渡部一郎の発言 (本会議)

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○渡部一郎君 お静かにどうぞ。
 私は、今、小渕先生が丁寧におっしゃったことのうち、二点についてまず褒めたいと思います。
 というのは、小渕先生は、中選挙区制が制度疲労を起こしたよ、それに対して取り組んで、これはもうだめだから新しい制度を施行しなきゃならぬよ、苦心惨たんしながら自民党がそこまで決断されたということをるる述べられました。これは、私は、偉大なことだと心から敬服します。(拍手)
 それはなぜかといえば、ここから始めないとわからないから、ちょっと待ってください、これはなぜかというと、自由民主党は中選挙区制に安住しておれば、今までと同じように政財官の癒着構造に安住することができたし、政権を担い続けることが可能であった。どんなにマスコミに批判されても開き直ることは可能であった。みずからその温床から出てきて、私の方から言えば穴蔵から出てきて、直そうというその決意だけは褒めなきゃならぬ。私は敬意を表します。(拍手)
 ただ、悪いのは、その出てきた穴蔵よりもっと大きな穴、小選挙区制という穴を掘って、その中に逃げ込もうとしている。それは問題だと私たちは申し上げたいのであります。(拍手)
 第二番目。もう一つ褒めたい、聞いてくれ。
 それは、小渕先生は、我が党の案は最善だと思うけれども、これに上回るものがもしありとするならば、我々の英知を結集し、歴史にたえ得る成案をまとめたい、そして、国権の最高機関としての責任を果たしたいとおっしゃった。これは普通の人の言えることではない。さすが自民党の一党一グループを率いるだけの方であると、私は敬意を表したい。ただし、これは忘れないようにしていただきたい。
 私は、今回の論戦は、両方の案が議論しているというだけではなくて、かなり明快な部分があると思うのであります。それは何かというと、小選挙区制になったらお金がかからないとか、かかるとかという議論の前に、今までの中選挙区制で何で制度疲労が起こったのか。それは、定数改正を怠ったこと、もう一つは、選挙資金を幾らでもかけ続けてきたからであります。かかったのではない、かけたのである。ここに重大な失敗があった。だから、昭和六十二年の政治資金報告書によれば、(発言する者あり)まあ聞きたまえ、そう難しいことを言っているわけじゃないんだから。その六十二年の政治資金報告書によれば、全党挙げて政治献金で使った金は千八百億に上る。アメリカは七百億段階ではないか。イギリスは百四十億円段階ではないか。何でこんなばからしい金を使うのか。かかったのではなくて、かけた人が悪い。それを反省するところから始めなければ、国民に対して、たくさんお金がかかるのです、もっとお金をちょうだいなどと言って、どうしてテレビを聞いている国民は、そういう愚かな話を快く聞くでしょうか。諸君。(拍手)反省しよう。反省しよう。もう金はかけない、今度は貧しくいくんだ、こう決意をしなければならないと思うのでありますが、いかがでございましょうか。(拍手)
 次に、私は申し上げたい。比例制というのは、それこそえげつない強烈な変化を私たちの選挙区に見舞うものであります。小選挙区併用型の比例制というのは、皆さん、申しわけないけれども、選挙民が四〇%支持すると、座席は四〇%しかとれないのです。五〇%といったら五〇%しかとれないのです。ところが、今までの中選挙区制だったら、四十何%の、悪いけれども自民党の場合ですよ、四十何%とりながら六〇%の座席とれたじゃありませんか。小選挙区制だったら、まずいことに、小選挙区制だったらどうなるでしょうか。三〇%の投票を得たとしたら、九〇%とれるじゃありませんか。そういう、国民の民意と違う、それこそ国会をつくることによって、どうして日本国民がそれに納得するでありましょうか。だからこそ我々は、小選挙区併用型比例制というものによってこの難局を開かなければならない。四〇%の政党は四〇%であるべきです。三〇%の政党は三〇%であるべきです。一〇%の政党は一〇%であるべきだと私は思いますが、いかがでございましょうか。(拍手)
 そして、その結果、どういうことが起こるでしょう。先ほど小渕さんがおっしゃいましたように、自民党は、今まで公明党がこの座席を占めるようになって拝見しておりまして、五〇%を超したことがない。そうすると、自民党は、比較第一党にはなれても、恐らく絶対第一党は難しいでしょう。自民党は、そうしてその涙の出るような決断をしなければならないでしょう。そうすると、自民党は、比較第一党になったとしても、どこかの党を選んで政策協定しなきゃならぬでしょう。今までのように、自分たちだけでうまいこと言って、自分たちの部会だけでいろいろなお話し合いをしたなどというようなやり方は不可能になるじゃありませんか。ここに議会制民主主義の活性化が始まる、日本の民主主義は始まると思いますが、いかがでしょうか、皆さん。(拍手)
 その間に、自民党と社会党との間に、私たちは思うのです、政権について話し合いができるでしょうか。政策についてのお話し合いができるでしょうか。じゃ、自民党と公明党との間でお話し合いができるでしょうか、できないでしょうか。社会党と公明党との間でできるでしょうか、できないでしょうか。御質問者は、社会党と公明党の分だけ大変御心配をしていただきました。私も心配です、本当言って。PKOのときのことをお話しいただきました。それだけじゃありません。ここ十年がかり、いろいろな論争をやってまいりました。これからこういう制度が通過したら、今までのようなあいまいな社公協議はやめて、徹底的に議論しなければならぬと、もう覚悟いたしております。それが新しい時代をつくるための当然な出血である、その犠牲である。その犠牲にたえない者が、どうして新しい政治改革を論ずることができるでありましょうか、皆さん。(拍手)
 政策の妥協はするか。するのが当たり前。政策の妥協をしない政党などというものは政党ではないのであります。自分の政策だけを人に押しつけて自由にやってこれた、それは中選挙区時代、何もかもが制度麻痺を起こしていた当時の名残なのであります。制度を変えるのではない、人が変わらねばならない。議員が変わらなければならないのです。新しい時代に私たちは、自分たちの態度を変えなければならないのであります。気に入らなくても協議は続けなければならないのであります。
 米ソ交渉を見ていただきたい。世界の冷戦構造が崩壊したのは、米ソという強大な大国ですら、それこそ嫌な顔をしながら、長期間にわたって相手の善意を信じつつ交渉したからではありませんか。
 まだたくさんお話ししたいことがございますけれども、多くの論者もいることでございますので、諸君の良識を期待したいのです。どうか、私たちは明るい気持ちで、自民党だけではない、社会党の皆様にも心から訴えたい、私たちは善意を信じて、お互いの協議を進めようではありませんか。
 終わり。(拍手)
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発言情報

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発言者: 渡部一郎

speaker_id: 28576

日付: 1993-04-13

院: 衆議院

会議名: 本会議