村沢牧の発言 (本会議)

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○村沢牧君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表して、ただいま議題となりました平成五年度総予算三案に対し、反対の討論を行います。
 ロッキード、リクルート、共和、佐川と続く一連の政治スキャンダルは多くの国民に深刻な政治不信を生じさせ、その解明も済まないうち、今度は金丸自民党前副総裁が巨額の不正蓄財とその脱税容疑で逮捕、起訴されました。佐川事件では政治家と暴力団のつながりが公となり、今回は政治家の派閥金権政治と錬金術の実態が白日のもとにさらされたのであります。国民の税金で発注する公共事業に関連して政治家と業界が癒着するということは、政治倫理の問題であるとともに、行政の責任が問われています。
 金丸前副総裁は巨額のやみ献金を受けて私腹を肥やし、わかっただけでも三年間に約十八億五千万円もの所得を隠し、約十億四千万円の脱税が発覚し、国民は怒りに燃えています。そして、報道によれば、自民党の有力政治家へのやみ献金、所得隠しはひとり金丸氏だけではないと言われています。このようなことは断じて許せません。また、竹下内閣誕生に暴力団が深く関与し、竹下元首相はそれを知りながら責任を一切回避して政治的延命を企てる不見識きわまる態度をとっていることも絶対容認できないことであり、我が党は竹下元首相の議員辞職を求めます。
 このようなやみ献金、暴力団の関係を放任している自民党には、もはや政権担当の資格はありません。そして、自民党の腐敗体質、長期政権のおごり、高ぶりに対して国民の批判と怒りは日増しに高まり、当然のこととして政治不信は極限に達しています。
 それにしても、竹下元首相の数々の疑惑が明らかになる一方、前副総裁が逮捕、起訴されるという深刻な事態に至っているにもかかわらず、宮澤総理には疑惑解明の積極的な姿勢が全く見られません。総理は、政治改革はすべての改革の基本で、そのためには一身をささげると口では言っていながら、真相解明と責任追及に対しては余りにも無責任としか言いようがなく、このような総理の政治姿勢では支持率が低下するのは当然であり、反省を求めます。
 徹底した真相究明と腐敗防止対策の確立、政治改革の断行は国政の喫緊の課題であり、そのために国会の責任も重大であります。本院予算委員会では、真相解明のため野党が共同して要求した評人喚問に対して自民党が、参議院での証人喚問は行わないことは党の基本方針だとして頑強に抵抗したことによって予算審議は空転を余儀なくされました。証人喚問をしないことを党の基本方針と決めるなどということは疑惑隠しと言うべきであり、参議院での審議と院の権威を失墜するものであって断じて許せません。我が党は自民党の態度を厳しく追及してきましたが、本院予算委員会の審議を六日間も空転させた責任は挙げて自由民主党にあることを、この壇上から国民の皆さんと議員各位に申し上げます。
 その後も、野党の強い要求によって予算委員会での証人喚問、参考人招致の日時は決定いたしましたが、これまた自民党の強い抵抗によって、野党が要求する竹下氏など政治家の喚問が実現できておりません。証人喚問などには全会派一致を尊重するという慣例はあるにしてもまことに遺憾であり、政治不信と参議院不信を高めるばかりであります。我が党は、政治家も含めての証人喚問、国会としての真相究明、腐敗防止対策確立を引き続き強く求め、その実現を図るために全力を傾注する決意であります。
 一方、今回の不況は、政策不況の声が聞かれるように、政府の景気判断の誤りと景気対策のおくれが景気の落ち込みを一層厳しいものにしました。不況のしわ寄せは企業倒産や失業、採用内定取り消しなど国民生活にさまざまな影響が及び、看過できない状態になっております。政府が下方修正した四年度の実質成長見込み率一・六彩すらその達成はほとんど不可能であることは政府答弁でも明らかであり、五年度の三・三%成長も極めて厳しい情勢にあります。こうした経済見通しの狂いはやがて税の大幅減収を招き、平成五年度予算の運営を根底から難しくすることが予想されます。また、平成五年度予算は景気を下支えすることさえ不十分であって、山積する内外の課題に十分に対応できておらず、反対せざるを得ません。
 以下、順次反対の理由を申し述べます。
 反対の第一の理由は、所得税減税を行わず、景気対策が全く不十分であるということであります。
 政府は、我々野党が共同で要求する所得税減税を受け入れず、衆議院での自民党幹事長の所得税減税については前向きに検討するとの発言によって各党協議が開始されたにもかかわらず、政府は依然として公共投資の方が有効との答弁を繰り返してきました。かくいう五年度予算の公共事業費は、四年度補正後予算を大きく下回っているのであります。これでどうして景気を浮揚させることができるというのでありましょうか。
 所得税減税は税制の面からも景気対策の面からも不可欠であります。消費税導入以来実施されていない相当規模の所得税減税を実施し、個人消費を刺激して景気を回復させるべきことは明々白々の財政政策の役割であり、所得税減税を考慮しないこのような予算には賛成することができません。先ほど委員長の報告にあったように、野党の要求を体して政府も所得税減税を実施すべきであります。
 反対の第二は、生活関連の予算が抑制される一方、防衛費が増額される予算案が継続されたということであります。
 東西冷戦の終結、ソ連邦の崩壊と国際情勢は大きく変化し、欧米各国では国防費の大幅削減が行われております。それにもかかわらず、我が国の場合は、申しわけ程度の中期防の修正で抑制のポーズを示しているものの、平成五年度防衛費予算は依然として増加となっています。
 平和と軍縮推進は日本の世界に果たすべき使命であり、中期防の抜本的見直しをするとともに、基盤的防衛力構想そのものの根本的な再検討を速やかに行う必要が生じております。しかも、かつて防衛庁自身が不要としたAWACSの導入を、防衛力整備の欠落部分と無責任きわまる言い方で計上するということは全くもってけしからぬことであります。AWACSなど不要な兵器の購入は断固中止すべきであります。
 反対の第三の理由は、税収の落ち込みでつじつま合わせをきわめた五年度予算は、いわゆる隠れ借金が多用され、不健全な予算となっていることであります。
 税収の伸び悩みの中で、財源確保のために、交付税特会借入金分や国鉄長期債務分等の一般会計承継債務七千億円弱の償還が延期をされたほか、政管健保への繰り入れ減額千三百億円、地方交付税の特例減額四千億円等が行われています。これらはいかに政府が弁解しても隠れた赤字国債にほかならず、財政運営上極めて不健全と言わなければなりません。しかも、予算書のどこにもこれが明らかにされておりません。少なくともきちっとした財政の実態を国民の前に示すべきであります。さらに、政府の行っている隠れ借金の方式は実質赤字国債の発行と何ら変わりありません。二十一世紀に向けた財政の再構築を放棄し、つじつま合わせに終始する予算には反対であります。
 反対の第四の理由は、高齢化社会対策に係る経費の計上、あるいは生活関連社会資本整備等に係る経費の配分が不十分、不適切であることであります。
 高齢化社会の到来を目前にし、国民生活においてさまざまな財政需要が生じているにもかかわらず、社会保障関連費の伸びは三・二%増であり、前年度の四・三%増を大きく下回っておるのであります。いわゆるゴールドプランの実施も、実質的にはその負担の多くを地方自治体に押しつけているほか、その推進テンポも極めて不十分です。一方、生活大国づくりを標傍しながら大型公共投資優先の縦割り行政の弊害から脱することができず、このような国民生活を軽視した予算は全く認められません。
 以上、私は主な反対理由を述べましたが、政府の経済、財政運営に対する不信感も、政治不信同様、看過できないほど大きくなっていることを政府はどれだけ自覚しているのでしょうか。
 不況の中で苦しみ、減税を求める国民の声を取り上げないで、結局は既存利益を保護する予算のやりくりしか行えない政府の手法は、新しい時代の財政需要に対応していないばかりか、財政を破綻の谷底へ突き落とすだけのやりくりと言わざるを得ません。私は、予算のあり方を抜本的に改める必要があることを強く申し上げます。
 最後に、政治疑惑の徹底究明と政治腐敗の根絶に向けた宮澤総理の断固たる決意と、景気対策に対する施策の拡充を厳しく求めて、私の反対討論を終わります。(拍手)

発言情報

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発言者: 村沢牧

speaker_id: 15072

日付: 1993-03-31

院: 参議院

会議名: 本会議