佐藤三吾の発言 (平成四年度一般会計予算外二件両院協議会)
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○佐藤三吾君 参議院側が平成四年度一般会計予算外二件を賛成少数で否決した議決の趣旨を申し上げます。
否決の第一の理由は、経済大国から生活大国への転換を提唱しながら、生活大国づくりのための社会資本整備の予算が不十分な上に、項目別配分が不適切なことであります。
宮澤総理は、生活大国への転換を内政の重要課題として取り組むことを公約され、社会資本の整備や労働時間の短縮など六項目の整備課題を挙げられました。
しかし、生活大国づくりの基礎となる生活関連社会資本の整備充実は、公共事業関係費が平成三年度の六%増から四年度は逆に五・三%増と伸びが低下しているほか、事項別、省庁別の配分比率も従来とほとんど変わっておりません。また、平成三年度から設けられた生活関連重点化枠は、二千億円が据え置かれているほか、本年度新設された公共投資充実臨時特別枠二千億円は、産業経済優先時代の固定的配分比率を一層厚くする方向で配分されているなど、生活の豊かさを実感できる生活関連社会資本整備の推進に疑問を抱かざるを得ません。
加えて、生活大国づくりで宮澤内閣の進めようとする諸施策のほとんどが、従来政府が行っている既存施策と予算配分の単なる延長にとどまっていることも、この際、指摘しておきたいと存じます。
第二の理由は、高齢化社会への対応が緊急課題なのに、社会保障関係費が逆に抑制されていることであります。
平成四年度予算における社会保障関係費は、前年比四・三%増と一般歳出の伸びを下回っております。そうした中にあって、高齢者の医療、福祉経費の伸びを見ると、一応の努力の跡も見られますが、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」で掲げているホームヘルパーや看護婦の増員等の諸施策の推進は必ずしも十分でなく、計画に対する進捗率もおくれております。人材確保のための待遇改善と地位向上の措置が不足しているほか、介護施設等のハード面の予算措置も不十分であります。
また、宮澤総理は、生活大国のあるべき姿として、老人や障害者が安心して、生きがいを持って生活できる社会を挙げておりますが、高齢者の生きがいを推進する予算が横ばいとなっていたり、障害者の諸措置も十分と言えず、前途に不安を覚えざるを得ません。
第三の理由は、防衛関係費の圧縮が、冷戦終結後の世界情勢から見て、なお不十分であるということであります。
東西冷戦終結後の世界情勢の変化は、ソ連、東欧、さらには朝鮮半島の南北歩み寄り、カンボジア和平の進展など、アジアにおいても平和と協調に向けた歩みが着実に進んでおります。我が国はこうした変化を的確に受けとめ、防衛予算を極力抑制し、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画を見直す中で、今後、計画的に削減し、防衛関係費の思い切った圧縮を図ることが必要であります。
政府予算案では、確かに、防衛関係費が前年比三・八%増と、近年の五、六%台の伸びから圧縮されておりますが、新規国庫債務負担行為の増額による正面装備充実の方向に変化はなく、世界の潮流に的確に対応できておりません。
この際、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画の速やかな見直しが喫緊の課題であります。
第四の理由は、所得税減税、パート・内職者減税、家賃控除等、勤労者の負担軽減措置が無視されているほか、地価税収を創設時の趣旨と異なる一般財源に使っていることであります。
給与所得税収の国税収入に占める割合は、減税実施後の平成元年度の一六・二%を底に年々上昇し、平成四年度では一九・六%と消費税導入前の水準にまで高まっているほか、直間比率も直接税比率が七四%と過去最高水準となるなど、給与所得税偏重の構造は改められておりません。政府は、財政事情を理由に減税を拒否しておりますが、税の取り過ぎは国民に戻すべきで、少なくとも消費税導入以降の消費者物価の上昇に伴う実質増税分は、国民に物価調整減税として返すべきであります。
また、平成四年度予算では、三年度に創設された地価税が計上されておりますが、本来、地価税は増収を目的とするものでなく、減税財源に使うか土地対策に充てることが創設時の趣旨であり、国会での政府の約束でありました。ところが、これを創設の趣旨と異なる一般財源にその大半を使ってしまっていることは、国民と国会に対する重大な約束違反であり、認めるわけにはまいりません。
第五の理由は、特例公債依存脱却の第一段階の財政再建に引き続き、第二段階の財政再建を実施、定着させることが政府の責務でなくてはならないのに、その取り組みに緩みが見られることであります。
バブルの崩壊は国の税収を直撃し、税取水準を大きく低下させ、財政運営に深刻な影響を与えております。平成四年度予算においては、前年度当初比一兆九千三百七十億円増額の七兆二千八百億円の巨額の建設公債の発行で対処しており、このため、建設公債を毎年度四千億円ずつ減額するという削減目標のコースを大きく外れ、もって平成七年度に建設公債依存度を五%以下にするという目標の達成を極めて難しくしております。
しかも、バブル時代の好調な税収を背景に歳出予算が膨張傾向を強めているのに、不要不急予算の削減を怠り、場当たり的対応しか見られません。これでは第二段階の財政再建の前途に不安を覚えざるを得ません。
否決の理由は、このほか広範多岐にわたりますが、両院協議会としましては、参議院側が指摘した平成四年度予算に反対する諸事項を除去することによって、平成四年度予算三案が成立できるよう、御協力、御賛同いただきたくお願い申し上げる次第であります。
以上でございます。