濱邦久の発言 (予算委員会)

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○政府委員(濱邦久君) 引き続きまして、捜査処理及び公判状況の具体的内容等についてご説明いたします。
 第一は、本件の捜査処理の概況についてであります。
 東京佐川急便事件については、東京地検において、昨年八月一日東京佐川急便渡邉元社長らに対する特別背任罪による告訴を受けて捜査に着手し、本年二月十四日に同人らを逮捕するとともに、多数回にわたる関係箇所の捜索、差し押さえを実施して、本格的な捜査を開始しました。
 検察当局では、以後警視庁とも連携をとりつつ所要の捜査を行い、三月から六月にかけて、渡邉元社長、東京佐川急便元常務取締役早乙女潤、市原観光開発社員大内美知夫、平和堂不動産代表取締役松澤泰生及び北洋産業代表取締役庄司宗信を特別背任罪等により東京地裁に公判請求したほか、九月二十八日には、金子前知事、医療法人役員南雲達衛及び佐渡汽船代表取締役鶴田寛を政治資金規正法の収支報告書虚偽記入罪により新潟地裁に公判請求し、同日、金丸前議員につき同法の量的制限違反の寄附受領罪により東京簡裁に公訴を提起し略式命令を請求するなどしました。
 この間、東京地検では、全国高等検察庁管内の地検から、検事十名、検察事務官十名の応援を求めるなど捜査体制を充実し、検事二十六名、副検事二名、検察事務官三十名を本件捜査に専従させました。
 東京地検がこの間に取り調べた本件関係者は実数で三百二十二名であり、捜査箇所は二百四カ所、押収物は約二万八千三百点となっております。
 第二に、具体的な捜査処理の状況についてであります。
 まず、特別背任罪関係について説明します。
 特別背任罪関係は、東京佐川急便による巨額な債務保証及び融資に係る資金の流れを解明する過程で判明したもので、資金の流れに従って、いわゆる市原観光開発ルート、平和堂ルート、稲川会ルートの三つに分かれます。
 その一は、市原観光開発ルートであります。
 東京地検は、告訴事件を契機として東京佐川急便が行った一連の債務保証等について関係者の取り調べを行うなどの捜査を行った結果、東京佐川急便が早乙女の経営する市原観光開発に対して行った債務保証及び融資のうち、東京佐川急便が行った六十八億円の融資が特別背任罪に該当する嫌疑が濃厚となったので、本年二月十四日、早乙女、大内を逮捕しました。その後、捜査を続けた結果、市原観光開発が金融機関等から借り入れをするに当たり東京佐川急便の行った合計約四百億円に上る債務保証が同罪に該当すると判明したので、当該債務保証に係る特別背任め事実により、三月六日、両名を東京地裁に公判請求し、さらに、東京佐川急便が同じく早乙女の経営するリバスター音産に対してした百五十億円の貸し付けが同罪に該当すると判明したので、当該貸し付けに係る特別背任の事実により、三月三十一日、両名を同裁判所に公判請求しました。
 その二は、平和堂ルートであります。
 東京地検は、前同様の捜査を行った結果、東京佐川急便において、平和堂不動産等松澤の経営する平和堂グループ企業が金融機関から借り入れをするに当たり、多額の債務保証を行っている事実を把握し、本年二月十四日、五十八億円の債務保証に係る特別背任の事実により、渡邉元社長及び松澤を逮捕し、引き続き捜査をしたところ、新たな債務保証や融資に係る特別背任の事実も判明し、結局、債務保証額百八十五億円、貸付額六十億円の合計約二百四十五億円に上る特別背任の事実により、三月六日、両名を同裁判所に公判請求しました。
 なお、松澤については、捜査の過程において、そのほかに、自己名義で借り入れた十八億円の債務の担保として根抵当権を設定した平和堂不動産所有の不動産につき、根抵当権の設定登記が未了であることを奇貨として、これをさらに他の者に担保に供し、所有権移転登記を完了したとの背任罪の事実も判明したので、同事実により、三月三十一日、同裁判所に公判請求しました。
 その三は、稲川会ルートであります。
 東京地検は、前同様の捜査を行った結果、東京佐川急便が、北東開発及び北洋産業に対して融資を行い、あるいは両会社のために債務保証を行っている事実を把握しましたが、両会社が暴力団稲川会関連企業であり、これまで警視庁も内偵を行ってきたことにより共同捜査を行うこととし、警視庁において、本年五月十一日、渡邉元社長、早乙女及び庄司の三名を特別背任罪により逮捕し、その後必要な捜査をして、債務保証額百二十二億円、貸付額三十五億円の合計約百五十七億円に上る特別背任の事実により、六月一日、右三名を東京地裁に公判請求しました。
 次に、政界関係について説明します。
 その一は、金子前知事らに係る政治資金規正法違反事件であります。
 東京地検は、渡邉元社長らに対する一連の特別背任事件の捜査の過程において、渡邉元社長が平成元年六月施行の新潟県知事選挙に際し、選挙に立候補した金子前知事陣営等に対して、三億円の選挙運動資金を提供していた事実を把握し、同資金の調達及び提供状況等について捜査したところ、このうち、金子前知事陣営に提供された一億円に関連して、金子前知事のほか、金子前知事の選挙運動を推進していた南雲及び鶴田につき、金子前知事の後援政治団体である「清新で活力ある県政をすすめる会」の収支報告書への虚偽記入罪の嫌疑が濃厚となったので、同人ら関係者の取り調べや関係箇所の捜索、差し押さえを実施して捜査を進めた結果、右三名につき、他と共謀して、新潟県選挙管理委員会に提出する同政治団体の平成元年分の収支報告書に虚偽の記入をした事実が判明したので、新潟地検に事件を移送し、同地検において、同事実により、九月二十八日、右三名を新潟地裁に公判請求しました。
 なお、残り二億円についても、必要な捜査を行いましたが、政治資金規正法違反等の嫌疑ありとして訴追するに足る事実は確認できませんでした。
 その二は、金丸前議員に係る政治資金規正法違反事件であります。
 東京地検は、平和堂ルートの捜査の過程において、渡邉元社長が松澤から、巨額な債務保証等の見返りに多額の裏金を受けている事実を突きとめ、その使途先の捜査により、渡邉元社長から金丸前議員に対して五億円の献金がなされた事実を把握し、その真相を解明するため、金丸前議員の秘書生原正久等関係者多数の取り調べを行うなど、必要な捜査を進めるとともに、金丸前議員に対して出頭の上取り調べに応じるよう求めたところ、金丸前議員から同法第二十二条の二第三項に違反して寄附を受けたことを認める上申書が提出され、それまでに収集された証拠とあわせると、違反の事実を認定するに十分であると思料されたことから、金丸前議員については、東京区検に事件を移送し、同区検において、量的制限違反の寄附受領罪により、九月二十八日、東京簡裁に公訴を提起し略式命令を請求するとともに、その共犯者である生原秘書及び寄附者である渡邉元社長については、起訴猶予処分に付しました。
 なお、渡邉元社長が、平成元年四月ころから同二年十二月ころまでの間、松澤から約十七億五千万円の裏金を受領していた事実が判明し、その使途先につき必要な捜査を尽くしたものの、この関係では、これまでのところ、金丸前議員に係るもの以外には、政治資金規正法違反等の嫌疑ありとして訴追するに足る事実は確認できませんでした。
 第三に、金丸前議員の上申書の提出を受け、金丸前議員の取り調べをしないで起訴した経緯について説明します。
 前述のとおり、東京地検においては、金丸前議員に対する五億円献金の事実を把握し、刑事事件として取り上げるべき犯罪の嫌疑が認められるか否かの観点から、所要の捜査を行っていたところ、八月二十七日、金丸前議員が記者会見により五億円の授受の概要を説明したことから、さらにその真相を解明するため、生原秘書を取り調べる一方、渡邉元社長や松澤のほか、金丸前議員の指定団体の会計責任者等関係者多数の取り調べを行い、本件違反事実の立証のための裏づけ捜査を進めました。
 このような捜査の過程において、東京地検は、金丸前議員に対する本件違反の嫌疑が極めて濃厚であって、その刑事責任は免れ得ないと思料したことから、刑事訴訟法百九十八条一項に基づき、金丸前議員の出頭を求めて取り調べを行う必要があると判断し、九月十日以降、弁護人を通じて、金丸前議員に対し、出頭の上取り調べに応じるように求めました。
 九月二十四日になり、同弁護人から、金丸前議員においては、本件違反事実を認める内容の上申書を提出し、略式手続による処罰を受ける意向である旨の連絡があり、九月二十五日、上申書が提出されました。
 そこで、東京地検は、金丸前議員の上申書等を受理し、それまでに収集された証拠とあわせると、本件違反事実を認定するに十分と思料されたことから、本件違反に係る法定刑が二十万円以下の罰金とされていることに伴う捜査処理上の制約があること等をも考慮し、あえて金丸前議員を取り調べる必要はなく、捜査の目的を達したものと判断し、本件違反につき、九月二十八日、東京簡裁に公訴を提起し略式命令を請求しました。
 なお、略式手続の説明告知は、金丸前議員の弁護人から、金丸前議員の自宅が日夜報道陣に取り囲まれていることなどにかんがみ書面による略式手続の説明告知をされたい旨の上申を受け、検察官において検討した結果、略式手続の説明及び通常の手続に従って審判を受けることができる旨を記載した「略式手続の告知」と題する書面を作成し、弁護人を介してこれを金丸前議員に示したところ、金丸前議員が右書面によって検察官から略式手続の説明を受け、通常の手続に従って審判を受けることができることを告げられた旨の上申書を作成し、弁護人を介して略式手続によることについて異議ない旨の書面とともに右上申書を提出したことから、検察官においては、電話により、金丸前議員に対し、提出した右各書面をその真意により作成したことを確認し、さらに念のため、右「略式手続の告知」と題する書面の内容を読み上げた上、金丸前議員から略式手続によることについて異議がない旨を再度確認する方法により行われました。
 ところで、東京地検が、金丸前議員の本件違反事実を認める上申書の提出を受けて略式手続により本件を処理するに当たっては、本件五億円の収支に関して、それまで収集された証拠関係を踏まえ、想定される犯罪とその罰則適用の可能性につき必要な検討を行いましたが、本件処理の段階では、金丸前議員が受領した本件五億円は、その後指定団体に対する寄附として取り扱われたものと見られるなど、金丸前議員の余罪として訴追すべき犯罪の嫌疑が認められるものは確認できませんでした。
 この点をも考慮し、東京地検は、適正かつ迅速な刑罰法令の適用実現という観点から、前述のような取り扱いを行ったものであります。
 第四に、東京佐川急便事件の現在の捜査状況について説明します。
 東京佐川急便事件については、東京佐川急便の巨額な債務保証等に関係する資金の流れ、その使途等のほぼ全容が解明され、その過程において判明した金子前知事及び金丸前議員らに係る政治資金規正法違反事件を含め、犯罪の嫌疑が十分認められたものについて前述のとおりそれぞれ公訴を提起しました。
 しかし、金丸前議員に対する政治資金規正法違反事件の処理後、同事件に係る五億円の使途に関連して、金丸前議員及びその使途先と取りざたされている約六十名の国会議員に対する量的制限違反寄附の供与または受領の事実、金丸前議員及び約六十名の国会議員に対する所得税法違反の事実、金丸前議員及び約六十名の国会議員に対する収支報告書の不記載または虚偽記入の事実等により告発がなされたことを受け、東京地検においては、これまでの捜査結果を踏まえつつ、引き続き捜査を行っているところであります。
 第五に、公判関係について説明します。
 まず、渡邉元社長、早乙女及び庄司に対する特別背任事件については、東京地裁において、併合の上、九月二十二日及び十一月二日の二回にわたり公判が開かれ、その後各被告人の公判手続が分離され、渡邉元社長については十二月四日までの間に合計四回の公判が、早乙女については十二月八日までの間に合計五回の公判が、庄司については十一月二十六日までの間に合計四回の公判が、それぞれ開かれております。
 公判において、渡邉元社長及び早乙女は犯意等を否認し、一方、庄司は公訴事実を認める旨の陳述を行い、現在、検察官による立証が行われております。
 次に、大内に対する市原観光開発ルートに係る特別背任事件については、同裁判所において、六月十六日以降十二月一日までの間に十三回の公判が行われております。
 公判において、同人は犯意等を否認し、現在、検察官による立証が行われております。
 また、松澤に対する平和堂ルートに係る特別背任及び背任事件については、同裁判所において、六月二十五日以降十一月二十七日までの間に六回の公判が開かれております。
 公判において、同人は、特別背任罪の事実は認める一方、背任罪の事実については犯意を否認しており、現在、検察官による立証が行われております。
 なお、金子前知事、南雲及び鶴田に対する政治資金規正法違反事件については、現在までのところ公判は開かれていませんが、第一回公判期日は十二月二十一日と指定されております。
 以上が、東京佐川急便事件のこれまでの捜査処理及び公判状況についての報告であります。
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発言情報

speech_id: 112515261X00619921209_006

発言者: 濱邦久

speaker_id: 19189

日付: 1992-12-09

院: 参議院

会議名: 予算委員会