浜本万三の発言 (本会議)
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○浜本万三君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表し、羽田総理並びに関係閣僚に対し、新内閣の基本姿勢及び政策に関し質問をいたします。
質問に先立って、去る四月二十七日に起きた名古屋空港での中華航空機事故の犠牲となられた方々の御冥福をお祈りするとともに、その御遺族に対し心からお悔やみを申し上げます。また、けがをされて入院中の方々の御快癒を祈念するとともに、事故の原因究明並びに再発防止について政府として万全を期するよう強く要望をいたします。
最初に、羽田内閣の政治姿勢について伺いたいと存じます。
前細川連立政権は、国民が、従来の金にまみれた権力政治、数の論理に基づく政治ではなく、道義に基づく高い倫理性と筋の通ったわかりやすい妥協、この二つに裏打ちされた政治権力の確立を求めたがゆえに成立したものと言えましょう。
これにこたえるべく我が日本社会党は、与党第一党としての責任を自覚し、政治改革に真剣に取り組むとともに、戦争責任の表明、所得減税、地方分権の推進、規制緩和による経済改革、汚職防止のための入札制度改善、さらには平成六年度予算における防衛費抑制、生活者重視といりた諸施策に取り組んでまいったのであります。
これらの新しくかつ重要な成果を上げるために、少なくとも我が党は、数の論理や金の論理でなく、大胆な妥協と信頼関係に基づく政策の一致を重視してきました。昨年七月の八党派合意、去る四月の確認事項についての合意と、それに続く総理大臣指名選挙における羽田氏支持もそのあらわれでありました。
ところが、数の論理優先の発想に立つ人たちが我が党抜きの新会派結成の策謀をめぐらしていることが明らかになったため、我が党は連立の基本である信義が失われたものと判断いたしまして、連立を離脱することに至ったのであります。
連立政権に寄せられた国民の期待を裏切り、かかる信義則に反する事態を総理はどう受けとめておられるのか、この真意をお聞かせいただきたいと存じます。
羽田総理は所信表明演説で、細川連立内閣の「改革」の旗を受け継ぎ、かつ同政権発足時の志を忘れないと述べられております。そうであるなら、昨年の八党派による合意と覚書の内容と精神を継承するものと理解いたしますが、それでよろしいでしょうか。
また、確認事項についてでありますが、我が党は連立を離れ、これに拘束されない立場にあるとはいえ、一たん調印したものである以上、国民への公約として政治的、道義的責任を免れるものではありません。その意味で、新政権による実施姿勢を厳しく監視していく所存であります。羽田総理は、これを誠実に実行する御意思をお持ちなのか、その決意のほどを伺っておきたいところでございます。
ところで、羽田総理が任命された永野前法務大臣の南京大虐殺でっち上げ、侵略戦争否定の発言、柿澤外務大臣や神田防衛庁長官、熊谷官房長官など主要閣僚による集団的自衛権の憲法解釈の見直し、有事立法制定の積極的発言などは、連立政権発足時の志を踏みにじる許しがたいものであります。しかも、これらの発言はたまたま偶然に特定の閣僚が不規則に行ったといったたぐいのものと見過ごすことはできません。強権的政治手法を背景とした羽田新内閣の性格がはしなくもあらわれたものと私は強い危惧を覚えるものでございます。
実は、羽田政権は社会党が連立政権から離脱したため、細川政権とは全く質の違うものになっていると言わざるを得ません。総理の御見解を承っておきたいと思います。
次に、外交問題について伺います。
永野発言はアジアの人々の感情を逆なでにし、歴史的な事実を否定するものであり、我が国の国益を著しく損なったのであります。このような考え方の持ち主を安易に重要閣僚に任命した総理みずからの責任はどのように考えられておりましょうか。憲法第六十六条第二項に規定する閣僚の文民起用に照らしても、問題なしとしないのであります。総理の責任ある説明を承っておきたいと思います。
今回の永野発言は、細川前総理がその正しい歴史認識に基づいて、さきの戦争は侵略戦争であったと明確に認めたことによってようやく芽生えつつあったアジア諸国の我が国に対する信頼を一気に突きます結果となりました。この信頼を回復することは並み大抵のことではありません。それだけに羽田総理の責任は重大であります。今後どう信頼回復に努めていかれるのか、お伺いをいたしたいと思います。
我が党は、戦後補償対策特別委員会をつくってその問題に取り組んでまいりました。また今後、国会におきましても調査特別委員会を設置いたしましていろいろと取り組んでまいりたいと思いますが、日本政府といたしましても、南京事件などの真相を中国側の協力を得て調査するぐらいの対応が必要ではありませんか。総理の考え方を伺っておきたいと思います。
そこで、私は羽田総理に提案したいと思います。
羽田総理、あなたが今国会で答弁されているように、羽田政権がさきの連立政権の平和・軍縮路線を踏襲するものであれば、来年の戦後五十年という節目の年を前にして、戦争責任を反省し不戦の誓いを内外に明示するため、国会決議を行うとともに、内閣に戦後五十年問題調査会を設置されまして調査することを真剣に考えるべきではないでしょうか。御答弁願いたいと思います。
あわせて、被爆五十周年を考慮し、被爆後、病気、生活、孤独の三重苦で苦しんでいる被爆者のために、ぜひとも懸案事項となっております国家補償に基づく原爆被爆者援護法を制定していただきたいと被爆地の声を代表して訴えておきたいと思います。羽田総理の誠意ある御答弁をいただきたいと思います。
朝鮮民主主義人民共和国の核開発疑惑に関連して、集団的自衛権や国民に犠牲を強いるおそれが大きい有事立法についての閣僚の突出発言も国民にまた大きな不安を与えておるのであります。核疑惑の徹底解明、核開発の阻止は当然であります。しかし、これを好機とぽかりに危険きわまりない戦争のふちに国民を導くようなことは、決して許されてはなりません。
羽田総理、集団的自衛権についての憲法解釈は絶対に変更しない、有事立法は考えない。このことを国民にはっきり約束していただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
また、国際貢献に名をかりて、国連が行う集団安全保障の一環としてであれば共和国に対する制裁行動に自衛隊が参加することも可能であるかのごとき議論が羽田政権になってまことしやかに語られていることはゆゆしい状況であります。PKO協力法制定の際、武器使用に制限を設けたように、平和憲法が我が国を防衛するための必要最小限度の範囲にとどまる自衛権行使以外のいかなる場合にも武力の行使を禁止していることに一点の疑いもないのであります。
かかる平和憲法に沿った我が国の独自性を誇りとし、たとえ国連の方針が決定された場合であっても、そうした制約のもとでの協力であるということをはっきり約束していただきたいと思うわけであります。ましてや、あってはならないことでありますが、国連の枠外での米国の軍事活動に我が国は協力できない、してはならないことは明瞭であります。総理の確たる答弁を求めたいと思います。
総理は、ヨーロッパ諸国歴訪の際、ドイツ、フランスで我が国の常任理事国入りに強い意欲を示されました。総理のこの行動は、さきに指摘したこれまでの憲法解釈を変更しようとした一連の大臣の発言と同様のものではな、かと私は疑いを持っておりましたが、先日の総理の答弁は必ずしもそうでないということでございましたので、しからば伺いますが、なぜ常任理事国に入らなければならないのか、入って何をしようとされるのか、全く不明であります。しかも、この問題についてはいまだ本格的な論議が尽くされておるとは言えません。今最も必要なことは国民的な議論を喚起することであると思いますが、総理の御認識を伺っておきたいと思います。
物別れ状態になっておる日米包括経済協議については、羽田政権になって以来早期再開への期待が高まっておりますが、市場開放や黒字削減を求める米国の対日姿勢にはなお厳しいものがあります。我が国の国益を損なうことなく、と同時に円満な問題処理のために羽田総理には官僚主導を排した強力なリーダーシップの発揮が求められていると思います。今後この問題をどのように進めていかれるのか、対策と展望についてお伺いをいたします。
次に、経済、景気対策問題について伺います。
バブルに踊った景気が平成三年四月を境に、一転してかつて経験したことのない厳しい不況に突入してからこの五月で丸三年と一カ月が経過しようとしております。ようやく一部に明るい動きが伝えられるようになっておりまするが、政府として今日の景気の現状をどう認識し判断されているのか。また、円高が景気にどのような影響を及ぼすと判断されているのか、あわせて御答弁願いたいと存じます。
また、政府は、今年度に公共料金の一斉値上げが予定されていることに対して、その引き上げ幅の圧縮や実施時期の延期について検討したと伝えられていますが、その検討結果は一体どうなったのでありましょうか。値上げ幅を圧縮した公共料金は何と何で、実施時期を延期したものはどんなものがあるのでありましょうか。国民の前に明確にしていただきたいと存じます。
国民の間では、せっかく五兆四千億円もの減税を行っても、保険料や診療報酬の引き上げで実にその四割が食われてしまい減税効果が大きく損なわれているとの試算結果も出されていることは総理も御承知のとおりだと思います。公共料金の値上げに対し国民が不満を感じている本当の理由を総理は御存じでしょうか。減税分が食われてしまうこともさることながら、国民が不況の中で必死になって厳しいリストラに耐えているのに、政府を初め公共機関が赤字になれば経営の努力よりも値上げに走ろうとするその安易な姿勢にあることを知るべきであります。
今年度に予定されておる公共料金の一斉値上げに羽田内閣はどう対処していかれるのか、国民にわかるような具体的なお答えをいただきたいと存じます。
細川前政権は、厳しい雇用問題について、政府助成等を柱にした雇用支援トータルプログラムを策定し百万人雇用創出計画を打ち出しましたが、羽田新内閣がこのプログラムを継承することは当然として、これをさらに充実強化するために具体的にどのような取り組みをするのか、国民の不安が一掃されるような明快な総理の御答弁を求めたいと思います。
次に、税制改革問題について伺います。
もとより、租税制度は国民の理解と協力なくしては成り立ち得ません。この見地に立つなら、国民の声を十分聞き民主的プロセスのもとで議論を深めることが不可欠であります。
羽田内閣の発足当時の確認事項には、税制改革は「国民の理解を得つつ」行うとありますが、このような文脈の上でとらえるべきものと考えます。羽田総理の御見解を伺っておきたいと思います。
また、国民の合意、理解を得るためにどのような措置を講じるお考えなのか、国民の理解を得られたとする基準に何を据えられようとしておるのか、明確なお答えをあわせてお願いいたしたいと思います。
改めて触れるまでもなく、今日の我が国の抱える最大の課題の一つは、高齢化社会に対応するシステムをいかに築いていくかであり、税制はその主柱に位置づけられるべきものであります。連立政権から離脱したとはいえ、確認事項は社会党の国民に対する公約という性格もあわせ持つものであり、国民生活擁護の立場からその責任を果たす決意にいささかも変わりないことを改めて明らかにしておきたいと思います。
ただし、消費課税の問題に着手するためには乗り越えるべき課題が多いことも事実であります。福祉ビジョンの内容は言うに及ばず、まず政府みずからが襟を正す意味での歳出削減の努力が要請されます。行財政改革は総理の強力な指導力なしには大きな成果は期待できません。歳出構造のリストラに向けた総理の決意をお聞かせください。
税をめぐる不公平是正の柱は、金持ち優遇になっておる現行の分離課税を廃止し、所得課税の総合課税化を急ぐことでなければなりません。総合課税化のための手段、そのために要する期間をどのように考えておられるのか。また、益税や逆進性の問題を抱える現行消費税の改革について、藤井大蔵大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
また、地方税源の充実強化はまさに今日的課題となっております。地方分権の趣旨にかなう地方税源のあり方に関し、石井自治大臣の率直な御意見をお伺いいたしたいと思います。
次に、ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意に関する国内対策及び農業農村の再生のための抜本的対策についてお尋ねをいたします。
政府は、昨年、自由貿易体制の維持強化という幅広い国民的利益を考慮し、米のミニマムアクセスと米以外の輸入制限品目の関税化の受け入れを決断いたしました。その際、当時の細川首相は、農業維新を実現できるよう全力で国内対策に取り組むことを表明され、ガット農業合意の実施に伴う農業施策に関する基本方針を決定いたしまして、農業に携わる人々にもたらす影響を最小限に食いとめるため、総理みずからが本部長になられ緊急農業農村対策本部を設置されたのであります。
羽田総理は、当時外務大臣としてウルグアイ・ラウンド交渉の責任者であり、また農林水産大臣を歴任されております。ウルグアイ・ラウンド合意の批准を本年中に行うことは我が国の当然の責務であるというならば、批准と万全の国内対策は一体である以上、農政をどういう方向で改革されたいのか、総理のお考えをもっと具体的にお聞かせいただきたいと思います。
国内対策は地域の自主性を尊重することを基本に、特に担い手の確保と中山間地域振興に努力を集中すべきであります。所得補償制度など外国での成功例を謙虚に学び、抜本的な政策転換を行うべきであります。また、農業生産基盤整備は緊急を要しますが、あくまで抑制する考え方なのでしょうか。その場合自給率は向上するとお考えでしょうか、御答弁を願いたいと思います。
さらに、今回の米騒動は食糧管理制度に対する不信を増大させ、備蓄の不備を明らかにいたしました。国民の間に米などの基礎的食糧については備蓄を含む自給体制を確立すべきという合意が熟したものと私は思います。総理の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
最後に、政治の基本である政治倫理の確立についてお尋ねいたします。
ゼネコン汚職問題は、宮城県知事、茨城県知事、仙台市長らに続き中村喜四郎自民党代議士が逮捕され、検察庁も刑事事件としての捜査が終結したことを宣言されました。しかし、ゼネコン関連の疑惑事件として報じられている問題はなお数多く、真相はいまだに明らかになっていないのであります。国民の政治に対する信頼を回復するため、これらの疑惑事件について検察などの捜査資料を公開し、国会においてその経緯を明らかにすべきではありませんか。政治改革を金看板に掲げる羽田総理の決断を求めたいと思います。
また、こうした課題は国会みずからの努力にかかっていることは申すまでもありません。設置されていながら一度も開かれたことのない政治倫理審査会の活用を初め、国会の改革を進めていかなければなりません。社会党としても、全力を挙げて取り組んでいくことを国民の前にお誓いいたしたいと思います。
さらに、参議院の選挙制度改革の取り組みも一刻の猶予も許されません。逆転区の解消を柱に各党派の話し合いで成案を得、今国会中に定数是正法の成立を期してまいる所存であります。また、参議院のあるべき姿を実現するため、選挙制度の改革、党議拘束の緩和などの基本問題については真剣に時間をかけて検討していかなければならないものと思います。
政府としても、こうした改革に協力していく御決意があるかどうか、総理のお考えを伺っておきたいと思います。
以上、羽田政権発足に当たり、基本問題を中心に質問をしてまいりました。総理は、所信表明演説において、普通の言葉で政治を語ると言われ、また改革という言葉を三十回以上も使われたと思います。しかし、改革という言葉を唱えるだけで当面の難局を乗り切ることは到底不可能でありましょう。
もし国民の求める政治、経済、行政の三つの改革に背を向け、強権的手法で危険な道に踏み出そうとするときは、我が党は国民の信を問うことを含め、あらゆる手段で羽田内閣に立ち向かうことを表明いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣羽田孜君登壇、拍手〕