後藤田正晴の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○国務大臣(後藤田正晴君) 峰崎議員にお答えを申し上げます。
社債管理会社の設置だけでは社債権者の保護は十分ではないのではないか、こういう御指摘でございますが、改正法におきましては社債管理会社に対して社債償還請求の権限のほか、発行会社の業務及び財産状況の調査権を付与するなど、社債権者の権利を保護するために十分な権限を付与するとともに、善管注意義務及び公平誠実義務などその義務を明確にし、義務違反の場合の損害賠償責任を課するなど十分な手当てをいたしております。これと、証券取引法上の各種の規制及び社債の信用性についての格付制度、こういったものの充実強化とあわせて社債権者の利益は十分に保護されているのではないか、かように考えております。
今回の商法改正は、従前の改正との関連でどのように一体意義づけておるのか、こういう御質問でございますが、法務省といたしましては昭和四十年代以降、会社法の全面的見直し作業を行って、昭和四十九年、昭和五十六年、平成二年と逐次検討の終了したものから改正を行ってきておるものでございますが、今回の改正はこのような会社法の全面的な見直し作業の成果の一つでございます。
特に、監査役制度の改正は、従前の改正において強化された監査役の権限の行使をより容易にするためのものでございます。
また、社債制度の改正は、企業の資金調達の合理化、円滑化及び社債権者の保護という観点から、昭和五十年代から検討を重ねてきたものでございまして、最近における社会経済情勢の変化に適切に対応するものであると考えております。
計算書類の登記所における公開制度及び会計調査人制度を改正案に盛り込まなかったのは一体どういうわけだ、こういう御質問でございますが、株式会社においてはその有限責任の前提として会社の計算の適正を確保し、またその計算書類を公開することが重要であり、そのような観点から法務省では計算書類の登記所における公開制度や中小会社の計算書類の適正担保の制度につき検討を続けてきておるところでございますが、現在までまだ関係各界の意見の一致を見るに至っておりません。今回の改正案に盛り込むことができなかったわけでございます。法務省としては、今後とも関係各界の意見を十分にお聞きして、適切な結論が得られるよう努力をしていく考えでございます。
今回の監査役制度の改正によって監査機能の強化が一体図られておるのかどうか、こういう御質問でございますが、監査役は株式会社の最高機関である株主総会で選任される会社の機関であって、既に強力な監査権限を法律により与えられているものでございますが、今回の改正は監査役の任期を延長してその地位の安定化を図るということ、また大会社については、監査役の員数を増加して社外監査役及び監査役会の制度を導入しようとするものでござ、まして、これにより、従来に比べてより組織的かつ効率的な監査が行われることが期待されると考えております。
社外監査役の要件を見直すべきではないか、こういう御指摘でございますが、会社の業務執行等に一定期間関与しなかった者に監査させるということによって業務執行に対する監査機能を高めるという社外監査役制度の趣旨に基づきまして、社外監査役の要件を、「その就任の前五年間会社又はその子会社の取締役又は支配人その他の使用人でなかった者」と定めておるものでございまして、現状においてはこれで適切な改革ではなかろうか、かように考えております。
次に、監査役会が監査役個々人の意見反映の機会をかえって減殺するのではないか、こういう御指摘でございますが、各監査役は監査役会の決議に基づいてその事務を分担して行うこととなるわけですが、監査役会は監査役の権限の行使を妨げることはできません。また、監査報告書には各監査役の個人の意見を付記することができると、かようにされておるわけでございまして、監査役の意見反映の機会が減殺されることはないものと、かように考えております。
次に、商法においていわゆる使途不明金の規制を検討すべきではないか、こういう御指摘でございますが、商法上はいわゆる使途不明金という概念は認められていないものでございます。いわゆる使途不明金に関して不正経理を行うということは商法の既に禁止するところであって、不正経理に関与した取締役等は罰則の制裁を受け、また会社等に対して損害賠償の責めを負うこととされておるなど、商法上、既に必要な規制は行われておるのではないか、かように考えております。
次に、株主の代表訴訟の目的の価額についての改正をクラスアクション全体に及ぼすべきではないか、こういう御指摘でございますが、株主の代表訴訟は全株主の利益のためにその代表者として取締役の責任を追及するというものであって、今回の改正はその訴訟の訴額に関する疑義を解消するためのものでございます。
なお、その他一般の民事訴訟等の申し立てに要する手数料のあり方については、御指摘の点も含め、さまざまな意見のあることは私は承知をいたしておりますが、そのような意見も踏まえて慎重に検討すべき課題である、かように考えております。
次に、株主の代表訴訟における乱訴の防止のための対応いかん、こういう御質問でございますが、商法上、当該訴訟を提起するための手続が規定されているほか、被告取締役は悪意のある原告株主に対して相当の担保を提供させることを裁判所に申し立てることができることになっておるところでございまして、この制度の適切な運用等によって乱訴の弊は防止される、かように考えております。
次に、会計帳簿等の閲覧謄写権の持ち株要件を百分の三に緩和してもそれでは実効性がないのではないか、こういう御質問でございましたが、会計帳簿の閲覧謄写権を有する株主の持ち株要件は、御承知のとおり現行法では発行済み株式総数の十分の一以上とされておりますが、この要件は余りにも厳し過ぎるということを考えまして、改正案は株主による会社の業務執行に対する監督是正機能を強化するために百分の三に緩和するものでございまして、株主の権利の強化という点において私は重要な意義を持っておる、かように考えておるわけでございます。
以上でございます。(拍手)
〔国務大臣林義郎君登壇、拍手〕