松前仰の発言 (本会議)
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○松前仰君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表して、ただいま議題となりました補正予算案に対して反対の討論を行います。
今般の補正予算案は、四月に決定されました総合的な経済対策を実施するために編成されたものでありますが、バブル崩壊後の経済不況に対する対策としては、昨年既に二度にわたって経済対策が決定され実施されております。ところが、景気はいまだに底を脱し切れてはおらず、九二年十月から十二月期の国民総生産の実質成長率は、前期比で〇・一%、年率換算で〇・五%の低成長となり、七月から九月期のマイナス成長からは抜け出したものの、当初見通しの三・五%を一・六%に修正した政府の九二年度のGNP実質成長率の達成さえ困難になっております。
問題なのは、これまでの二度にわたる経済対策がいかなる効果を発揮して、経済状態にどのような影響を及ぼしたのか、その結果としての経済の現状について具体的にどのように認識しているのか、政府は明確に示し得ていません。ことし一月以来、政府は、「日本経済は調整過程にあり、引き続き低迷している。」という認識を示してきました。ところが最近は、「我が国経済は調整過程にあり、なお低迷しているものの、一部に回復の兆しを示す動きが現われてきている。」として、景気が底を打ったかのような表現をしております。これでは、なぜ「史上最大規模」をうたい文句にした経済対策を早急に実施する必要があるのか、全く理解できないのであります。電力、石油などを除くほほ企業種で投資意欲が減退して前年度比で減少を続ける民間設備投資の動向や、個人消費の実質的減少という事態を見れば、我が国経済が依然として厳しい局面に直面していることを否定できません。
この経済情勢を踏まえれば、むしろ当初予算案を大幅に組み直すのが景気対策の観点からも適切な対応だったのであります。ところが政府は、予算審議中は、最善の予算である、景気対策としても万全であるとし、我が党などが共同で要求した、所得税の大幅減税を柱とした景気対策を重視した予算修正を無視し、原案のまま成立をさせました。そうした極めて硬直した態度をとりながら、予算が成立するや否や「史上最大規模」と銘打った新総合経済対策を決定し、それを具体化するため、早々と補正予算案を同一会期中に提案したのであります。国会を軽視した政府の態度は黙認できることではありませんし、その政治責任は重大と言わなければいけません。加えて、「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出」、その場合などに限り補正予算の作成と提出を認めた財政法第二十九条に照らしても、明らかに問題であります。これが補正予算案に反対する第一の理由であります。(拍手)
反対の第二の理由は、教育減税と言われる特定扶養控除や住宅取得促進税制の拡充など千四百六十億円の政策減税は盛り込まれたものの、景気対策としての緊急の大規模な所得税減税が実施されていないことであります。
パート労働や内職が削減され女子の就業者が減少し、有効求人倍率も一を割り込み続け、雇用調整も進展する中、賃金の引き上げも思うに任せず、百貨店の売り上げの減少に見られるように、内需の相当部分を占める個人消費が低迷を続けております。消費不況と言われる今日、雇用対策を拡充するのは当然のこととしても、個人消費拡大のためには大胆な刺激策が必要であり、大幅な所得税減税の早期実施は避けられないことと言わなければなりません。景気対策の観点からは、消費性向の高い中低所得者を重点にした相当規模の減税を早急に実施すべきでありますし、巷間指摘されておりますように、消費税増税とのセットで税制改革の一環として実施するというのは、全く観点の異なることであります。
自民党幹事長は、我々の所得減税の要求に対して、責任を持って前向きに検討すると堂々と発言され、約束をされたのでありますから、協議機関で結論を出して景気対策の一つとして盛り込むべきでありました。協議は継続されておりますけれども、早急に所得税減税の結論を得るよう強く求めたいと存じます。(拍手)
第三に、公共事業の内容や事業分野別、省庁別の配分比率、そして談合の原因となっている入札制度の改善などが十分に改善されないまま、事業費が増額されていることであります。
今回の総合経済対策の柱は、相変わらず公共事業の拡大となっています。公共事業については、金丸自民党前副総裁の脱税事件に関連して建設業者・業界からの不正献金の実態が発覚し、事業の発注のあり方など、その全般にわたり、見直しの必要性に迫られています。私は、そうした公共事業の抜本的改革が行われないまま事業の拡大が実
施されることに疑問を禁じ得ません。
今回、新社会資本整備の名のもとに、学術・研究や情報化関連投資などを重点的に推進しようとする構想が出てきましたが、従来の公共事業を具体的にどのように改革し、今後推進していくのか、いまだに判然としていないと言わざるを得ません。新しい公共事業の展開を建前では唱えながら、相も変わらずいわゆる族議員や省庁間の縄張り争いを継続しているとしか思われませんし、談合を助長してきた発注制度等の改善措置も全く不十分であると言わなければなりません。公共事業の抜本的改革は避けられないことであります。その硬直的な配分の見直し、そして発注の透明性、公正性の確立など、根本的な改善はもちろんのこと、生活基盤充実を最優先に構想し、実施するように強く求めます。(拍手)
さらに リクルート事件 金融・証券不祥事、東京佐川急便事件、金丸脱税事件と、長らく続いてきた自民党一党支配に由来する政治腐敗問題は後を絶たず、政治改革が待ったなしであることは周知のとおりであります。我が党などが公職選挙法改正案や政治倫理法案など六法案を国会に提出して、それに対して自民党も政治改革関連四法案を提案して、政治改革調査特別委員会で熱心に論議をされております。
それにしましても疑問に思うのは、自民党の総裁でもあります宮澤総理を初め、政府・与党の政治政章に臨む態度を拝見しますと、どうも金丸脱税事件等の政治腐敗に対する反省が乏しいのではないかと思えて仕方がありません。それは、政治疑獄の徹底究明に対する消極姿勢や、証人喚問問題等の対応などにも見られるわけであります。政治腐敗の根絶に向けて政治改革に本気で取り組むよう求めたいと思います。(拍手)
最後に、カンボジアPKO問題について見られましたように、我が国がPKOにおいてでき得る任務の範囲について、国連から報告を求められていたにもかかわらず、その報告を怠ったなどの政府の国連への対応の不備の結果として、それが遠因になったとも考えられる、カンボジアから撤収せずして犠牲者を出すといったことに象徴されます無責任な政府の政治判断、政治姿勢は根本的に改めるよう強く求めて、私の反対討論を終わります。(拍手)