山口哲夫の発言 (本会議)

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○山口哲夫君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表して質問をいたします。
 地方交付税並びに地方財政計画の質問に入る前に、今日非常に重大な情勢を迎えておりますカンボジア問題について質問をいたしたいと思います。詳しくは改めて政府から報告があると思いますので、本日はとりあえず以下の問題について質問をいたします。
 既にカンボジアにおいては二名の日本人死者を含む五十二名の国連要員の死者が出ており、この数はさらにふえるおそれが強いのであります。
 私は、これらの犠牲者に心から哀悼の意を表明いたします。
 さて、村田国家公安委員長には、けさカンボジアから帰国されたばかりですが、早速お聞きをいたしたいと思います。
 まず、見舞われた入院中の警察官及びプノンペンで会見された警察官からどのような報告と要請を受けられたのか、具体的に報告をいただきたいと思います。また、明石代表に対して何を要請され、どのような回答を得たのか、さらにカンボジア情勢とUNTAC要員の安全確保についてどのような見通し、認識を得られたのかを御報告いだだきたいと思います。
 我が党ま、自衛隊を除く文民のPKO要員の派遣を主張してまいりました。しかし、これはあくまで平和維持活動の原則が守られていることが前提であります。
 しかし、今日のカンボジア情勢は、国連PKOの前提となる三原則がほぼ崩壊状態にあるというのが衆目の一致するところであります。武力襲撃、そして武力衝突は多発し、大規模化の様相も呈しております。軍隊の宿営地への集結や武装解除も実施されておりません。パリ協定に言う停戦の実質は存在していないのであります。また、UNTAC自体が紛争当事者の一方から公然と敵視されております。UNTACがポル・ポト派を除く各派の軍隊で投票所を守らせるとするならば、国連の中立性さえ問われることになるのではないでしょうか。これでは自由かつ公正な選挙は全く不可能と言わなければなりません。カンボジア情勢及び紛争当事者とUNTACの関係について、総理の認識をお伺いしたいのであります。
 UNTACの使命はカンボジア国民の和解と復興にあり、選挙はそのための手段であります。この際、国連は紛争当事者の合意と協力が得られるよう説得と調整に全力を尽くすべきであります。その結果、選挙が多少延期されることがあるでしょうけれども、選挙さえ実施すれば事足れりという態度では、紛争はさらに拡大し、本来の和解と復興もできず、いたずらに犠牲者をふやすことになりかねないのであります。
 政府は、この際、停戦や選挙の実施に関する紛争当事者の実質的な合意が存在していないという現実に立脚して、PKOのあり方を根本的に問い直すとともに、これ以上の犠牲者が出ないよう自衛隊を含むすべてのPKO要員を撤収すべきであり、この方向で国連に働きかけるべきであると思いますけれども、総理の答弁を求めるものであります。
 さて、地方財政計画と地方交付税に関して質問をいたします。
 交付税の質問に入るその前提として、国と自治体との関係について確認をしておかなければなりません。
 七年前、私は予算委員会で当時の中曽根総理にこの質問をいたしたことがあります。そのとき中曽根総理の答弁は、自治省が本来持っている監督権に基づいて自治体を指導助言するというのが国と自治体との関係であると答弁をいたしました。唖然としたのであります。まさに戦前の内務官僚の考え方をそのまま持っているのであります。国と自治体との関係というものは、国が上にあって自治体が下にあるなんというものではありません。これはあくまでも対等、平等が原則であります。そういう考え方に立つならば、まず地方自治体が持っている権利というものをきちんと認めるということが、国と自治体との関係で最も重要な問題であると言わなければなりません。ところが、その権利を財政的な面で四千億も特例減額をやるということで踏みにじったのが今日の実態であります。
 地方交付税というものは、五つの国税に対する一定率を掛けたその金額が地方交付税の総額であり、これが自治体の財政的な権利でもなければなりません。それを交付税総額から四千億円、昨年は八千五百億円、その前の年は四千五百二億円、三年間で何と一兆七千二億円と、う莫大な金額を国に吸い上げたのであります。当然私どもは許すことはできないのであります。このことについて、自治体の財政的な権限を一方的に国が踏みにじったと考えるけれども、総理のお考えを聞きたいのであります。
 このような考え方があるからこそ、私どもは地方行政委員会でも国会決議をいたしました。すなわち、「地方交付税を国の一般会計を通すことなく、国税収納金整理資金から直接交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れる制度を積極的に検討すること。」毎回のように国会決議をしているのであります。すなわち、交付税というものは国の一般会計を通すのではなくして、直接地方交付税の特別会計に直入をせいというのが私どもの考え方なのでございます。これに対する大蔵大臣とそれから自治大臣の見解を承りたいのであります。
 さらに問題は、法律とそれから大蔵大臣と自治大臣の間で決められた覚書まで踏みにじって、七千二百三十一億円という莫大な金額をこれまた一方的に四年間延期して九七年度から交付税に加算をするということをやってまいりました。これも私どもとしては到底納得できることではありません。国の権力によってこれは地方財政を支配したということになるのではないだろうか。この点に対する総理の見解を承りたいのであります。
 さて、地方自治体にはやらねばならない問題が山積をいたしております。例えば道路の舗装率一つとってみても、国道は八七・七%、これに比べて都道府県道は四八・三%、市町村道に至っては一五・一%という、まことに少ない舗装率であります。本来、国民の多くが通勤、通学あるいはお買い物に毎日使うこの市町村道が最も舗装率がおくれているという実態なのであります。
 さらに、今、政府は、西暦二〇〇〇年を目指して寝たきり老人ゼロを実現しようということで、ゴールドプラン、すなわち老人保健福祉計画を実行いたしております。その重要な事業の一つにホームヘルパーの増員問題があります。ところが、このホームヘルパーを二〇〇〇年には十万人にするという計画でありますけれども、そのことが実現されたといたしましても、西暦二〇OO年で人口十万人に対するホームヘルパーの数は何とわずかに九十人であります。福祉国家と言われるスウェーデンは現在既に十倍以上の九百二十人であります。したがって、地方自治体はもっと積極的にこの事業を実施していかなければなりません。
 また、生活関連社会資本整備の国際比較を見てみますと、道路の舗装率は、イギリスが一〇〇%、ドイツが九九%、アメリカ九〇%、フランス九二%、日本はわずかに七〇%であります。下水道の普及率は、イギリス九五%、ドイツ九一%、アメリカ七三%、フランス六四%に対して、これまた日本はわずかに四五%であります。都市公園一人当たりの面積に至っては、ドイツが三十七・四平米、イギリス三十・四平米、アメリカ十九・二平米、フランス十二・二平米に対し、我が国は何と一けたの二・六平米であります。
 このように社会資本整備は、総理は生活大国を目指そうとしているけれども、極めてお粗末なのが実態なのであります。このようなことは文化面においてもあるいは環境面においても同じことが言えるのでありまして、我が国はこういった公共事業を急がなければならないのであります。したがって、生活大国を目指そうとするならば、その実現のために最も財政負担を強いられている地方自治体に対し、まず財政計画を大幅にふやし、その中で地方交付税の増額を行うべきであると考えるけれども、総理の見解を承りたいのであります。
 さてもう一つ、国庫補助負担金の一般財源化の問題があります。これについては我が党も基本的に賛成であります。しかし、権限の移譲がセットでなければならないという条件づきであります。ところが、本年はこの一千八十四億円という莫大な金額を、本来ならば地方交付税とは別枠で補助負担金を支出していたのでありますから、当然交付税に別枠として積むのが常識ではないでしょうか。それを一般の地方交付税の中で一千八十四億円を見るということは、その分だけ自治体の地方交付税を期待していたものが減らされたということになりはしないでしょうか。これに対する総理の見解を承りたいのであります。
 政府はどうも野党を甘く見ているようであります。どうせ野党は交付税には反対しないであろう、そういうふうにたかをくくって、したがってこの三年間連続して特例減額をやってきたのではないでしょうか。
 さて、四月十三日に発表された新総合経済対策十三兆二千億円、この中には地方単独事業が三兆五千億円も含まれております。公共事業四兆一千七百億円、この大部分は地方自治体が負担をして実行しなければならないのであります。地方自治体は、総理の言う新総合経済対策を進めるためにも大変な財政負担を強いられるのであります。私どもはこういう実態を考えるときに、これからますます地方自治体の財政が苦しくなろうとしているときに、我々の今日までの忠告に一切耳をかさないというのであるならば、我々も今後この地方交付税に反対する決意を固めなければならないときが来るのではないかと考えるのであります。
 最後に、来年度以降、総理は特例減額あるいは補助負担金の交付税枠内での一般財源化は絶対にやらないということをここで言明していただきたいと思いますし、またこれから行われようとする新総合経済対策の地方財政に対しましては、この地方財政に十分な措置をとる、自治体に負担をかけないということをここでお約束いただき、答弁のいかんによっては再質問することを議長にお願いして、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 112615254X01519930512_005

発言者: 山口哲夫

speaker_id: 29461

日付: 1993-05-12

院: 参議院

会議名: 本会議