阿部孝一の発言 (政治改革に関する調査特別委員会)

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○阿部孝一君 それでは申し上げます。
 長い間の不況が全くその出口も見せない今日、さらに追い打ちをかけるように、百年に一度あるかないかと言われるような冷害による農作物の被害が、まさに全国的な規模でその結果を見たわけであります。
 ことし、この冷害対策に、我々地方自治体におきましてはどうすればいいかというようなことで、農民の立場に立ちまして狂奔いたしまして、私、先ほど御紹介ありましたように商工会の理事という資格で出ておりますが、私自身も地方議会の議長をやっております。そういう立場から、地方の二万一千の小さな町でありますけれども、冷害対策の特別委員会というのをいち早くつくりまして、これらの被害農家というものをどうするかということにまさに狂奔して今日に至りました。
 その窮状を訴えるためには、やはり中央に訴えるしか手だてがなかったわけであります。県当局、県議会にも陳情はいたしましたけれども、やはり中央、農林省、農林大臣に訴えるという従来の手法を私どももとりました。国の出先機関がもっと積極的に地方の住民に接して救済措置をするという、基本的なものすら一切権限が与えられていない現段階においては、やむを得なかった措置ではあろうと思いますけれども、一地方の行政及び議会の代表などがすべて中央に陳情しなければならないということは、やはりおかしい、悲しい現実であろうかと思います。
 この意味から、政治改革はやはり、イコール地方分権の確立が伴わなければ効果はないと思います。補助金、許認可権限が地方を統制する最大の武器であると言われておりますが、これまでの考え方を改めることと並行して政治改革は進めるべきであります。
 このように考えるとき、今までの中選挙区制度がこのような中央依存型の体質をつくってきたということであります。現職の国会議員にとって、補助金は本人と選挙区をつなぐ重要なパイプであり、利益誘導型の政治は、地元サービスに明け暮れ、同一区内に同じ政党同士、現役が二ないし三、あるいはそれ以上共存いたしながら、個々のスタイルでサービスに勝った者だけが次の選挙で生き残ってきた、こういうシステムです。
 そこには国の政策を離れた個利個略だけが生まれ、このサービス合戦を支えるための資金力が物を言う、一党支配の堕落が今日の政治腐敗を生んだものと思います。幾たびか警鐘を乱打されながらも、ついにその深淵から立ち上がることができなかった。その政治スキャンダルが、ついに金丸さんの金の延べ棒というふうな蓄財にまで及んでは、何をか言わんやであります。
 かく言う私は、自民党立党以来、先ほど申し上げました二万一千の田舎町にありまして、情熱をかけまして、大げさに言うなら私の生涯をかけまして、自民党支部を結党すると同時に、当初から私は田舎町の幹事長を務めて、三十八年に及んだ経験からこれを主張しているわけであります。
 政治改革が叫ばれ、これしかないというような考え方から、選挙制度の改革に着手してから五年、海部、宮澤の二つの内閣がつぶれました。百十数時間を超える審議を重ねてきたこの法案は、できるだけ速やかにこれを成立させなかったならば、国民の失望は目に余るばかりでなく、全くの救いがたい状態になると思われます。国民のこのいらいらと不安を一掃して、次の不況対策あるいは規制緩和、地方分権の確立のためにも、一日も早く、どんな形でも私は最終的にはいいと思います、各党歩み寄りまして、成立を急いでもらいたいと思います。
 次に、定数の問題でありますが、二百五十名対二百五十名というのは私は妥当と思います。人物ですか、人と政党をほどよいバランスで選べるために同数がよいと思っております。歩み寄りとは申せ、足して二で割る方式はいかにも古い時代の政治感覚のような気がしてなりません。
 そして、比例選はやはり全国規模がいいというのは、これは地方の実情によっては、本音を申し上げますけれども、今までのしがらみからなかなか、特に有力な県会議員等を抱えておる、これはどこも全国的にそうだと思いますけれども、今までの十年、二十年あるいはそれ以上続いてまいりました人情というものから脱却し得ないというふうなところが、もう一、二回ぐらいやればあるいは世の中がだんだん変わってくるかもしれませんけれども、今すぐそういうわけにはまいりませんので、都道府県単位というのは何となく今までの考え方、自民党がかつて一党支配をしておったときの考え方がそのまま、党利党略みたいな感じが私いたしますので、やはりこれは全国的な規模で比例選は行われるべきだ。
 ただし、それでは参議院と同じじゃないかという批判もありますけれども、私は、まず衆議院のこの選挙制度改革を通す、その後で参議院を考えていいんじゃないか。というのは、参議院不要論さえも、これは去年、ことしから始まったものではありません。大分前からそういうふうな問題等も含めまして、参議院改革に関してはもう一つ別の角度から、それこそ国民不在でない、時間をもう一度別にかけてやってもらってもいいのじゃないかと思います。
 次に、政党助成について申し上げますが、岩國哲人出雲市長が申しましたように、コーヒー一杯の値段ならいいのじゃないかという、三百五十円ですか、三百三十円ですか。ただし、コーヒー一杯三百五十円が高いというなら、二百五十円という自民党案もあるようですが、この点は、私は専門家でもありませんし、田舎者で、酒は飲みますけれどもコーヒーは余り飲む方じゃないから、二百五十円のコーヒーが高いか三百五十円は過ぎるのか、そこら辺はわかりませんので、それは学識経験者等にお任せしますけれども、政党の公費助成は全く賛成であります。
 反対論の中には、今生まれたばかりの赤ん坊までが負担しなければならないというふうな意味で、おかしいんじゃないかというふうな反対があります。これは一つの基準なわけでありまして、そういうまさに重箱の隅をほじくるといいますか、このような議論は単なる理屈にすぎないのじゃないかと思います。ちなみに、こういうことを改革というのだと思います。
 そのかわり、企業・団体献金は、政党助成がきっちりでき上がった場合には私はやめるべきだと思います。その方が腐敗の温床を断ち切る一番の近道、一番国民にわかりやすい姿ではなかろうか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
 また、地方議員の場合、政党助成の問題で、市会議員の方もあるいは必要かもしれませんが、県議会のあたりまではひとつ考えてもらいたいし、そうなるのではなかろうかと思いますけれども、私ども町村議員なんというのは、正直申しまして、特別な方もたまにはおりますけれども、全部仕事を持っております。そして、歳費ももらっておりますし、一応地方議員にまで公平にというふうなことは考えなくてもいいが、ただ、その考えは十人十色でありますので、我々地方議員をどうするのだという、それならば選挙公営、こういうのもいいでしょうし、別の方法を考えてもいいのではないかと思います。
 ちなみに、秋田県の千八十五名の町村会議員の段階で、今社会党公認が二十一名です。公明党二十一、共産党五十四名、無所属九百九十一名であります。私は今四期目でありますけれども、一期目のときから、お隣の楢岡幹事長御承知のように、自民党の公認候補として町議会に立候補してきたただ一人の人間であります。
 それほど地方の議員というのは、何となく政党というものを敬遠するというか、政党色がないというふうなことを言いますが、私自身はそうは思っておりません。思想信条というものをきちっとした場合には、地方末端の議員といえどもやはり政党に所属していいと思います。社会党、共産党の議員を見ればわかるとおりでありますが、どうしても保守系無所属というふうなのが圧倒的に多いというのはいかがなものかと思います。
 特に、首長選等におきましては、知事選挙の場合なども、一党一派に偏せず私は云々というふうなことを言っておりますが、しからば一党一派、政党に所属しておるということは悪であろうか、ここら辺もこれからの新しい二十一世紀の政治を考えるときに、我々自身も反省しなければならないし、地方議員等から見て、中央、国会議員だけが公費助成は不公平じゃないかなどというのは理屈のための理屈であって、私はこれはきれいにするためにもやってもらいたいなと思いますと同時に、地方議会も系列化されてもいいんじゃないか。まさに私は、その人の政治信条に帰属するものであると思います。
 次に、戸別訪問でありますが、全く私は解禁した方がいいと思います。憲法で保障する表現の自由という立場からも、積極的に支持したいと思います。候補者本人の政党及び政策、また本人自身をアピールするためにも、戸別訪問というのは大変大事だと思います。戸別訪問は、時間制限なども設ける必要はなく、ぜひ自由にしてもらいたいと思います。
 ただし、夜中あるいは嫌なうちを訪ねるか訪ねないかは、その候補者あるいは運動員の良識なわけです。嫌われるために訪問するばかはいないはずです。何でも規制するというふうな、今規制緩和の問題いろいろ経済界で言われておりますが、私はしない方がいいと思う。そして、自由なる良識といいますか、それにゆだねて、私は、戸別訪問全面解禁を叫ぶのが、選挙そのものを、今までは選挙というと何か悪いことをするというふうなイメージ、こういうものを払拭し、公明正大に、肌で感ずる本当の政治を行うためにも私は必要だろうかと思います。
 最後に、区割りの問題ですが、国民の目から見ておかしくない有権者の数といいますか、これをきちんとやってもらいたいと思います。
 例えば秋田県の場合でありますけれども、今一区、二区、これが三区に分かれるというふうに新聞報道等でなされておりますが、その場合、一区が約三十九万、二区が秋田、河辺を含めて三十一万、その差八、九万あります。それから、現在の第二区が三区になりまして、これは四十九万になります。ちょっとおかしいんじゃないかと思います。一区が三十九万、二区が三十一万、そして第三区が四十九万。これは、第三区の方から有力な市郡というものを一区にくっつけるというふうな極めてわかりやすい区割りを示してもらいたい。これが、これからのわかりやすい政治の要諦ではなかろうかと私は思います。
 以上、要するに時代の要求に応じた改革を速やかに、かつ個利個略でない、これは今までなじんだ選挙区を離れる方もおるかもしれませんが、やはり変革というものはそういうものであるということに徹しまして、各党妥協もやむを得ないと思いますけれども、歩み寄って速やかに成立し、国民を失望させないようにしていただきたい、このことを強く主張いたします。
 終わります。

発言情報

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発言者: 阿部孝一

speaker_id: 18734

日付: 1993-11-12

院: 衆議院

会議名: 政治改革に関する調査特別委員会