荒井聰の発言 (公職選挙法の一部を改正する法律案外三件両院協議会)
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○荒井聰君 議長の御指名、ありがとうございます。
私は、昨年の七月十八日、政治改革を公約として選挙に初当選した者でございます。皆様方のように政治経歴が長いあるいは大変な人生経験を積んでいるという方々とは異なりまして、むしろ市民感覚に近い感覚を一番持っている者として、また私の前歴では地方自治に携わっていましたものですから、その立場から意見を述べさせていただきます。
ただいま石井先生からるる御説明がございましたけれども、これだけの歳月をかけて与野党が既に小選挙区並立制という基本的な点について合意しているはずの政治改革法案が実現できないということになりますれば、日本の政党政治、議会政治に対する国民の不信は決定的なものとなりましょう。先ほどの石井先生のNNNの電話調査によって、十二万人のうちの約八〇%の人が、今の政治家には政治改革はできない、そう言っております。
我が国は、国内だけではなくて、国際社会の信頼をも失うことになるのではないでしょうか。これはニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなどの社説の中にそのような内容が出ております。もはや政治改革の実現なしには景気対策も成功せず、政治改革なしにはこれ以上の行財政改革も経済社会の改革・開放も不可能な限界点に達している、私はそう思っております。
今、世界は冷戦の終えんによって新たな時代に入り、世界の国々と人々は新たな海図なき航海に船出いたしております。日本ももちろんその例外ではありません。政治も経済も行政も新たな日本に生まれ変わらなければならないという国民の皆様方の期待を担って、私たちは一番基本的なフレームである政治改革に取り組んできたのではないでしょうか。
申すまでもなく、この改革への努力は、単に選挙の仕組みや政治資金の問題だけではありません。ましてや、政党、派閥間の駆け引きや権力闘争などという次元の問題では決してありません。今問われているのは、日本の政治のあり方そのものであり、国際社会の中で我々が自己改革をなし得る国民として、成熟した民主主義国家をつくり出せるのかどうかということが今まさに問われているのだと私は思っております。
国民も、また世界の人々も、我々がこの改革をなし遂げ、自由で公正で透明な責任ある民主政治を実現することができるかどうかに強く注目しているのだと思います。五年間もの間繰り返し論じてきたこの問題を、今わずかな見解の相違でその全体を葬り去ってしまうのならば、我々はこの改革をなし遂げる機会を恐らく二度と持つことはできないだろうと思っております。
残された時間はわずか五十時間余りの中ではございますが、日本が民主的に成熟した国であり、賢明な判断力を持つ国民であることを世界に示さなければならないときは今まさにこのときだという気持ちでいっぱいでございます。
私は、今このような時期に当たりまして、聖書の中に出てくるバビロンの塔の逸話を思い出します。バビロニアという都にバビロニアの王が、自分が山国から出てきたために、山のような高い大きな塔をつくろうとした。着々とでき上がったが、しかし最後の段階になって、下で働いている人の言葉と上で石を積み上げている人の言葉とが違ってきて、理解ができなくなって、その塔をつくることはできなかったというバビロニアの塔の逸話であります。
私たちは今、日本の政治という大きな大きな高い塔をつくろうとしているのでしょう。そして国民は、七割の人が政治改革をなし遂げるべきだ、そう答えております。この人たちの声を私たちの声として、私たちがそれをなし遂げなければ、今まさに政治改革は、そして日本の政治は、バビロニアの塔に化してしまうのだと思います。ぜひ参議院の皆様のお力によってこの協議会で成案が得られるよう、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。