田原隆の発言 (本会議)

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○国務大臣(田原隆君) 三石議員の質問にお答えします。
 まず、指紋押捺について、一律廃止とせずに、永住者等を除く一年以上本邦に在留する外国人に対し指紋押捺制度を存続させる理由及び必要性についてのお尋ねでありますが、指紋押捺にかわる同一人性確認の手段として採用することとした写真、署名及び家族事項の登録による複合的手段は、長年本邦に在留し我が国社会への定着性の高い永住者及び特別永住者については有効と言えますものの、それ以外の外国人については類型的に我が国社会への定着性が認められる者ではありませんので、現行どおり一年以上の在留期間を有する非永住者については指紋押捺制度を維持することが必要であり、指紋押捺の必要性に関する従来の考え方に変わりはございません。
 なお、本案作成に当たっては、政府部内において慎重な検討と調整の結果、本案のごとくまとまったものであります。
 次に、指紋押捺を行わないこととなる永住者等に係る指紋の押捺された登録原票等の処置についてのお尋ねでありますが、今回の外国人登録法改正後におきましても、永住者及び特別永住者が新制度に移行するまでの間はこれらの登録原票等の保存が必要であります。また、永住者及び特別永住者全員が新制度に移行した後における登録原票等の取り扱いにつきましては、目下検討中であります。
 次に、鮮明な写真とはどういう規格のものかとのお尋ねでございますが、写真のサイズを現行のものより若干大きいものとするほか、撮影日の期限、被写体の背景等につき同一人性の確認上必要と認められる諸条件を定める方向で検討しております。
 次に、民族固有の文字による署名も認めるかとのお尋ねでありますが、署名の文字につきましては、原則的には自己の旅券上の署名と同じ書体で自署するものとし、また、旅券を所持していない者につきましては、本人が最も書きなれた文字により自署すればよいものとする方向で検討中であります。
 次に、家族事項の範囲についてどのような考えのもとに決めたかとのお尋ねでありますが、永住者及び特別永住者については、写真、署名及び一定の家族事項の登録をもって指紋押捺にかえることとしておりますところ、家族事項の登録の範囲としては、行政上の必要性、登録申請者の負担等を考慮し、本邦にある父母及び配偶者の氏名等のほか、居住及び生計を一にする世帯構成員の氏名等としたものであります。
 次に、戸籍のない外国人に家族事項を登録させる意義についてお尋ねでありますが、家族事項を登録させることにより、身がわり事案等、人物の同一人性に疑義がある場合に、登録されているその者の家族に照会し人物の同一人性を確認することが可能となるところにその意義が存在するのであります。
 次に、職業及び勤務所または事務所の名称及び所在地を登録事項等から削除できないかとの御質問ですが、外国人の居住関係及び身分関係を明確ならしめ外国人の在留管理に資するという外国人登録法の目的を達成する上で、外国人の職業及び勤務先も、氏名、国籍、居住地等と同様に重要な事項であることから登録事項としているものであります。したがいまして、人物の同一人性の確認の一助をなすという意味からも、職業等、御質問の事項を登録事項や登録証明書の記載から外すことは困難であります。
 次に、指紋押捺によって同一人性を確認する必要がないのではないかとのお尋ねでありますが、今回の改正法により導入しようとする新たな同一人性確認手段は、我が国への定着性を深めた永住者及び特別永住者については有効でありますが、それ以外の外国人については十分に機能しないと認められますので、これらの者の同一人性の確認は、現行どおり、万人不同、終生不変という特質を有する指紋押捺によることが必要と考えております。
 次に、今後新規に指紋を押捺しなければならない外国人はどのくらいの数になるかとのお尋ねにつきましては、最近入国する外国人の増加が著しく、その伸び率から推計すると、平成五年度は約三十六万人と見込んでおります。
 次に、改正法施行に際して市町村窓口が十分に対応できるかとのお尋ねにつきましては、改正法の円滑な施行のためには、登録申請を行う外国人にも改正の趣旨がよく理解され、また、市町村における事務も混乱なく円滑に行われることが肝要と考えております。このため、改正法の施行前に広報活動を積極的に行うとともに、その事務の執行に当たる市区町村職員に研修の機会を設けるなどして万全を期する所存であります。
 次に、さきの外国人登録法改正の際の衆参両法務委員会の附帯決議は今回の改正案の上にどのように生かされたかとの御質問ですが、今回の改正は、昭和六十二年改正時における衆参両法務委員会の附帯決議の趣旨を踏まえたものであります。すなわち、我が国の社会で長年にわたり生活し本邦への定着性を深めた永住者及び特別永住者につ
いて指紋押捺を廃止し、写真、署名及び家族事項の登録をもってこれにかえることとし、附帯決議の内容を実施するものであります。
 また、外国人登録証明書の携帯制度についても、これまで常識的、弾力的な運用がなされているところであり、この運用方針をなお一層徹底する所存であります。
 次に、不署名罪を設ける必要性についてお尋ねでありますが、署名は、指紋押捺と同様、外国人の同一人性を確認する手段として外国人登録制度上重要なものでありますので、意図的にこれを拒否しまたは妨害するような法違反行為をする者には、指紋を押捺しない者と同等の刑罰を科することが相当であると思料いたします。
 次に、外国人登録法違反の罰則についてお尋ねでありますが、外国人登録法上の罰則は、外国人の居住関係及び身分関係を明確ならしめ在留外国人の公正な管理に資するという法目的を達成する上で、各違反行為の悪質性や違反行為抑止の程度、必要性等を勘案して定めているものであり、現行の法定刑が特に重過ぎるとは考えておりません。(拍手)
   〔国務大臣塩川正十郎君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 田原隆

speaker_id: 30154

日付: 1992-04-20

院: 参議院

会議名: 本会議