宮澤喜一の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○国務大臣(宮澤喜一君) 去る五月四日、カンボジアにおいて国際平和協力業務に従事しておりました我が国文民警察要員五名が、他のUNTAC要員とともに武装グループに襲撃されました。うち、高田晴行さんが殉職され、残り四名の方々も負傷されるという痛ましい事件がありました。
 かかる事件の発生に対し、深い悲しみと強い憤りにたえず、高田さんの御冥福をお祈りし、御遺族に衷心よりお悔やみを申し上げるとともに、負傷された方々の一日も早い御回復を祈念しております。世界平和のため努力してこられた前途有為な人材を失ったことは、まことに断腸の思いであります。
 カンボジアにおきましては、このほかにも種々の暴力行為、テロ事件が発生をしております。また、ポル・ポト派が選挙への不参加を表明いたしましてプノンペンの事務所を閉鎖するなど、不安定な要因が存在をしております。カンボジア四派のうちポル・ポト派を除く三派は武装解除に応じるなどおおむねUNTACに協力してまいりましたが、ポル・ポト派が武装解除に応じず、これが今日の事態の一つの原因になったわけでございますが、ポル・ポト派のUNTACへの非協力的態度はいろいろな意味で国際的に非難をされているところであります。
 しかし、現在カンボジアの情勢を見ますと、どのような局地的な停戦違反事件はございますが、もとより全面的に戦闘が再開されているわけではありません。また、カンボジアにおける紛争当事者各派はパリ和平協定におのおの署名をいたしており、UNTACの設立についてもSNCを通じてこれを受け入れ、またUNTACの活動を受け入れているわけであります。ポル・ポト派自身も、パリ和平協定につきましては、最近の声明においても和平協定そのものは自分たちは認めるのである、むしろ和平協定が十分に忠実に実施をされていないところに問題があるというのが主張であります。
 すなわち、ポル・ポト派の主張によれば、ベトナムの人たちがまだ多数残留をしておるというようなこと、あるいはSNCが期待されたような独立の権限を十分に行使していないといったようなそういう主張でございますので、ポル・ポト派自身がパリ協定という和平の枠組みあるいはUNTACの活動を否定するというような立場には立っていないというふうに思われます。事態は複雑でございますが、基本的にはそういう構図であるというふうに思われます。
 したがりて、パリ和平協定に基づく和平プロセスの基本的枠組みは依然として維持されている、いわゆる法に言う五原則は満たされているというふうに考えておりますので、ただいまの時点で中断、撤収等を検討すべき状況ではないというふうに私は判断をいたしております。
 また、このようなポル・ポト派の選挙不参加にもかかわらず、既にカンボジアにおきましては住民の九〇%と推定される四百七十万に上る選挙登録が行われております。このことはカンボジアの国民の多くが選挙を望んでいるということの証左であると思われますし、また制憲議会選挙を予定どおり実施することにつきましては、シアヌーク殿下自身もこれについて、つい二、三日前にも国民に呼びかけられ、また国際社会も累次これを確認しているところでございますから、我が国としても選挙が予定どおりかつ安全裏に実施されるようUNTAC関係諸国とともに努力をすることがこの際緊急な要務であろうと思います。いずれにいたしましても、派遣要員の安全対策につきましては、政府として万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、法案につきましての御質問でございましたが、国と地方公共団体とは、国民がゆとりと豊かさを実感できる生活大国の実現という共通の目標に向かって、御指摘のようにそれぞれおのおの機能と責任を分担し協力する関係にあると承知をいたしております。その際、住民に身近な行政はなるべく住民に身近なところで地方公共団体が処理されることがこれが考え方の基本であると考えております。そのためには、国から地方への事務・権限の委譲等地方分権を推進し、地方公共団体の自主性、自律性の強化を図ることが必要であるというのが私の基本認識であります。
 地方交付税の性格についてもお尋ねがございましたが、地方交付税は地方団体に法律上当然に帰属するという意味において地方の固有財源であると考えて差し支えないと思います。平成五年度の地方財政につきましては、住民福祉の向上、景気に配慮した地方単独事業の大幅な増額など財政需要を的確に見込み、所要の地方交付税総額を確保した上で、現下の厳しい国の財政事情のもとで国と地方の公経済のバランスをも勘案し、地方交付税総額の特例措置を行うこととしたものでありまして、この間の事情につきましては何とぞ御理解を得たいと存じます。
 その際、今後の地方交付税の安定的な確保と地方財政の健全性の維持が不可欠であるという観点から、法律や覚書によって五年度の地方交付税に加算することとされている額について、その一部を後年度に繰り延べることといたしたものであります。今後とも地方財政の円滑な運営には十分配慮をしてまいらなければならないと思います。
 生活大国を実現いたしますために、住民に身近な行政を行っている地方団体の役割はもとより極めて重要でありまして、自主財源である地方税とあわせ地方交付税等の一般財源の充実強化が必要と思います。今後ともこうした観点から、地方交付税所要額の確保等地方一般財源の充実強化を図っていくことといたしたいと思います。
 国庫補助金等の一般財源化に見合う所要額につきましては、毎年度地方財政計画に適切に計上をすることによりまして地方財政全体として必要な財源を確保し、地方財政の運営に支障が生じることのないよう措置することと、たしているところであります。地方財政そのものは、多額の借入金残高を抱えております上、現下の経済状況のもとで税収の伸び悩みなど厳しい環境に置かれているものと認識をいたしております。決して余裕がある状況であるとは考えておりません。また、今後社会資本整備の充実、高齢化社会の進展への対応など多額の財政需要が将来にわたって見込まれているところであります。このため、今後とも地方財政の円滑な運営に支障が生じませんよう、地方財政計画の適切な策定を通じ地方財政の充実を図っていく必要があると考えております。
 残りのお尋ねにつきましては関係大臣からお答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣村田敬次郎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 112615254X01519930512_006

発言者: 宮澤喜一

speaker_id: 13804

日付: 1993-05-12

院: 参議院

会議名: 本会議