理由は、防衛費の抑制が不十分なことであります。
東西冷戦の終結、ソ連邦の崩壊という劇的な国際情勢の変化の中で世界的な軍縮の流れは飛躍的に進展し、既に欧米先進諸国の間では防衛費削減の動きすら見られるのであります。
しかるに、本予算案における防衛関係費は四兆五千五百十八億円、対前年度比三・八%増、額にして一千六百五十八億円の増加と、政府が国際貢献の目玉として最重要視する経済協力費の増加額五百九十二億円を三倍近く上回る大きな増加費目の一つであり、軍拡路線なのであります。
政府は、現下の国際情勢にかんがみ、東西冷戦構造を前提とした防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画の見直しを早急に行うとともに、防衛費削減計画の作成に取り組むべきであります。
反対の第四の理由は、第二段階の財政再建が大きく後退していることであります。
我が国の財政は、平成二年度に特例公債依存体質からの脱却が達成されたとはいえ、国債残高は約百七十四兆円に達し、一般会計歳出に占める国債費の比率は二割を超えるなど依然厳しい状況にあり、平成七年度までに公債依存度を五%以下に引き下げるなどを内容とする第二段階の財政再建が必要となっていることは言うまでもありません。
しかるに、本予算案における建設国債発行額は七兆二千八百億円と、削減目標額四千五百億円に達しないところか、前年度当初より一兆九千三百七十億円増加し、公債依存度も前年度の七・六%から一〇・一%へと大幅に上昇しているのであります。その結果、第二段階財政再建目標を達成するためには建設国債発行額を平成五年度以降毎年度一兆一千五百億円ずつ減額することが必要となり、事実上目標達成は不可能との声が多く聞かれるのであります。
政府は、改めて行財政改革の徹底、歳出の節減合理化等に努め、建設国債発行額を抑制するべきであります。
反対の第五の理由は、地価税収を一般財源としていることであります。
地価税については、平成二年の政府税調の土地税制のあり方についての基本答申や昨年の本院大蔵委員会における附帯決議の中で、その収入は所得税減税及び土地対策に充てるという方向が既に示されておりました。しかし、政府は歳入不足を理由に所得税減税を行わず、地価税収を一般財源として組み込んでいるのであります。しかも、土地対策への充当もわずかで、地価税創設当時の論議や国会の意思も全く無視されております。国民に対する公約違反、国会軽視の政府のやり方は絶対に許せないのであります。
そのほか、消費税の飲食料品非課税化などの是正措置が盛り込まれていないこと、予算の歳入歳出外となる資金や基金づくりが多数予定されていること、地方交付税の特例減額が行われていること、PKO法案を当院で審議中にあるにもかかわらず予算においてPKF関連予算の先取りがあることなど、本予算案に反対する理由には枚挙にいとまがありません。
最後に、景気の浮揚を図るとともに、勤労者の負担軽減のための減税を行うこと、PKOについては自衛隊とは別組織で、PKF抜き、国会の事前承認を条件に行うことを強く政府に求め、私の反対討論を終わります。(拍手)