石川要三の発言 (本会議)
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○石川要三君 私は、自由民主党を代表し、ただいま議題となっております平成五年度予算三案に対し、賛成の討論を行うものであります。(拍手)
既に御承知のとおり、現在、我が国は、円高不況以来と言われる深刻な経済状況に直面しております。各種経済関係のデータを見ましても、住宅投資に回復の兆しが見られるものの、設備投資の落ち込み、個人消費の伸び悩み等が続いており、依然として景気は低迷を続けております。これは、従来の景気循環的な不況に加え、株価、地価等の資産価格の下落による金融・資本市場の不安定化、個人消費の構造変化などさまざまな要因が複雑に絡み合った、いわば新型不況、複合不況ともいうべきもので、今や一刻も放置できない事態となっております。
政府は、このような事態にかんがみ、昨年三月に緊急経済対策、八月には十兆七千億円の過去最大規模の総合経済対策を決定し、さらに十月には補正予算を組むなど、景気回復のため、機動的に可能な限りの努力を行ってきているところであります。その努力を多とするところであります。
我が国は、生活大国の実現、国際貢献の充実等多くの中長期的な政策課題を抱えておりますが、これらの政策課題を実現していくためには、その前提となる景気を速やかに回復し、インフレなき経済の持続的発展を確保していかなければなりません。
平成五年度予算は、現在、緊急にして最重要課題となっている景気対策に十分な配慮がなされており、先般の第六次公定歩合引き下げと相まって、企業家マインドを刺激し、需要を拡大して景気の回復と経済のさらなる成長を促す原動力となることは間違いなく、国民の要望と期待に十分こたえ得るものと確信するものであります。
以下、本予算に賛成する主な理由を申し上げます。
賛成の第一は、公共投資の拡充等、景気回復のために十分な配慮がなされていることであります。
速やかな景気回復を図るため、公共事業関係費は、NTT事業を含めると対前年度五・八%増の八兆六千四百億円強が計上され、近年最大の高い伸び率となっております。また、財政投融資による事業や地方単独事業についても、それぞれ前年度を上回る高い伸びが確保されているのであります。この結果、昨年の総合経済対策、補正予算等これまでの諸対策の延長線上に、今後とも、間断をく、高い水準の公共投資の執行が可能となり、内需拡大に大いに資するものと思われるのであります。
国内需要が低迷し、また、昨年の経常収支の黒字が史上初めて一千億ドルを突破したことなどもあり、諸外国から我が国の内需拡大を求める声が一段と強まっている今日、効率的、重点的な公共投資を行うことは、即効性のある内需拡大策として極めて有効であります。さらに、欧米諸国に比べ著しく整備のおくれている住宅、下水道や環境衛生等の分野に公共事業関係費の重点的配分が行われており、「生活大国五か年計画」の初年度として、内容的にもまことにふさわしい予算となっております。
賛成の第二は、社会保障の充実強化を初め、国民生活の質の向上への配慮など、時代の要請に的確に対応した予算である、かように思うわけであります。
まず、社会保障関係費においては、来るべき高齢化社会に向かって活力ある福祉社会を形成していくため、一般歳出が低い伸びに抑えられている中で十三兆一千四百億円強が計上されており、一般歳出中、最大の支出項目となっております。
内容的にも、本年で四年目を迎える「高齢者保健福祉推進十か年戦略」いわゆるゴールドプランは、ホームヘルプサービス事業等、在宅福祉対策の大幅な拡充を図るなど、老後を安心して送れる社会の実現に向け、着実にその施策が推進されているのであります。
また、最近、エイズ患者・感染者が急増している現状にかんがみ、エイズ総合対策として、実に前年度の五倍に当たる百億円強の予算が計上されております。このほか、労働時間の短縮対策等の経費も計上されており、活力と潤いに満ちた生活大国の実現に向けての政府の意気込みが感じられるのであります。(拍手)
賛成の第三は、国際国家日本として、国際貢献の姿勢が強く打ち出されている点でございます。
すなわち、一般会計政府開発援助予算は、一兆百四十四億円が計上され、初めて一兆円の大台に乗り、世界でも一、二位を争う規模となっております。
内容においても、無償資金協力や人的協力の拡充強化が引き続き図られております。また、昨年六月、リオデジャネイロで開催された環境と開発に関する国連会議、いわゆる地球サミットで、我が国は、環境分野の政府開発援助を平成四年度から五年間で九千億円から一兆円を目途として拡充強化することを表明して、世界各国から大きな歓迎を受けたところであります。本予算においても、地球環境保全への積極的な協力の姿勢が示されており、国際的にも高い評価が得られるものと確信するものであります。(拍手)
賛成の第四は、国際情勢に対応した節度ある防衛関係費が計上されていることであります。
現在、我が国の防衛力整備は、中期防衛力整備計画に基づき実施されていることは御高承のとおりであります。しかし、この間、ソ連の崩壊により、東西冷戦構造は名実ともに終えんし、現在、世界は新しい平和秩序を模索している状況であります。かかる状況を踏まえ、政府は昨年十二月、計画期間中の防衛関係費を、二十二兆七千五百億円から五千八百億円を削減すること等を内容とした同計画の修正を閣議決定いたしました。
平成五年度の防衛関係費は、前年度当初予算に比べわずか一・九五%という昭和三十五年度以来の低い伸び率となっております。内容的にも、その八割強が後方経費であり、正面経費は二年連続で前年度予算を下回っており、冷戦後の緊張緩和という大きな流れを反映した妥当なものと私は確信しております。
しかしながら、冷戦後、世界各地において、民族的、宗教的対立等が表面化し、地域紛争が多発しており、新しい世界平和秩序構築に向けて不確実、不安定な要因が存在することもまた冷厳な事実であります。「治に居て乱を忘れず」は防衛の基本であります。古来より、「戦争を好む国は滅びる。しかれどもい戦争を忘れる国は危うし」とのことわざがありますが、まさに防衛をおろそかにして栄えた国家はないのであります。今後とも、我が国は、日米安保条約を防衛の基軸としつつ、防衛計画の大綱における基盤的防衛力構想に基づき、独立国家としての必要最小限の防衛力の保持・整備に一層努められるよう、この際、強く要望するものであります。(拍手)
現在、我が国は、二十一世紀を目前にし、明治維新、終戦直後にも匹敵するほどの歴史的大転換期に差しかかっております。まず、内外に日々起こる諸問題は、その量、その質、その速さにおいて従来の比ではなく、その対応や解決も困難をきわめるものばかりであります。しかし、これらの解決なくしてまた我が国の将来はありません。幸いにして、我が国には、戦後政治史の重要場面に幾度となく立ち会った貴重な政治経験を有する宮澤総理がおられます。宮澤総理は「志は易きを求めず、事は難きを避けず」と述べられておりますが、その言やよしであります。これら山積する困難な諸問題に真正面から立ち向かい、国民生活の一層の安定と向上、また我が国の発展のため、勇往邁進されんことを期待をするものであります。(拍手)
討論を終わるに当たり、委員会運営のあり方について一言申し上げます。
去る二月二十四日に野党による予算修正要求が我が党に出され、与野党問で話し合いが行われました。しかしながら、話し合いが不調に終わった際、委員長が誠心誠意努力されたにもかかわらず、委員会開会をめぐり野党の諸君による開会に対する異議の申し立てが行われたのであります。本日の委員会における社会党の松前君の言をかりるならば、まさに各党間の交渉の中身は国民にはさっぱりわからないのであります。(拍手)
委員会は、公開の場で質疑することが何よりも大事であります。そのために野党には修正案、組み替え動議を提出する権限が認められているのではありませんか。我々はそれらを正規な場所、すなわち委員会の場で質問をし、議論を闘わせる用意をいつでも持っており、望むところであります。
野党の諸君にぜひとも申し上げたいのは、政治改革の第一歩は正々堂々と国民の前にみずからの主張を明らかにすることではないでしょうか。
今後は、各党間の折衝よりも委員会での正規な議論を優先すべきである、このことを強く主張し、平成五年度予算三案に対し、私の賛成討論といたします。(拍手)