宮澤喜一の発言 (予算委員会)

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○宮澤内閣総理大臣 前回の選挙は一九七二年であったと言われておりますから、まさに今外務大臣の言われましたとおり、二十年ぶりということになりますけれども、いろんな事情を考えますと、今回投票をしておるカンボジアの大部分の人にとっては、恐らく今度の投票というのは初体験ではなかったかと思います。二日間で高い投票率が、こういう必ずしも平穏でない状況の中であるにもかかわらず上がっているということは、中川委員の言われましたように、自分たちの一票によって自分たちの国をつくるという、そういう初めての体験についてカンボジアの人々が非常に明るいと申しますか高い希望を持ちながら投票所に赴いているということと思います。このことは、まさしくパリ協定が目的として描いたところのものであります。
 必ずしもパリ協定の想定したとおり事態は進展をいたしませんでした。そのために我々もとうとい有為の青年を二人、平和のために大事な命を犠牲にされまして、そのことはまことに胸の痛む思いですが、しかし、そういう状況の中で、とにかくパリ協定が一番大事と考えていました自発的な、公平な選挙というものが行われつつあるということを第一にやはり評価をいたすべきであろうと思います。我が国もこれに対していささかの貢献をなし得たことは、我々としても国際から期待されている責務の一部にこたえたと申してよろしいと思います。
 今後、この選挙が静穏に終了することを祈っておりますが、そういうことを経ました後どのような国づくりをカンボジアの人々がするかということにつきまして、先ほども御指摘になりましたが、例えばクメール・ルージュが今後その国づくりにどのように参加をしようとするのか、あるいはどのような立場にその間に立とうとするかは、ただいまのところ正直を申してはっきりいたしません。しかしながら、これだけ多数のカンボジア人が将来に向かって自分で投票しているというこういう状況の中で、クメール・ルージュが最後までこれを白眼視して、その外に立っていくということでその将来を果たして発見し得るのかどうか。これはクメール・ルージュが決めることではございますけれども、やはりそういう問題があるであろう。
 それで、私どもが、クメール・ルージュのこのたびのいろいろな武装解除拒否であるとかあるいは選挙についての不参加であるとかいうことにもかかわらず、なおクメール・ルージュはパリ協定そのものを否定していないと申し上げてまいりましたことの意味は、将来まで展望いたしますと、果たしてそういう立場でクメール・ルージュがどういう正当性を主張し得るのかということは、恐らくクメール・ルージュが考えまして、非常に実は問題であろうというふうに思われます。そう考えますと、これから後の展開というものは、クメール・ルージュの行動にかなりかかってくると申し上げることができると思います。
 いずれにいたしましても、この選挙の結果、パリ協定の想定しておりますところでは、制憲議会で憲法ができて、カンボジア人によるカンボジアというものが国として成立をし、そこでUNTACの仕事は終了するということでございます。願わくは、そういうこれからのプロセスの中で、クメール・ルージュが最後までいわばただひとりそのような国づくりの中でゲリラ勢力として異を立てていくということは、本来我々が考えまして決して好ましいことではないと思われますし、また、そういうことの中でどのようにクメール・ルージュの将来があるのかということも実は考えてみますと疑わしいのではないかということも、これからクメール・ルージュが十分に考えて行動してもらいたい一つの問題ではないかと思っております。

発言情報

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発言者: 宮澤喜一

speaker_id: 13804

日付: 1993-05-25

院: 衆議院

会議名: 予算委員会