山本正和の発言 (本会議)
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○山本正和君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表して、平成五年度補正予算三案に対し反対の討論をいたします。
何よりも申し上げなければならないのは、本補正予算案が本院、すなわち参議院の多数意見をほとんど無視して編成されていることであります。
本院は、平成四年度補正予算の通過に当たり予算委員長報告において所得税減税の必要性について触れ、政府はこれを重く受けとめるべきであるとの要請が行われたのであります。また、五年度本予算審議の委員会審査のまとめとして同趣旨の委員長見解が本院本会議において述べられているのであります。予算編成権は内閣に帰属するとはいえ、参議院の多数意見をほとんど無視した本補正予算三案はこれを容認するわけにはまいりません。
次に指摘しなければならないのは、同一国会内で、しかも本予算通過後月余を経ずして補正予算を提出するという無責任きわまる内閣の姿勢であります。これは予算編成の原則を大きく踏み外し、また今日の予算編成のあり方に根本的な欠陥があったことを証明するものであります。
さらに、本補正予算案が財政法二十九条に定めた編成の要件を十分に満たしていないことであります。
我々は、昨年十二月に編成された平成五年度予算については、予算審議の際景気対策として不十分であることを再三指摘いたしましたが、政府は、景気に十分配慮したベストの予算であり、政府経済見通しの実質三・三%成長も十分達成可能と豪語していたのであります。しかるに、政府はそれほどまでに自信のあった五年度予算の成立後わずか一カ月余りでなぜ景気浮揚のための補正予算の提出が必要となったのでありましょうか。財政法二十九条は補正予算編成の要件として「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出」などを定めておりますが、むしろ景気底入れとも思える指標が目立ち始めたことを政府自身が口にしているこの一カ月の間にいかなる経費が特に緊要となったのか全く理解できず、かかる補正予算の編成は到底認めることができないのであります。
反対の第三の理由は、依然として生活関連社会資本整備への取り組みが不十分で、生活大国を目指した予算とはほど遠い内容となっていることであります。
本補正予算案では一兆二千億円に上る一般公共事業関係費の追加が行われておりますが、事業別の配分比率は、生活の質の向上に配慮するとの政府の説明とは裏腹に相も変わらず固定化されたままで、住宅や下水道、環境整備など生活関連社会資本の割合も、当初予算の二八・六%に対し二八・八%とわずか〇・二%の変化にとどまっております。加えて、省庁別の配分についてもほとんど変化は見られません。生活大国づくりのためにはかかる公共事業の配分の見直しこそが何より必要であるにもかかわらず、これを怠る政府に対し反省を促すものであります。
反対の第四の理由は、第二段階の財政再建目標が既に事実上破綻していることであります。
政府は、平成七年度までに公債依存度を五%以下にするとの第二段階の財政再建目標を掲げております。しかるに、公債依存度は五年度当初予算において一一・二%となお二けたに達し、さらに本補正予算案では建設国債の増発二兆二千四百六十億円が計上されており、補正後の公債依存度は一三・九%にまで上昇するのであります。財政再建目標を達成するためには今後毎年度国債発行額を三兆円以上減額していかなければならず、内需拡大、生活大国づくり、高齢化社会への対応など歳出需要が高まる中でかかる大幅な国債発行額の削減が全くと言ってよいほど不可能なことはだれの目にも明らかであります。政府は第二段階の財政再建目標の破綻を率直に認めその責任を国民の前に明確に示すとともに、財政再建目標の見直しに着手すべきであります。
さらに、五年度当初予算における税収見積もりに手をつけていないことであります。
五年度税収の見積もりの土台となった四年度税収は補正後見積もりを三兆円以上下回ると言われ、その確保はほとんど不可能となっており、決算調整資金からの繰り入れさえ取りざたされているのであります。補正予算編成に当たっては税収の減額修正を行うべきであるにもかかわらず、これを怠る政府の財政運営は認めるわけにはまいりません。
本予算成立後直ちに補正予算を提出せざるを得ないという異常な事態を繰り返さないために、政府に対し従来の予算編成方式の抜本的見直しを強く求めるものであります。本予算編成の時点と経済の実態が大きく離れざるを得ないのは現状の予算編成方式に問題があるからであります。従来のシーリング方式や増分主義的決定では今日の世界経済の実態や我が国経済の激しい動きに対応し得ないのであります。
また、議院内閣制がその特徴を示し得ないのみならず、立法府の国権の最高機関たる機能を大きく制御していると言わなければなりません。
さらに、歳入の中心となる税制の抜本的改正を求めておきます。不公正、不公平、複雑な今日の税制を、広く国民の声を聞く中で、大幅な所得減税の実施と、公正、公平、簡素なる税制へと改正すべきことも強く求めるものであります。
討論を終えるに当たり、一言、政治改革について私の考えを述べておきたいと思います。
国民の政治に対する不信はまさにその極に達しておるのであります。政治の場にある者はその怒りを厳しく受けとめ、みずからを律しなければなりません。
「甚だしきかな 吾 老いたるや 久しきかな 吾 また夢に周公を見ず」、春秋戦国の時代、戦乱の中でさまよい落ちついた先で我と我が天命を知ると言った孔子が、世のために働くその役割を忘れたそのことに対するおのれを責める言葉であります。政治を志した者は国民のために働くべき使命を持ち、そのための夢を持たなければなりません。「甚だしきかな吾老いたるや 久しきかな 吾 また夢に国民を見ず」、まさに今日政治にある者が我が身を厳しく責める言葉ではないでしょうか。
政治改革を言にしてはなりません。信頼の信という文字は人の言と書きます。にもかかわらず、政治家の言葉に不信が充満しておるのであります。総理が国民を前に語った政治改革は断固として行う、その決意を強く求めて、私の反対討論を終わります。(拍手)