橋本敦の発言 (公職選挙法の一部を改正する法律案外三件両院協議会)

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○橋本敦君 私は、日本共産党の立場から、ただいま市川議長から御提案いただきました協議案に対しまして、順次意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず第一点は、この協議案は、参議院で否決された重みを深く受けとめるどころか、全面的にこれを無視する結果となり、しかも手続的には、選挙区画定審議会法案は別として、一事不再議の原則に明白に反するものだと考えております。
 衆議院において可決された法案、参議院において審議の結果否決をいたしました法案、附則の部分、なるほど変わっていると言えばその部分だけが変わっているかもしれませんが、法案としては審議された姿そのままが重ねて協議案の内容として出てくるわけでありますが、これを両院協議会の成案としても、まさに一事不再議の原則に反する結果を明白に引き起こしている問題だと思うからであります。したがって、その点で協議案としては、これは法的に正当なものとして成り立ち得ないのではないかという重大な疑問を持っております。
 第二の点は、小選挙区並立制法案等この四法案の参議院で否決した趣旨、それは直ちに憲法上の原則に従って廃案とするのが当然だということを申し上げましたが、今度は協議案という形でその内容が一層改悪されることを保証するものになっている点であります。
 私どもは、小選挙区並立制法案等、政党助成法も含めまして、既に憲法の原則に反し、民主主義の根本理念に背理するものであることを従来から述べてまいりましたが、今回、この協議案の内容としてではありませんが、背景的事情として市川議長から御説明があった合意の内容を見ましても、小選挙区部分が三百に拡大される、比例部分は十一ブロックになった上、それぞれの集計が全国単位でなくなる、また、企業・団体献金が五年とはいえ基本的に容認されるという方向に、一層憲法と民主主義の根本理念に反する方向に行っている内容であります。
 さきのこの協議会でも、自民党から提案された案に対して、それは民意をゆがめるとかあるいは小政党排除が一層進むとか、また金権腐敗政治一掃のための企業・団体献金の禁止はせめて地方議員にまでと言ったが、自民党案には歩み寄れないなどと与党の各党の皆さんから一様に反対の意見が表明されたのであります。今回は、協議案の背景となった合意は、それ以上にまさに民意のゆがみ、その他憲法原理に反する方向が強くなるわけでありますが、与党の各党の皆さんの態度がこのように一夜にしてなぜ変わったのであろうか、選挙制度あるいは法案の重要な中身について、それは哲学も理念もない政治的談合と言われかねないものではないのか、そういう疑念をぬぐい切れないのであります。
 第三は、手続上も、また議会制民主主義の立場から見ても、この協議案に賛成することができないという問題であります。
 まず第一は、両院協議会という正式の院の協議機関の成案をつくる協議、それ自体が一たん成案を得る見込みがないとして議長から宣言されたわけでありますが、その後、この協議機関で成案が特別に新たな事情で審議をされ、協議をされたという経過を一切抜きにして、総理と自民党との間のいわゆる政党間交渉と協議、私どもからいえば、まさに正規の機関外の政治的なそういった合意によって、それがこの協議会の成案の中身として持ち込まれてくるという事態は、私は、これは議会制民主主義の立場、また両院協議機関の権威の点からいっても、重大な越権とじゅうりんではないかということを強く指摘したいのであります。その点については、私は議長の責任も軽からざるものがあると考えております。
 本来、両院協議会の任務と目的、それは、前回も申し上げましたが、憲法上もそれなりに限定された例外的規定としての機能を持っている範囲で認められるべきだと思うのでありますが、その点から見ても今度の協議案の内容は、否決とそれからもともとの政府案との間の関係における調整ということをはるかに超えて、もともとの否決された政府案、衆議院が可決された政府案以上のものを協議案として持ち込むわけでありますから、両院協議会の規定とその目的、範囲をはるかに超えることを政治的にやろうとしていると言わざるを得ないのであります。
 その点では、私は、まさに協議会の権威もあるいは院の権威も政治的に踏みにじられたという点で極めて心外だと言わざるを得ないのであります。逆に言えば、政治的に合意を得たその内容を、成案を得るものとして協議会を利用した、その手続それ自体が政治的に利用された、乱用と言うほかはないということであります。
 しかも、先ほど市川議長から御説明がありましたように、その合意なるものを今度はさらに予算審議前に次の国会で可決をさせるという、そういう状況でありますから、まさに国会外の党間の合意で出口まで決めて、そしてそれを国会に出すということはまことにこれは国会軽視、審議権の無視と言わざるを得ないのであります。憲法や国民の参政権にかかわる重要法案がこのような扱いとされてよいのであろうか。国会は何のために、だれのために審議を尽くすものとして存在するのかといった点から、重大な疑問を呈さざるを得ないのであります。
 結論として、この小選挙区並立制法案を含む政府案は、細川首相も審議の中で述べられたように、まさに政治のダイナミック、あるいは国民の反対を抑えても進めたい政策の実現のための強力な政治を目指すという、そういう方向に向けて、手続においても民主主義に反する手法で進めていくという、そのことをあらわに今回の場合もあらわしたと言わざるを得ません。その点で私は、内容的にも手続的にも重大な疑問があり、賛成できないことを強く申し添えたいと思うわけであります。
 以上です。

発言情報

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発言者: 橋本敦

speaker_id: 7421

日付: 1994-01-29

院: 両院

会議名: 公職選挙法の一部を改正する法律案外三件両院協議会