宮澤喜一の発言 (政治改革に関する調査特別委員会)
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○宮澤内閣総理大臣 ここ何年間かの間にいわゆるスキャンダルと言われる事件が頻発をいたしました。その多くのものは政治家と金に関係をするものでございました。その都度、無論司直の手によりまして厳正な対応がなされてはまいりましたけれども、一つはやはり、これは法によるプロセスでございますので、国民から見ますと、なかなか時間がかかる、どうしてもっと思い切って黒白はっきりできないのかというような、これはもうとかく理解のできることで、ありがちなことですけれども、そういう一つの国民の側の焦燥感というものがあったと思います。と同時に、そういうことはもう行わないということで、いろいろ政治家の側でも制度の改正等々もいたしましたけれども、事件はなかなか頻発をやめないというようなことで最近に及んだわけでございます。
殊に、最近になりまして、政治に金がかかるということについては国民がある程度理解をしておられるでありましょうけれども、その金が必ずしも政治に使われたのではなかった、そういう疑いの濃い事件が出てまいりましたために、今まで政治に金がかかるのはある程度やむを得ないと考えていた国民が、実は全くそうでないことがあるではないか、そういう国民の非常な不信というものが頂点に達した感がございます。ここまでいきますと、政治家というものすべてが現在までのこういうやり方を改めませんと、私は民主主義そのものが国民から見放されるのではないかということを強く心配をしております。
また、自分の立場といたしますと、国政を預かる人間として、こういう出来事が再び起こって、そうしてそれに十分に対応できないということになれば、これはまことに申しわけないことであって、何とか、行政としてはもちろんでありますけれども、この政治家の倫理を高め、そうしてその倫理を担保するための政治改革というものを何としてもこの際やってしまわなければならない。それは恐らく一八八三年にイギリスの腐敗防止法が成立せざるを得なかったほど状況は実は悪いというふうに考えておりますし、したがって、やはりどうしてもここでそういう思い切った政治改革をしていかなければならないというふうに考えております。
問題はもちろん幾つかあるわけでございますけれども、一つは金の問題がございます。これについては従来から、何とかして金の出というものをできるだけ制限をしようではないか、いわゆる冠婚葬祭のたぐいですが、そういうことについてはある程度のことが、多少のことはできましたけれども、しかし、依然として入りの方については十分なことができておりません。出の方も決して普通の我々の才覚で賄えるような金額まで縮減されてきたとは申しにくい。ですから、金の問題がどうしても一つございます。
それから、金がどうしてもかからざるを得ないということの一つに選挙区制の問題があるであろうということと、金の問題をやはりきれいにしようと思いますと、選挙に対する公費の補助というものが要るのではないかという大方の御意見でございますが、そうであるとしますと、その公費が間違いなく、これは政党ということにならざるを得ませんが、政党に補助され、それが政党間の政策論議、政治のための選挙等に使われなければならないということを担保いたしますためには、やはりもう一つそこで選挙制度を改めなければならない、そういう状況になっておるというふうに考えます。
したがいまして、これらのことは、一つだけ取り上げて政治改革が成就するのではなくて、全部を総合的に取り上げてこの政治改革をいたしませんと、本当に思い切った改革というものにはならないということを恐れておりまして、しかも、この時期を逸しますならば、再び国民の政治に対する信頼を回復することは容易ならざることである、こういうふうに考えております。
それで、この委員会における先日来の御審議をはたから伺っておりますけれども、いわばこれは何党、何派の問題ではなくて、お互いが一つの船に乗っておって、沈んでしまうかどうかというほど深刻な問題であるというふうに考えております。