細川護煕の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(細川護煕君) 最近の相次いだ災害につきまして政府の対応いかんというお尋ねでございましたが、災害を受けやすい国土条件にある我が国におきましては、国展の生命、身体、財産を災害から守ることは政治の基本でありますし、治山治水は、内閣におきましても当然重要な課題として取り組んでまいります。
 北海道南西沖の地震災害や鹿児島を中心とする豪雨災害につきましては、政府として直ちに非常災害対策本部を設置をし、関係自治体とも密接な連携をとりながら、種々の対策を実施をしてきているところでございます。
 また、雲仙岳の噴火災害につきましては、地域の再建、復興を視野に入れて、住宅や安全、移転対策、中小企業、農業、地域振興などの分野におきまして、総合的な対策を展開しているところでございます。
 今後とも、各種の災害対策を推進をいたしまして、被害の軽減に努めますとともに、被災地の再建と復興のための施策に鋭意取り組んでまいりたいと思っております。
 それから、国の基本政策について与党八党派内に意見の食い違いが生じた場合、連立を解いてでも国の礎を守り抜くべきであると考えるかどうか、こういうお尋ねでございましたが、このたびの内閣は、八党派によって樹立されましたいわゆる連立政権でございますが、もともと連立政権は各党が固有の政策を抑制して協力し合うものであろうと思います。その基礎となるものは連立政権の合意であり、今回もあえて立場の違いを乗り越えて、政権の樹立に際し、外交、防衛などの基本政策について、原則として今までの国の政策を継承することを確認をいたしております。与党八党派内には、内部でさまざまな御意見を持つ方々もおられますし、また、これからも基本政策に至るまでいろいろな御議論があろうと思いますが、必ず前向きに対処していけるものと確信をいたしております。(拍手)
 それから、AWACSの導入問題につきまして閣内で不統一があるのではないか、こういうことでございましたが、上原沖縄開発庁長官の御発言は、長官の個人的な見解と承知をいたしております。この御意見によって閣内不統一の問題が生ずるわけではございません。今までの政権下におきましてもいろいろと閣僚の活発な御意見がありましたように、開かれた、国民に目を向けた内閣の運営が望ましいと考えております。(拍手)
 それから、外交の基本路線についてのお尋ねでございましたが、現下の国際情勢は今までにも増して不透明で流動的な状況であって、御指摘のあった二つの道のどちらを選ぶというような単純な問題ではないように私には思われます。(拍手)私としては、御指摘のようなミニ超大国路線を目指すつもりは毛頭ございません。
 それから、連立与党内では、国連の枠内での武力行使について、この問題をどのように調整したのかというお尋ねでございましたが、連立与党八党派は、連立政権の樹立に当たりまして、外交、防衛など国の基本政策について、これまでの政策を継承することで合意いたしております。冷戦後の国際安保体制をどうするかという問題は、世界にとっても、我が国にとりましても、最も重要な課題でございますし、したがいまして、将来をにらんでさまざまな積極的論議が展開されることは、むしろ望ましいことと考えております。
 それから、さきの戦争についての認識についてのお尋ねでございましたが、八月十日には記者会見で質問にお答えをいたしましたもので、私の基本的な考えは、所信表明演説で述べたとおりでございます。
 先ほど河野総裁も、自分自身、過去の歴史から決して目をそらせてはならないと考えているという趣旨の御発言がございましたが、私の発言は、いずれも、さきの戦争についての私の認識をお示しをしたもので、いわゆる戦後補償問題を前提とした発言ではございません。ちなみに我が国は、いわゆる戦後処理の問題につきましては、サンフランシスコ平和条約等関連条約に従って誠実に処理してきているところで、このような法的立場について見直しを行うことは考えておりません。
 私は、所信表明演説におきまして、過去の我が国の侵略行為や植民地支配などが多くの人々に耐えがたい苦しみと悲しみをもたらしたことに、改めて深い反省とおわびの気持ちを申し述べた次第でございます。(拍手)
 それから、核不拡散条約の問題についてのお尋ねでございましたが、私も、NPTの延長の問題につきまして河野総裁と同様の懸念を抱いておりましたので、今回の所信表明におきましても、核兵器の廃絶について言及いたしたところでございます。我が国を含む国際的な安全保障を確保するために核兵器不拡散体制を安定的なものとするとの観点から、NPTの無期限延長を支持することといたしました。
 言うまでもなく、核兵器の廃絶は究極的な目標でありますし、米ロ核兵器削減合意あるいは核実験の禁止問題など、最近の国際的な軍縮の機運の高まりは歓迎するところであって、今後とも、すべての核兵器国に対し一層の核軍縮を求めていく考えでございます。
 それから、円高の進行の中で、政府としても財政面からの一層のてこ入れ、あるいは減税などの財政金融政策を講じる必要があるのではないか、こういうことでございましたが、我が国経済は、現在調整過程にあって、各種の指標にもまだら模様が見られる中で、最近の急激な円高や冷夏の影響も懸念されるところでございます。今後の景気回復には予断を許さないものがあるという認識をいたしております。そうした中で、今後、景気の足取りを確実なものとし、我が国経済の先行きに対する不透明感を払拭することが重要な課題であることは改めて申し上げるまでもございません。
 そこで、前内閣で御努力いただきました本年度予算や、この四月に決定されました新総合経済対策を着実に実施をし、その効果の十分な浸透を図ってまいりますとともに、早ければ九月中旬までに、規制緩和や円高差益の還元を初め、幅広い観点から現下の緊急状態に適切に対応するための諸施策の取りまとめを行い、実行に移してまいりたいと思っております。(拍手)
 それから、所得税減税に関連して、公債政策、消費税の問題についてのお尋ねがございました。
 平成四年度税収が当初予算に比べて八兆円強も落ち込むといった深刻な財政事情のもとで、巨額の財源をどのように安定的に確保するのか、財源として赤字国債を発行できる状況であるかどうか、また消費の現状から見て、必要なコストと比べてどの程度の効果が期待できるのか、そういったことを考えますと、なかなか容易なことではないと判断をしておりまして、この問題につきましては、当面の景気対策ということではなくて、所得、消費、資産などの均衡のとれた税体系の構築についての総合的な検討の中で取り組むべき課題ではないかと考えております。
 それから、お尋ねの公債政策のあり方というのは、減税財源を赤字国債の発行に求めるのか否かということと思いますが、この点につきましては、ただいま申し上げましたとおり、後世代に元利払いという大きな負担を強いることになるわけでございますし、また財政状況の急速な悪化への道を開くことになりかねないということを考えますと、慎重の上にも慎重に判断をしてまいらなければならないのではないかと思っております。
 それから、消費税の税率の問題につきましては、国民各層の御意見や御論議によく耳を傾けまして、今後の財政需要の動向をにらみ海がら、バランスのとれた税体系のあり方などを議論する中で検討するべき課題だと考えております。(拍手)
 それから、米の市場開放問題についてのお尋ねでございましたが、我が国としては、ウルグアイ・ラウンド交渉の年内終結に向けて引き続き最善を尽くしていくことは言うまでもありませんが、同時に、政府としては、今後の交渉に当たって、当然のことでございますが、我が国の農業が将来に向けて安心して生産を続けられる環境を確保していくことが何よりも重要であると考えております。ウルグアイ・ラウンド交渉が最終段階を迎えている中で、各国とも農業問題に関してそれぞれ困難な問題を抱えておりますが、相互の協力による解決に向けて、できる限り知恵を絞り、工夫をしてまいらなければなるまいと思っております。
 また、米の問題につきまして宮澤前総理の施政方針と同じではないかという御指摘でございましたが、過去の経緯等も十分踏まえまして、結果的に同様の表現に落ちついたところでございます。(拍手)
 それから、規制緩和の内容、スケジュール等についてお尋ねがございました。
 規制緩和につきましては、これまでも臨調・行革審答申の推進、さらには、先般の新総合経済対策に基づく許認可等の見直しによっても行われてきたところでございます。現下の内外の経済情勢を踏まえ、経済の活性化、内需の振興を何とか図っていかなければならないということから、このことに寄与し得る規制緩和の実施に早急に取り組むということで、現在、各省庁におきまして詰めの検討作業を行っているところでございます。早ければ九月中旬までに実質的に意味のある結論が得られますように努力をしてまいりたいと思っております。
 それから、小さな政府が、それとも高福祉高負担路線なのかというお尋ねでございました。
 国民負担率の今後のあり方は、究極的には国民が必要とする公共支出の水準と表裏の関係をなすものでございますし、受益と負担のバランスを眺めながら、そのときどきの情勢のもとで国民的な選択が行われるべき事柄であろうと思っております。
 お尋ねの福祉と負担との関係について申し上げるならば、今後、高齢化社会の進展などに伴いまして、国民負担率はある程度上昇していかざるを得ないものと思っておりますが、本格的な高齢化社会の到来時における国民負担の上昇を極力抑制しつつ、活力のある経済社会を維持することが必要であると考えております。
 お尋ねにございました、小さな政府を目指すのかどうか。そもそも、小さな政府とは何か、大きな政府とは何か、その区別は大変難しいことだと思いますが、私としては、極力小さな政府を念頭に置いて進んでまいりたいと考えているところでございます。(拍手)
 それから、二大政党制か、その他の姿かという趣旨のお尋ねでございましたが、二大政党制や中間的な第三勢力の存在するパターンなどの政党制の姿というものは、政治家の側が決定できるものではなくて、政治文化やそのときどきの政策軸などを含む広い意味での国民の選択によるものだと思っております。そのような国民の選択をまず尊重するということだろうと思いますが、ただ、私としては、幾つかの政党が提携関係を結んで行動することはともかく、政党の数としては、東西のイデオロギー対立終結後の時代には、いわゆる穏健な多党制と呼ばれるようなものにおのずから収れんしていくのではないかと考えているところでございます。(拍手)
 それから、次期衆院選において、連立与党は統一確認団体か新党的なものか、または連立与党内の力関係から政治がねじ曲げられるのではないかという危惧の声があるがというお尋ねでございました。
 連立政権は、主体性を有するそれぞれの政党が、国民に責任を負うべき政権の樹立に関して互いに協力をしていくもので、選挙に当たりましては、ヨーロッパの例などから見ましても、それぞれがみずからの選択によって対処するのは当然のことだと思っております。したがって、連立与党内のいずれかの党が立てた選挙方針が必ずしも他党を拘束することにはならないと思っておりますし、それぞれの党が主体性を持って次期衆院選に対応するということになるのではないかというふうに認識をいたしております。御指摘のような危惧につきましては、御懸念には及ばないということを申し添えさせていただきます。(拍手)
 それから、衆議院の定数の問題についてお尋ねでございましたが、選挙制度改革の具体的内容につきましては、総定数の問題を含めまして、現在、連立与党各党間で精力的に検討作業を進めておりますが、第八次選挙制度審議会の答申や前国会における社会、公明党案、さらに自民党案におきましても総定数は五百人になっていたと承知をしておりますし、一応の目安となる数ではないかと考えているところでございます。
 それから、企業・団体献金のあり方についてお尋ねでございましたが、企業などの団体献金につきましては、現行法では総枠の制限など一定の制限のもとに認められているところでございますが、近年続発する政治腐敗事件が企業などの団体献金に起因することを考えますと、この際、公費助成の導入などの措置を講ずることによりまして廃止の方向に踏み切ることが適当だと考えております。
 なお、企業、団体が社会的存在であることはもちろんでございますが、だからといって、そのことが直ちに献金を認めることにつながるものではないと考えております。(拍手)
 改革案の詳細につきましては、これも連立与党各党の間で詰めの作業が進められているところでございまして、その結論を待って、できるだけ早急に国会で御審議いただけるようにしてまいりたいと思っております。
 それから、企業・団体献金を廃止するめどは何年後かと、こういうお尋ねでございましたが、その点につきましては、現在、これも連立与党で進められている検討作業の中心的な課題の一つでございますので、その結論を待ちたいと思っております。
 それから、公的助成のあり方についてのお尋ねでございますが、政治活動に一定の金がかかることは事実でありますし、政治活動に要する経費はいわば民主主義のコストというべきものと考えております。また、選挙制度を政党・政策中心の仕組みに改めることによって、政党の財政基盤の確立、強化が必要となるわけでございますが、選挙や政治資金の制度を抜本的に改革することで、政治活動に要する経費に対する公費助成についての国民の御理解も得られるのではないかと考えているところでございます。
 公費助成の額をどうするか、その詳細につきましては、これも連立与党の各党の中で検討作業を進めているところでございます。
 それから、政治改革を断行するという公約について、また、提出を予定している法案の件数等についてのお尋ねでございました。
 政治改革関連法案の詳細につきましては、これも今検討作業が進められておりますので、その結論を待って、できるだけ早い機会に国会に御審議をお願いし、各党各会派の御理解と御協力を得て、ぜひとも本年中に成立させていただきたいと考えております。
 区割りにつきましては、政治改革関連法案成立後、第三者機関によって案を作成をしていただき、それを踏まえて法案化したいと考えております。
 参議院の選挙制度のあり方は、衆議院の選挙制度と密接に関連する問題でございますし、また、地方公共団体の選挙制度のあり方も重要な課題と考えておりますが、まず、おおむね各党間の認識が一致している衆議院の改革について御審議をいただき、結論を得ることが肝要と考えております。
 なお、関連法案の件数なり提案の形式につきましては、与党各党間の検討の結果を待ちまして、最終的に結論を出したいと考えているところでございます。
 それから、政治改革と政治責任についてのお尋ねでございましたが、お尋ねの政治責任の点につきましては、八月十日の記者会見で申し述べたとおりでございます。私としては、政治改革の実現に全力を尽くして取り組んでまいりたいと思いますので、何とぞ御協力のほどをよろしくお願いを申し上げたいと思います。(拍手)
 それから、行政手続法案の問題についてのお尋ねでございましたが、行政手続法案につきましては、内外から、公正で透明な行政運営の確保を求める声が高まっているわけで、そうした要請にこたえるために、ぜひとも早期成立を図ることが必要だと思っておりますし、さきの通常国会に提出をいたしました法案を次の臨時国会に再提出するつもりでございます。
 それから、第三次臨時行政調査会の設置についてのお尋ねがございました。
 第三次行革審は、過去九件の答申、意見を提出し、現在、今秋の最終答申の提出を目指して鋭意御審議をいただいているところでございます。
 なお、第三次行革審任期満了後における新たな行政改革推進のための調査審議機関が要るかどうか、あり方などの問題につきましては、十月の審議会の最終答申をにらみながら、成果の上がる方向を総合的に判断すべきものであろうというふうに考えているところでございます。
 それから、「地方自治の本旨」とは何かというお尋ねでございましたが、憲法九十二条に規定する「地方自治の本旨」とは、かた苦しく申し上げるならば、地方公共団体の運営を住民自身の責任においてみずからの手で行うという住民自治と、それから地方公共団体の自主性、自律性が十分発揮できるよう地方自治の制度を定め運営するという団体自治をともに実現することであると申し上げてよいのかと思います。それを私なりに申し上げるならば、それぞれの地域がその風土や歴史を踏まえ、そこに住む人々がその地に誇りと愛着を持って日々の暮らしを営んでいけるような、地域本位、住民本位の個性ある地域づくりを進めていくことであろうかと思っております。そのようなことが実現できるような国と地方の関係を確立していくことに尽きるというのが私の基本的な認識でございます。(拍手)
 いずれにしても、憲法の定める「地方自治の本旨」を確立するために、地方自治の充実発展に真剣に努めてまいりたいと思っております。
 最後になりましたが、河野総裁からは先ほど温かい励ましをいただき、大変恐縮をいたしております。河野新総裁によりまして、自由民主党が大きく生まれ変わることを御期待を申し上げますとともに、同世代人として前向きに競い合うことによって日本の政治に寄与してまいりたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)
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発言情報

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発言者: 細川護煕

speaker_id: 23101

日付: 1993-08-25

院: 衆議院

会議名: 本会議