細川護煕の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(細川護煕君) 最近の幾つかの自然災害についてのお尋ねでございましたが、まず、雲仙岳噴火の災害につきましては、先ほども申し上げたことでございますが、住宅、安全、移転対策、中小企業あるいは農業、地域振興など二十一の分野にわたる広範な対策を推進をしているところでございます。
 北海道南西沖地震や鹿児島を中心とする八月の豪雨災害につきましても、発災後直ちに対策本部を設置をいたしまして、調査団を派遣をし、地域の再建と復興に向けて、当面の応急措置のほか、災害復旧の早期実施、農林漁業や中小企業に対する救済の措置、あるいはまた被災自治体への財政措置など、もろもろの対策を取りまとめまして実施をしているところでございます。今後とも、こうした大災害に対する場合はもとよりでございますが、被災地の再建と復興に向けまして、できる限りの取り組みをしてまいりたいと思っております。
 それから、連立政権を運営するに当たっての基本的な考え方ということでございましたが、連立政権の運営に当たりましては、所信表明でも申し述べましたように、責任のある変革、今までのいいところは引き継ぎ、改めるべきところは改める、つまり責任のある変革ということを旗印に、さきの総選挙で示されました国民の歴史的な審判に全力でおこたえをしてまいりたいと思っております。政治改革の実現はもとより、いわゆる族議員政治でありますとか政・官・業の癒着の打破でありますとか、我が国の政治の旧弊を改めて、内外から信頼されるに足る、時代にふさわしい政治の確立に最善を尽くしてまいりたいと思っております。
 なお、政権の運営に当たりまして、常に国民に目を向けた政治を行うことをこの連立政権の政治姿勢の原点としてまいりたいと思っているところでございます。
 それから、連立政権を支える政党が可能な限り自己を抑制して政策の調整を図っていくべきではないかということでございましたが、連立政権は、申すまでもなく、その成り立ちや立党の精神、あるいは政治手法や政策など、それぞれに異なった政党が主体性を維持しながら、なおかつ協力することによって初めて成り立つものでございます。したがって、連立政権に参加する政党が自己抑制と相手の主張の許容に努めることは当然でありまして、この内閣におきましても、そうした基本姿勢を維持することによって、国民の間にできるだけ幅広いコンセンサスをつくり出すという連立政権の特色の発揮に努めてまいりたいと思っております。
 政治改革関連法案を一括して本年中に成立させるべきであるとする決意についてのお尋ねでございましたが、国民に信頼される政治を取り戻すためには、選挙制度や政治資金制度を含めました抜本的な改革を一体として早急に実現しなければならないということを機会あるごとに申し上げてきたところでございます。政治改革関連法案の本年中の成立に向けまして全力で取り組んでまいりたいと存じます。
 地方分権のことについてのお尋ねでございましたが、東京一極集中を是正して国土の均衡ある発展を図り、地域の特色や自主性が反映される活力に満ちた地域行政を展開していくことは、極めて重要な課題であると認識をいたしております。
 地方分権につきましては、既に行革審の答申などでもパイロット自治体を初めとしてもろもろの提言がなされておりますが、今後、内需主導型の経済社会を実現し、地方公共団体の自主性や自律性の強化を図ってまいりますためには、私としても強い決意で具体的な成果を上げるべく取り組みをしてまいりたいと考えているところでございます。
 情報公開に対するお尋ねでございましたが、地方の情報公開に対する取り組みいかんということでございましたが、地方公共団体における情報公開条例の制定につきましては、各団体が自主的に対応しておりまして、平成五年四月一日現在で三十六の都道府県、百八十一の市区町村が情報公開条例を制定しております。
 地方公共団体における情報公開につきましては、基本的にはそれぞれの団体が実情に即して、その判断と責任によって対応されるべきものと考えておりますが、地方公共団体における情報公開についての法的措置が必要であるかどうかという点につきましては、国の情報公開法制の調査研究の中であわせて調査研究させていただきたいと思っております。それから、中央政府機関の情報公開についてもあわせてお尋ねがございましたが、国の行政情報の公開につきましては、公正で民主的な行政運営を実現をし、行政に対する国民の信頼を確保するという観点から、行政運営上、文書閲覧の窓口制度でありますとか行政情報公開基準の適切な運用に努めているところで、法制上の措置としては、行政手続二法案におきまして、国民の権利義務に直接関係する行政庁の活動について、審査基準などの公開あるいは処分理由の提示など、多くの面で情報公開規定の整備を図っておりますので、この法案を早期に再提出して、その成立に努めてまいりたいと思っております。
 なお、手続法に加えて、さらに別個の一般共通法制としてのいわゆる情報公開法制の必要性につきましてお尋ねがございましたが、この点につきましては、非公開とすべき情報の範囲でありますとかあるいは争訟手続など、関連する諸制度との調整などにつきまして、いろいろな観点から検討すべき課題もございますので、もうしばらく勉強させていただきたいと思っております。
 それから、景気回復、経済運営についてのお尋ねでございました。
 我が国の経済は、現在調整過程にあって、各種の指標にまだ、まだら模様が見られるわけでございますが、最近の急激な円高や冷夏の影響も懸念されますし、今後の景気回復には予断を許さないものがあると認識をいたしております。そうした中で、今後、景気の足取りを確実なものとし、我が国経済の先行きに対する不透明感を払拭することが重要な課題であると認識をいたしております。
 そこで、先ほども申し上げたことでございますが、本年度予算や、この四月に決定されました新総合経済対策を着実に実施をして、その効果の十分な浸透を図ってまいりますとともに、早ければ九月中旬までに、規制の緩和や円高差益の還元を初め、幅広い観点から、現下の緊急な状態に適切に対応するための施策の取りまとめを行って、実行に移してまいりたいと考えております。
 産業・経済活動の目標なり基本理念についてお尋ねがございましたが、我が国におきましては、国民一人一人の生活の質の向上や精神的な豊かさ、社会的な公正といった点に十分意を用い、生活者利益優先への転換が求められていることはよく指摘されているとおりでございます。また、世界経済のグローバル化、貿易、投資の相互依存が進展をしていく中で、我が国経済社会を地球的規模の視点で見直すことも重要であることは、言をまたないところでございます。
 具体的には、自由貿易体制を維持強化するための国際協調に率先して取り組んでいかなければなりませんし、良好な対外経済関係を維持するだけでなく、暮らしの向上を図るために、内需拡大の努力や市場アクセスの改善、内外価格差の是正、規制緩和など、消費者重視の政策を積極的に推進をしてまいることが肝要だと思っております。
 それから、前川レポートなどにかわる新たな計画と政策についてということでございましたが、現行経済計画におきましても、生活者・消費者重視の視点への転換がなされ、内需主導型経済構造の定着を目指して、例えば年収の五倍程度で住宅を取得できるような土地住宅施策の推進や、利用者の視点に立った社会資本の整備目標などが掲げられていることは御承知のとおりでございます。
 しかし、冷戦構造が終えんを迎えて、社会経済状況が大きく変わってきた状況のもとで、国民生活の向上を図ってまいりますためには、我が国の経済社会構造の変革も織り込んだ中長期的な対応策につきまして、各方面からの御意見も拝聴して早急に取りまとめを行ってまいる必要があろうと思っております。おいおいそのお取りまとめをいただくメンバーを決定をいたしまして、年内をめどに御提言をいただければと考えているところでございます。
 それから、米の自由化問題につきましてお尋ねがございましたが、我が国としては、ウルグアイ・ラウンド交渉の年内終結に向けまして引き続き全力を尽くしてまいりますが、同時に、政府としては、今後の交渉に当たって、我が国の農業が将来に向けて安心して生産を続けられる環境を確保することが何よりも大切であると考えております。ウルグアイ・ラウンド交渉が最終段階を迎えている中で、各国とも農業問題に関してそれぞれ困難な問題を抱えておりますが、相互の協力による解決に向けて、最善を尽くしていかなければならないと考えているところでございます。
 米につきましては、所信表明で申し上げたとおり、国会決議の趣旨を体し、国内産で自給するという基本方針のもとで対処してまいりたいと思っております。
 それから、米づくりの将来展望いかんということでございましたが、我が国の稲作につきましては、米の国内自給を基本とし、需要に見合った生産を推進をしてまいりますとともに、経営感覚にすぐれた効率的、安定的な経営体を育成していくことが重要であることは申すまでもないところでございます。
 さきに農水省が公表いたしました「新しい食料・農業・農村政策の方向」におきましても、おおむね十年後を目指して、稲作を中心とする望ましい経営体の姿を提示するとともに、その実現のための施策の方向が示されているところでございます。今後は、この政策の方向に沿って、将来に向けた魅力ある稲作の実現を図るために、担い手の育成、規模拡大の推進、新技術の開発、普及などの施策を何とか一生懸命に推進をしてまいりたいと思っております。
 それから、減税問題について幾つかお尋ねがございましたが、政府としては、今後の景気の足取りを一層確かなものとするために、本年四月に新総合経済対策を決定をし、現在その着実な実施を図っているところでございます。税制上の措置としても、新総合経済対策におきましては、中小企業機械投資促進税制といったような投資減税でありますとか、あるいは住宅取得促進のための税制の拡充でありますとか、あるいはまた特定扶養控除の引き上げでありますとか、そういった措置を講じてきたところで、そういった対策の効果はこれから着実にあらわれてくるものと考えております。
 所得税の減税につきましては、平成四年度の税収が当初予算に比べて八兆円強落ち込むといった深刻な財政事情のもとで、巨額の財源をどのように安定的に確保するのか、財源として赤字国債を発行することは、さていかがなものか、消費の現状にかんがみますと、必要なコストと比べてどの程度の効果が期待できるのか、そういったことを考えますと、なかなか容易なことではないという感じを持っております。
 いずれにしても、所得税減税の問題につきましては、当面の景気対策ということではなく、所得税制度の問題として、今言われたような所得、消費、資産の均衡のとれた税体系の構築についての総合的な検討の中で取り組むべき課題ではないかと考えているところでございます。
 それから、円高メリットの問題についてのお尋ねでございましたが、差益還元の問題につきましては、八月十九日に経済情勢臨時懇談会を開催をいたしまして、これを踏まえて、早ければ九月中旬までに実質的に意味のある結論が得られるように検討を進めているところでございます。政府としては、円高のメリットを国民が享受し得る状況ができてまいりますように、今後とも適切かつ機動的な対応を図ってまいりたいと思っております。
 それから、労働力のミスマッチの問題についてのお尋ねでございましたが、円高による産業構造の転換に伴って労働力のミスマッチが発生することも予想されるところでございますが、円高の進展が雇用に与える影響につきましては、今後とも注意深く状況を把握して、適切な雇用対策、職業能力開発対策の実施に万全を期してまいりたいと思っております。
 規制緩和の問題についてお尋ねでございました。
 この息につきましては、これまで民間の有識者をメンバーとする臨調、行革審の答申に沿ってその実現に努めてきたところでございます。今後、今御提言にあったようなことも含めまして、国民各層の方々から御意見や御要望を積極的にちょうだいして、その推進を図りますとともに、現在検討されている行革審の最終答申なども踏まえまして、幅広く検討をしてまいりたいと思っております。
 高齢者問題についてのお尋ねでございましたが、だれもが健康で生きがいを持って安心して生涯を過ごすことのできる社会にしていくことが基本であることは申すまでもございません。高齢者がその豊富な人生経験や知識、技能というものを生かして、社会に貢献できる一員として社会活動ができるように、高齢者の生きがいと健康づくり推進事業などによって必要な機会の提供や環境の整備を図っていることは御承知のとおりでございます。
 また、働くことを希望する高齢者が六十五歳まで現役として働けるように、高齢者の雇用対策の一層の拡充、あるいはまた高齢者向けの職業訓練の充実を図りますとともに、シニア住宅事業の推進でありますとかケアハウスの整備でありますとか、高齢者ができる限り自立した生活を継続していけるような住環境の整備に努めてまいりたいと思っております。
 高齢者の介護につきましては、ゴールドプランの着実な推進などによって一層の保健福祉サービスの充実を図りますとともに、将来の介護システムにつきましても、中長期的な視点に立って、今後さらに検討してまいりたいと思っております。さらに、保健、医療、福祉の分野における必要なマンパワーの確保につきましては、昨年の通常国会におきまして必要な法的な整備をしていただいたところで、今後とも人材確保対策を推進をしてまいりたいと思っております。
 ノーマライゼーションの問題についてのお尋ねでございましたが、年齢や障害の有無にかかわらず、だれもが住みなれた家庭や地域社会において通常の生活ができるようにすることが重要であるというノーマライゼーションの考え方は、高齢者や障害者の福祉施策を進める上で極めて基本的な理念であると認識をいたしております。
 今後とも、ゴールドプランや障害者対策に関する新長期計画に基づきまして、家庭や地域社会での自立した生活を支えるホームヘルパーなどによる在宅福祉対策の充実を図るなど、その実現に向けまして努力をしてまいるつもりでございます。
 それから、共生の社会システム実現のために福祉の町づくりが急がれているが、どうかという趣旨のお尋ねでございましたが、鉄道利用者に適切なサービスを提供するために、最近では随分鉄道の駅におけるエスカレーターやエレベーターなどの施設整備を推進をしているところでございます。具体的には、鉄道の駅におけるエレベーターの整備指針を策定をいたしましたほか、平成五年度には、駅におけるエレベーター、エスカレーターなどの整備を対象とした開発銀行の超低利融資制度を創設をいたしております。今後、さらに、身体障害者や高齢者の方々にとりましても利用しやすい駅になるように指導してまいりたいと思っております。
 それから、教育の問題についてのお尋ねがございました。
 次代を担う子供たちがゆとりある学校生活の中で、実りある生涯を築いていくために必要な力を身につけるようにすることが肝要であることは言をまたないところでございます。新学習指導要領は、そのような考え方に立って改訂されたもので、各教科などの内容につきましては、各学校段階におきまして確実に身につけるべき基礎的、基本的な内容に一段の工夫が凝らされておりますが、今後、教育関係者が知恵を出し合って、その趣旨を実現していっていただくことを期待をいたしているところでございます。
 それから、学校図書館は、子供たちの知的な活動を促し、人格の形成や情操を養う上で重要な役割を担っているものでございますが、特に情報化が進んでいる中で、子供たちがみずから情報を活用し学習を進めていく力を育てる上でも、図書館の果たす役割は大きなものがございますし、新学習指導要領でもその活用が明示されていることは御承知のとおりでございます。既に文部省におきましても、図書館、読書指導の充実のための施策が実施されておりますが、今後とも学校図書館の充実が図られることを期待をいたしております。
 それから、児童の権利条約についてのお尋ねでございました。
 本条約につきましては、前国会で長時間にわたる御審議の末、全会一致で衆議院で可決され、参議院でもいま一歩という状況であったことは御案内のとおりでございます。
 「チャイルド」という言葉の訳語につきましては、言葉のニュアンスなど種々の御指摘がございましたが、条約の訳文におきましては、国際人権規約などの条約並びに我が国の憲法あるいは労働基準法、児童福祉法などに用いられております法令用語の整合性を保つことが重要であるという見地から、「児童」が用いられたものと承知をいたしております。
 本条約につきましては、できるだけ早い機会に国会の承認をいただくべく再提出をしたいと考えておりますが、承認後、この条約の広報活動などを行うに当たりまして、御指摘も踏まえまして、「児童」ばかりではなく「子ども」という言葉を用いることも考えてまいりたいと思っております。(拍手)
 それから、世界の子供問題でリーダーシップをというお話でございましたが、御指摘がございましたように、今日、世界では多くの子供たちが飢餓や病気など困難な状況のもとにあるわけで、このような状況を改善するために、今後とも世界の子供たちの保護の促進に向けて国際協力に努めてまいりたいと思っております。
 女性と男性の社会的平等の実現、クオータ制度の問題についてのお尋ねでございましたが、生活者利益優先の視点に立って従来の制度や政策を踏み込んで見直していくためには、女性の視点を盛り込むことが必要であることはお話しのとおりでございます。女性が政治、社会のあらゆる分野に男性と同じように参画する男女共同参画型社会の形成は、政府の施策の重要な柱だと認識をいたしております。
 男女の固定的な役割分担意識や慣行の変革、あるいは女性が社会参加しやすい条件整備など、総合的な施策を推進しておりますし、現内閣におきましても、三人の女性に御入閣をいただき、さらに官房長官を女性問題担当大臣に指名をいたしまして、内閣としても最善を尽くして女性問題に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。(拍手)
 行政の分野につきましては、女子公務員の採用、登用、それから審議会などの委員への女性の登用にさらに努めてまいりたいと思っておりますし、審議会の委員も、女性の委員の割合は現在一〇・四%でございますが、これを平成七年度までに一五%にするという目標を政府の計画に盛り込んでおりまして、その達成に一層努力をしてまいりたいと思っております。
 それから、世界人権会議の宣言に関連してのお尋ねでございましたが、本年六月にウィーンにおいて開催されました世界人権会議では、すべての人の人権の普遍的な尊重をうたったウィーン宣言及び行動計画が採択されましたが、我が国としては、この会議が国際社会における人権の尊重と促進への新たな契機となるように積極的に議論に参加したところで、この宣言を踏まえまして、また、おっしゃった趣旨も考慮に入れながら、今後とも人権の尊重と促進のために努力を払ってまいりたいと思っております。
 それから、週四十時間制の問題についてのお尋ねでございましたが、来年四月から施行される改正労働基準法では、御承知のように、現行の四十四時間制を、原則として週四十時間制に移行することにいたしております。
 しかしながら、労働時間の短縮が進んでいない中小企業などにつきましては、平成九年三月末までの間、猶予措置を適用することにしているところでございます。
 政府としては、時短を行った中小企業に対してまして奨励金を支給するなど、助成措置の活用を図りながら、きめ細かな指導、援助などを行って、猶予期間中にこうした中小企業などができるだけ早期に四十時間制に円滑に移行できるように努めてまいりたいと思っております。
 国連改革についてのお尋ねでございましたが、冷戦の終えん後、新たな国際秩序の構築に当たりましては、御指摘がありましたとおり、国連が中心的な役割を果たすことに対する期待が国際的に高まっております。
 今日、国際の平和と安全の問題に関しましては、さまざまな地域紛争に加えて、環境、貧困、難民といった非軍事的な要素も不安定要因となってきておりますし、国連はそうした問題を解決するに際して、グローバルな枠組みを提供し得る唯一の普遍的な国際機関であって、国際社会の期待にこたえていくためには、国連自身、新たな時代の変化に適合する変革が必要だと認識をいたしております。我が国としても、国連がこうした冷戦後の世界に対応できるように、国連改革、国連の機能強化のために積極的に寄与していく方針でございます。
 それから、冷戦後の経済協力、国際貢献、アジア近隣諸国の重視といったようなことについてのお尋ねでございましたが、東西冷戦は終わりを告げましたが、国際社会は新たな平和秩序の構築という重い課題に直面をし、我が国の外交を取り巻く環境も大きく変わってきております。国際経済における相互依存関係の深化も背景として、今や我が国の行動が国際社会の動きを左右するまでになってきていることは御承知のとおりでございます。我が国としては、新しい平和秩序の構築と世界経済の発展のために、アジア・太平洋そして国際社会における主要な一員として、その責任と役割を積極的に果たしていかなければなるまいと思っております。
 そういう認識のもとで、我が国としては、まず第一に、地域紛争の解決や軍備管理・軍縮を初めとする世界平和の確保のための取り組みをしていくということ、第二には、世界経済の繁栄の確保、ウルグアイ・ラウンドの年内終結に向けての努力をしていくということ、第三には、途上国援助の拡充をしていくということ、第四には、地球環境を初めとする地球的規模の問題への取り組みを積極的に進めていくということ、そうしたさまざまな分野において国際貢献を推進をしていくことが重要であると認識をしております。
 それからまた、アジアの近隣諸国など諸外国の経済発展のためには、我が国の市場アクセスの一層の改善など市場機会を拡大することが重要であって、このような市場機会の拡大などを通じまして、貿易、投資などの国際的な経済交流をより一層活発化していく必要があると認識をしているところでございます。
 それから、対日、日中、日朝、アジア外交全体を含めてどう考えるかというお尋ねでございましたが、私は、アジア・太平洋地域の一員としての我が国の役割を重視し、この地域の平和と繁栄のために可能な限りの貢献を行ってまいりたいと考えております。そのような考え方につきましては、先日の所信表明で述べさせていただいたとおりでございます。
 ロシアとの関係につきましては、北方領土問題を解決をし、国交の完全正常化が実現するように努力をしてまいりますとともに、ロシア国内の改革に対し応分の支援を行ってまいりたいということを申し上げました。
 また、中国との関係につきましては、引き続き政治経済両面にわたる改革・開放政策を促すとともに、一層の国際協調を慫慂し、国際社会におきましてともに建設的な役割を担ってまいりたいと考えているところでございます。
 それから、日朝国交正常化交渉につきましては、このことが朝鮮半島の平和と安定に資するものとなるように、そのことをしっかり念頭に置いて、誠意を持って、かっ粘り強く交渉に臨んでいきたいと思っております。
 それから、アジアの諸国民に対する反省と謝罪の意思を国会決議でどうかというお話でございましたが、御指摘の点につきましては、先日の私の所信表明演説におきましても改めて深い反省とおわびの気持ちを申し述べたところでございますが、国会決議につきましては国会が決定されるべきことと考えております。
 それから、地球環境問題についてのお尋ねでございましたが、この問題は人類の生存基盤に深刻な影響を与える緊急かつ重要な問題であって、我が国にとりましても最重要課題の一つであると受けとめているところでございます。まずもって、高度な経済活動を営み、地球環境にも大きなかかわりを持っている、そしてまた環境保全の分野で多くの経験とすぐれた技術力を持っている我が国といたしましては、地球環境の保全に積極的な役割を果たしていくことが求められていると考えております。
 そのような観点から、我が国としては、環境への負荷が少なく持続的な発展が可能な社会を構築するとともに、我が国が国際社会において占める地位に応じて、地球的規模の環境問題に対応する国際協力の一層の強化について率先して努力してまいらなければならないと思っております。
 また、御指摘の開発途上国における環境問題への取り組みに対する支援につきましても、我が国として引き続き積極的に取り組んでまいりたいと思っております。(拍手)
 それから、環境基本法の再提出についてのお尋ねでございましたが、さきの国会に提出されました環境基本法案は、環境の恵沢を現在及び将来の国民が享受していくための基本的な理念と、これに基づく基本的施策の総合的な枠組みを定めたものであって、地球環境時代に対応した新たな環境政策の展開を図るために不可欠の法案であると認識をいたしております。前国会で、衆参両院におきまして十分審議が尽くされ、修正を経て全会一致で可決されたものでございますし、これを次の臨時国会に再提出をし、その早期成立をぜひお願いをしたいと思っております。(拍手)

発言情報

speech_id: 112705254X00519930825_007

発言者: 細川護煕

speaker_id: 23101

日付: 1993-08-25

院: 衆議院

会議名: 本会議