森山眞弓の発言 (文教委員会)

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○森山国務大臣 第百二十六回国会におきまして、文教各般の問題を御審議いただくに当たり、所信の一端を申し述べます。
 間近に迫った二十一世紀に向けて、我が国が創造的で活力ある、文化の薫り高い国家として発展していくため、また国民の一人一人が生活の豊かさを真に実感できる活力と潤いに満ちた生活大国づくりを進めていく上で、教育・学術・文化・スポーツの果たすべき役割は、ますます重要なものとなっております。
 昨年、我が国は学制百二十年を迎えました。百二十一年目の新たな歩みを進めるに当たり、これからは、先人たちの築かれた成果を踏まえつつ、時代の変化に的確に対応し、一人一人の個性を生かす多様な教育の実現を目指していくことが大切と考えます。また、国民の多様な学習要求にこたえる豊かな生涯学習社会を築いていくことも重要な課題となっています。このような考え方に立って、新しい時代に対応した教育改革の積極的かつ着実な推進に努めてまいりたいと存じます。
 以下、主要な課題について私の基本的な考え方を申し述べます。
 第一は、生涯学習の推進についてであります。
 今日、人々が生涯のいつでも、自由に学習機会を選択して学ぶことができ、その成果が適切に評価されるような生涯学習社会を築くことが、極めて重要な課題となっております。このため、昨年七月の生涯学習審議会答申「今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方策について」において示された基本的な考え方やリカレント教育、ボランティア活動等に関する提言を踏まえ、生涯学習を振興するための諸般の施策を積極的に推進してまいります。
 特に、学習機会の充実を図るため、高齢化、国際化、女性の社会参加の促進、ボランティア活動などの課題について、社会教育を通じた積極的な取り組みを行うとともに、学校外の学習活動の成果が、社会において適切に評価されるための施策に鋭意取り組んでまいります。また、放送大学の整備充実、専修学校教育の振興にも引き続き努めてまいります。さらに、地域における豊富な活動体験を通じた青少年の健全育成や、人間形成の基礎を培う上で大きな役割を果たす家庭教育の充実等について、関連する諸施策を一層充実させてまいります。
 第二は、初等中等教育の充実についてであります。
 これからの初等中等教育においては、子供のよさや可能性を生かし、みずから学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力などの能力の育成を重視する新しい学力観に立った教育を積極的に展開することが必要です。新しい学習指導要領もこのような考え方に基づくものであり、その趣旨に沿った教育の実現のために全力を挙げて取り組んでまいります。その際、道徳教育の一層の充実や、国旗・国歌を尊重する態度を身につけることなどについても、今後とも引き続き指導の徹底を図ってまいります。
 高校教育については、中央教育審議会答申の提言を踏まえ、生徒の多様な個性や社会の変化に柔軟に対応し、生徒の個性の伸長や学習の選択の幅を拡大するなどの観点からその改革を推進し、総合学科や全日制単位制高校の創設などを初め、魅力ある高校づくりを促進してまいります。また、今日さまざまな弊害が指摘されている業者テスト問題については、業者テストの偏差値を用いた入学者選抜が行われないようにするとともに、中学校における進路指導の改善充実について鋭意取り組んでまいります。
 昨年九月から月一回の学校週五日制が実施されています。学校週五日制は、学校、家庭及び地域社会が一体となってその教育力を相互に高め合う中で、子供たちがみずから考え主体的に判断し行動できる資質や能力の育成を図ろうとするものです。そのためには、家庭や地域社会において子供が自由に使える時間を確保し、豊かな体験を行えるようにすることが大切です。今後とも、学校、家庭及び地域社会のそれぞれの関係者の理解と協力を得て、学校週五日制の円滑な定着に向け全力を挙げて取り組んでまいります。
 生徒指導については、児童生徒の個性に応じた人間味ある温かい指導が行われることが重要であり、登校拒否や高校中退、いじめなど生徒指導上のさまざまな課題に対し適切な対応が図られるよう指導の充実に努めてまいります。
 幼稚園教育については、入園を希望するすべての三歳児から五歳児までを就園させることを目標としてその振興に努めるとともに、特殊教育についても、通級による指導の制度化を図るなど一層の充実に努めてまいります。
 また、子供の心身の健全な発達と生涯の各時期を通じた国民の健康の保持増進を図るため、社会教育とも連携しつつ、学校保健、学校安全、学校給食など健康教育の一層の充実に努めてまいります。特に、エイズについては、我が国でもその対策が緊急の課題となっていることにかんがみ、学校におけるエイズ教育の充実に鋭意努めてまいります。
 第三は、教育諸条件の整備についてであります。
 教育諸条件の整備については、個に応じた教育の実現のため、義務教育諸学校について第六次公立義務教育諸学校教職員配置改善計画を実施し、チームティーチングなど指導方法の一層の充実等を図るとともに、公立高等学校についても第五次公立高等学校学級編制及び教職員配置改善計画を実施し、四十人学級の実現等を図ってまいります。
 また、コンピューター等の情報機器の整備に引き続き努力するとともに、義務教育教科書無償制度を今後とも堅持してまいります。
 「教育は人なり」と言われるように、学校教育の成果は教員の資質能力に負うところが極めて大きく、その向上を図ることは不可欠の課題であります。初任者研修については、平成四年度にその制度的完成を図ったところでありますが、今後ともその一層の充実に努めるとともに、教職経験者研修を初め現職教員の教職経験と職能に応じた研修の整備充実などの諸施策の推進に努めてまいります。
 学校運営に関しては、校長のリーダーシップのもとに全教職員が一致協力し、活力と規律ある学校運営が行われる体制保の確立に努めてまいります。また、社会の変化に適切に対応し、住民の意向を反映した生き生きして特色ある地方教育行政の展開を図るため、教育委員会の一層の活性化を図ってまいります。
 公立学校施設の整備につきましては、必要な量的整備の確保に努めるとともに、ゆとりと潤いのある学習環境づくり、生涯学習活動を積極的に支援できる学校施設づくり等の観点から、質的な整備に努力してまいります。
 第四は、高等教育の充実と改革についてであります。
 高等教育については、学術研究の進展や社会の変化を踏まえ、各大学等がそれぞれの教育理念・目標を明確にし、それに沿って教育研究の高度化、個性化及び活性化に努めることが重要です。このため、大学審議会の答申を受けて、大学設置基準の大綱化、自己点検・評価システムの導入など、各大学等が個性を発揮して特色ある教育研究を展開していくことができるよう、制度面での改善方策を講じてまいりましたが、引き続き、大学審議会の審議を踏まえつつ、高等教育の充実と改革に積極的に取り組んでまいります。
 国立大学については、我が国の基礎研究の推進と有為な人材の養成を図るため、大学院を中心とする教育研究条件の整備、社会的要請の強い分野に係る人材養成等その充実に努めてまいります。また、教育研究環境の改善を図るため、施設設備の充実についても一層の努力を重ねてまいります。
 大学入試については、大学入試センター試験の円滑な実施と有効な活用を図るとともに、各大学ごとに特色ある適切な入試が実施されるよう、関係者の御協力を得ながら着実な改善に努めてまいります。なお、大学入試の改善は、常によりよい方途を求めて不断の努力を続けていくべき重要な課題であり、目下、中長期的な観点から、そのあり方について、大学審議会に調査研究をお願いしていることを申し添えます。
 第五は、私学の振興についてであります。
 私立学校は、それぞれの学校が建学の精神にのっとり、特色ある教育研究活動を展開し、我が国の学校教育の発展に大きな役割を果たしております。このような私立学校の役割の重要性にかんがみ、私立学校の教育研究条件の維持向上と修学上の経済的負担の軽減等を図るため、経常費補助を中心に私学助成の確保に努めてきたところであり、今後とも、その確保に鋭意努力してまいります。
 一方、私立学校における教育課程等の運営のあり方については、一部不適切な事例も指摘されているところであり、私立学校の自主性を尊重しつつ、学校教育法、私立学校法等関係法令にのっとった適正な管理運営がなされるよう、引き続き努めてまいります。
 第六は、学術の振興についてであります。
 大学を中心とする学術研究は、人類の知的共有財産を創造し、人類・社会の発展の基盤を形成するものとして、その振興は極めて重要であります。特に近年、我が国の学術研究水準の向上や国際的役割の増大に伴い、従来にも増して独創的・先端的な学術研究を推進し、世界の学術研究の進展に積極的に貢献していくことが求められています。しかし、その一方で、大学の研究環境の低下が各方面から指摘され、今後の学術研究推進についての懸念が生じております。
 このため、文部省としては、昨年七月の学術審議会答申を踏まえ、学術研究基盤を国際的水準に引き上げることを目指し、その計画的・重点的整備を図るとともに、柔軟で活力に満ち、世界に開かれた学術研究体制の整備を進めるため、科学研究費補助金の拡充、若手研究者の養成確保をはじめとした施策の充実に努力してまいります。
 第七は、スポーツの振興についてであります。
 国民の心身の健全な発達と明るく豊かで活力に満ちた社会の形成を図るため、広く国民に対し生涯にわたってスポーツに親しむための諸条件を整備するとともに、さきのバルセロナ・オリンピックにおける日本選手の活躍に見られるように、オリンピック等の国際競技大会に向けて、日本選手の競技力の向上を図ることは極めて重要であります。
 今後とも、平成元年の保健体育審議会答申「二十一世紀に向けたスポーツの振興方策について」における提言を踏まえスポーツ振興基金による助成も含め、生涯スポーツ、競技スポーツ及び学校における体育・スポーツの各方面にわたるスポーツの振興のための諸施策の一層の推進に努めてまいります。
 また、平成十年には長野オリンピック冬季競技大会の開催が予定されており、本大会の成功に向けて、引き続き必要な支援をしてまいります。
 第八は、芸術文化の振興についてであります。
 国民の文化への志向の高まり、文化面における国際交流や国際貢献の要請に対応するためには、我が国古来の伝統文化を継承しつつ、芸術文化の創造発展を図り、その成果を積極的に海外に発信することが重要です。このため芸術文化振興基金による助成の活用とあわせて、芸術家等の人材の養成や芸術創作活動の助成に努めるとともに、各地域の特色ある文化を生かした多様な文化活動を推進するため、文化施設の整備や芸術を鑑賞する機会の充実など各種の条件整備を積極的に進めてまいります。
 また、我が国の現代舞台芸術の殿堂となる第二国立劇場(仮称)については、本格的な建設工事に着手したところであり、開場に向けての諸準備を推進してまいります。
 さらに、国民共有の貴重な財産である文化財を愛護し、保存し、後世に末永く引き継いでいくため、文化財の保存と活用のための諸施策を一層推進し、我が国の文化の向上、発展に努めてまいります。
 最後に、教育・学術・文化・スポーツの国際交流の推進についてであります。
 我が国の国際社会への貢献が求められている今日、教育・学術・文化・スポーツの国際交流・協力を一層推進していくことがますます重要となっております。文部省では、ユネスコを初めとした国際機関への協力、研究者の交流や国際共同研究、留学生の交流、外国人に対する日本語教育等の充実や芸術文化交流、文化遺産の保存修復等に関する国際協力・交流を図るとともに、海外子女・帰国子女教育の充実に引き続き努めてまいりたいと存じます。
 特に留学生に関しては、二十一世紀初頭における十万人の受け入れを目指し、昨年七月の協力者会議報告を踏まえた留学生受け入れ体制の質的充実を図るため、教育・研究指導体制の整備、私費留学生支援、宿舎の確保等、幅広い施策を総合的に進めてまいります。また、我が国から海外へ留学する学生等が増加していることを踏まえ、その援助体制の整備にも努めてまいります。
 以上、文教行政の当面する諸課題について所信の一端を申し述べました。
 文教委員各位の一層の御理解と御協力をお願いいたします。(拍手)

発言情報

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発言者: 森山眞弓

speaker_id: 5778

日付: 1993-02-17

院: 衆議院

会議名: 文教委員会