照井清司の発言 (政治改革に関する調査特別委員会)

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○照井清司君 それでは、意見を述べさせていただきます。
 私は、先ほど御紹介にもありましたとおり、現在、秋田市で主に秋田市の都市問題についての勉強をしております。したがいまして、これまで意見を述べられたいわば政治のベテランの方々とは少し違う立場から、今回の一連の政治改革関連法案について意見を述べさせていただきます。
 まず、私は、これまで積もりに積もった国民の政治に対する不信感をぬぐい去ることが現下の政治課題であるというふうに思います。きょう、秋田にわざわざお見えになられた議員の方々も、もちろん当然の思いだと思います。したがいまして、今回の政治改革法案を一日も早く成立させることがぜひとも必要であります。このためには、与野党が最大限の歩み寄りをして、極端に言えば、試行錯誤の形ででも新しい制度をスタートさせることが肝要だというふうに思います。
 国民が願っているのは、政治改革だけではないわけです。日本の社会を生活者重視の社会に変えるためには、行政改革も必要ですし、先ほど来お話がありますように、地方制度の改革、地方分権を進めることも必要なわけであります。ただ、行政改革、また地方制度改革というのは、国民が直接に関与できるわけではありません。審議会とか国会の場とか、あるいはいろんな場がありますけれども、多くの国民は直接に関与ができないわけであります。
 そういう意味では、国民から直接に選ばれた国会議員の方々が政治改革を速やかに進めていただく、それが国民の政治に対する信頼回復の最大のチャンスではないかというふうに思うわけです。この機会を逃さずに、一刻も早く国民の期待にこたえていただくことを強く要望いたしたいと思います。
 なぜ一刻も早くでなければならないのかと申しますと、今、佐藤正春先生の方からもお話がございましたように、現在の景気の状態というのは非常に深刻でございます。その景気の深刻さをぬぐう、払うという意味からも、政治改革を進めることが有効だと思うわけであります。
 政治改革というのはもちろん経済政策の手段ではないわけですが、バブル経済崩壊後の景気後退がこれほど長引いているというのは、円高でありますとか、あるいは民需の減退というような経済的要因が主なんですけれども、国民の多くが現在感じているのは、バブルの時代の経験からいえば、急激な経済成長というものを、むしろ倫理的に考えて、今余り好ましくないという感じになっているのではないかと私は思うわけです。
 過去を振り返ってみますと、戦争直後を除けば、日本経済にとって戦後最大の不況と言われたのは昭和四十八年秋の石油ショックでございます。石油ショックのときには全治三年というふうに言われました。そのとおり、国民の省エネルギー努力ですとか企業の必死の対応で、全治三年という形で克服されたわけです。
 しかし、今回の景気後退、まあ不況と言っていいと思いますが、これは企業の方はともかく、国民は割とさめたムードでその回復を見ているというふうに私は思うわけです。そういう雰囲気の中では、経済的な政策手段または財政的な政策手段だけではなかなか景気は回復しないのではないかというふうに思うわけです。今回の政治改革法案が成立いたしますと、国民は経済的にも長いトンネルを抜けたような気分、心理、マインドというものになるのではないかというふうに私は感じるわけです。
 それでは、幾つかの論点について、今まで皆様方からございましたけれども、私の意見を申し上げたいと思います。
 第一番目は、並立制と二票制についてであります。
 民意の集約と反映ということが非常に今回議論になっておるわけですけれども、そのいずれに重点を置くべきかというのは、新しい制度であるだけになかなか決着がつかない問題だというふうに思うわけです。としますと、ここはバランスのよい小選挙区、比例代表各二百五十の政府案にするのが妥当であると思います。また、二票制にするか一票制にするかは、小政党への配慮をして、民意を反映しようとする二票制にすべきであるというふうに思います。
 第二点目は、企業・団体献金についてであります。
 先ほど早川先生からもお話がございましたように、政治家に対して企業が献金をする場合、すぐにはともかく、いつかは何らかの見返りを期待しないはずはないと思うのが庶民感情であります。企業の中には、業界団体に属しているというような事情で、仕方なくやっているケースもあるだろうというふうに思うわけです。こういう状態を打破して改革するためには、やはり政治家個人への企業献金というのは全面的に禁止をするという案の方が、国民へのわかりやすさという点ですぐれているというふうに思います。
 そのかわり、個人からの献金はもっともっと奨励されてしかるべきであります。もちろん、個人の方でもその政治家に対して何らかの対価を期待する人はいるでしょうけれども、多くの場合には、その政治家の主義、主張に賛同するとか、あるいは自分の意見を代弁してくれるからというような比較的、単純というのは失礼ですけれども、そう経済的な理由からでなく献金をする場合が多いように思うわけです。
 第三点は、政党への公費助成についてであります。
 この問題は、今申し上げた政治家個人への企業・団体献金の禁止というものと裏腹の関係にあると私は思います。政治活動の経費負担に公的な助成を導入して、その使途を国民に公開するということで、政治と政治資金との関係を透明なものに変えることは、ヨーロッパの多くの国々やカナダでも採用されている制度であります。いわば民主主義のコストとして、多くの国民がその負担に納得しているのだろうというふうに思うわけです。
 ただ、公費助成を導入する以上は、国会議員の定数是正にもっと努力をしなければ、その後の行政改革というものもなかなか進まないように思いますので、その点は留意していただきたいというふうに思います。
 第四は、戸別訪問についてであります。
 これについては、ややとっぴな意見でありますけれども、私は、小選挙区制が定着しますと、議員の方々の住宅選択というものが変わってくるのではないかと思います。東京の豪邸か高級マンションに住んでいる人というのが国会議員に対する庶民のイメージであるわけですけれども、小選挙区制になれば地域主義、住民主義というものがもう少し重視されると思うわけです。
 そうしますと、その地区内の住宅に少なくとも土、日は定住するという形になってくるのではないだろうか。とすれば、やはり隣近所との関係というものは非常に重要になってきますし、隣近所が重要になれば戸別に訪問する、伺うということが常識的なわけです。したがって、戸別訪問には先ほど来幾つかの問題点はあると思いますけれども、私は解禁すべきものというふうに考えます。
 第五は、比例代表の選出単位についてであります。
 この点については私は、政府案よりは自民党案の方がすぐれているというふうに感じております。なぜならば、比例代表が全国一本から選ばれるということになりますと、地方に住んでいる人間にとってはほとんどなじみのない方々が選ばれてしまうような気がいたします。もちろん、地方に住んでいても知っている人はいるわけですけれども、どうも大方はそうではないかというふうに思います。この点は、都道府県選出でありますとその心配はほとんどないわけです。
 やはり地方に住む人間にとっては、東京あるいは中央に知り合いがいてくれるというだけで信頼感、親しみ、そういうものがわいてきますから、そうでないときはその近寄りがたさというのを非常に感ずるわけでありまして、この点についてはぜひ御理解をいただきたいというふうに思うわけです。
 そうしますと、都道府県単位の比例代表制であれば、地方に住む人間の民意の反映というものがスムーズに行われるというふうに思います。また、小選挙区制による一党独裁の弊害を防ぐという意味でも、やはり都道府県単位で比例代表制をやっていただいた方がよろしいのではないかというふうに感ずるわけであります。
 最後になりますけれども、冒頭に申し上げましたように、国民の願っているのは政治改革だけではないわけです。行政改革も、地方の制度改革も必要なものであるわけです。特に、私ども地方に住む人間にとりましては、国が自己の果たす役割と任務を限定していただいて、各地域で展開される社会資本の整備でありますとか教育、福祉などの生活諸施策を、地方自治体の手で、権限も資金もその地方自治体の手にゆだねていただくという、地方分権の考え方に大きな期待を抱いておるわけです。
 今仮称で出てきておりますけれども、こういう地方分権基本法の制定に向けて本格的な議論を開始させるためにも、ぜひ一刻も早く、その前段であるこの政治改革法案を成立させていただくことを再度お願いいたしまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 照井清司

speaker_id: 9419

日付: 1993-11-12

院: 衆議院

会議名: 政治改革に関する調査特別委員会