羽田孜の発言 (本会議)

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○国務大臣(羽田孜君) まず、お尋ねのございました中華航空の事故につきましては、これは事故の原因の究明を急ぎまして、このような惨事が再び繰り返されることのないよう、御指摘のございましたとおり安全対策に万全を期してまいりたいというふうに考えます。
 社会党抜きの新会派結成の策謀は連立政権に審せる国民の期待を裏切り信義に反するものであるというふうに思うが、所見いかんということであります。
 この点につきましては、私どもまさにあの当日であったということでございまして、まさに策謀というふうなとられ方をされること、これは本当に残念なことでございまして、私どもはこういったことを踏まえながら、やはり理解をいただくためにさらに努力を続けていきたいということをまず申し上げたいと思います。
 また、この三十八年間にわたる自民党の単独政権にかわって誕生した細川連立政権におきまして、社会党とともに我が国の政治、行政、経済、社会の改革に取り組んできたこの八カ月、この経験というものは、我が国の政治の新しい歴史と一つの新しい道筋を開くものとして国民の皆様からも評価されてきたものというふうに私は信じております。お互いに責任ある政権政党として存分に政策論議を尽くしまして、相違を乗り越え、改革の実施に社会党とともに取り組んできたという実績は大変に貴重なものであり、私はこれを常に誇りとしたいということを申し上げてきております。
 その社会党が政権から離脱されました過程につきましては、まことに残念という言葉の以外にございません。新政権は少数与党政権として発足することとなりましたけれども、私といたしましては、今後とも連立の枠組みを大切に維持しつつ、与野党の御意見に一層謙虚に耳を傾け、国民的合意というものを追求しながら政治を進めていく決意でありますことを申し上げたいと存じます。
 また、八党派による合意と覚書、確認事項についてでありますけれども、御指摘のありましたとおり、新内閣は連立政権が掲げました改革の旗をしっかりと受け継いでいく考えでありまして、このため今後とも連立与党問の合意、そして覚書を含めた連立の枠組みを大切にしながら十分尊重していく考えであります。
 また、先ごろの確認事項は、さらに着実に改革を進めていくためには、結果的には閣外に去られたことになりました会派も含めまして合意されたものというふうに理解をいたしておりまして、これを誠実に実行していく考えであります。
 このように、新内閣としては、与党内はもとより閣外に去られた会派とも率直に御相談しながら、その理解と協力を得ていくことといたしておりまして、改革の推進という歴史的使命の遂行に誠心誠意努めていきたいというふうに考えておりますので、今後とも御協力を賜りますようお願い申し上げたいと思います。
 また、前法務大臣の南京虐殺の問題につきまして、こういった発言というものがある中で、強権的な政治手法、あるいは細川政権と全く質の違うものになったのではないかという御指摘であります。
 さきの大戦につきましては、歴史的認識にいたしましても、集団的自衛権の憲法解釈にいたしましても、あるいは北朝鮮の核疑惑の解決についての考え方にいたしましても、私がしばしば答弁を申し上げましたことを御吟味いただければおわかりになることでございますけれども、いわゆる内閣として極めて穏当な姿勢を打ち出しておりまして、細川政権とも基本的に異なることはないということ、そして強権的な政治手法などという御指摘でございましたけれども、私たちはそういった手法というものをとっていくことはございません。
 ただ、よく誤解されるわけでありますけれども、どうしても時間ですとかあるいは期限があるものについて、たくさんの政党がありましたときにどこかでこれをリードしていかなければならないということが強権的というふうにとられることがあると思いますけれども、この点はひとつ御理解をいただきたいというふうにお願いしたいと照うわけであります。
 また、憲法第六十六条二項に照らしていわゆる閣僚の任命についての問題が御指摘されておりさずけれども、憲法六十六条二項は「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」と規定しておりますけれども、ここに言う「文民」とは、旧陸海空軍の職業軍人の経歴を有する者であって、軍国主義的思想に深く染まっていると考えられる者、そして自衛官の職にある者以外の者を言うものと解釈されております。
 前法務大臣につきましても、この文民の解釈に関する従来からの政府統一見解もこれは議論をした上で任命したものでございまして、再三申し上げておりますように、同氏の発言というものはまことに遺憾でありましたけれども、同氏が辞任をされたこと、そしてその後考え方といいますか、発言したことについてこれを撤回されておりますこと、そして私どもと実際に政治活動をしてまいりましたときにも、この戦いというものはよくないということをあの方はずっと主張されておったということ、こういったものを考えましたときに、そして私どもが歴史的な認識につきまして新たに私どもの考えを申し上げたことによりまして大方の私は理解が得られたというふうに考えておりまして、しかし任命権者としての責任というものはあるんだということ、これは私も申し上げたいと存じます。
 また、アジア諸国との信頼関係をどうするのかということでありますけれども、過去の我が国の侵略行為に対します歴史的な認識というものは先般の所信表明演説において申し上げたとおりでございまして、我が国といたしましては、過去の歴史を直視して、いわゆるアジア諸国の声に謙虚に耳を傾けながら、これらの諸国と未来に向けた関係というものを構築して信頼を回復するために引き続き地道な努力を行っていく考えであります。
 これは、私が外務大臣当時もアジアの閣僚の比様方にお集まりいただきながら議論をしてまいりましたけれども、先ごろもアジア全域の各大使の皆様にお集まりをいただきまして、今日までの日本とアジアとの関係、そして将来アジアと日本がどのように協力していくのか、いろんな実は御書見も賜ったところでございまして、そういうことを繰り返す中で、さらに日本の国がアジアで果らしていく役割というものを、未来志向に向けて私どもは今後とも努力をしていきたいというふうに考えております。
 なお、中国側の協力を得て調査するくらいの、これは南京事件に関してでありますけれども、お話がございました。南京事件の真相の調査につきましては、日本軍の南京入城後、非戦闘員の殺害あるいは略奪行為等があったことは私どもも否定できない事実であるというふうに考えております。浜本議員の御指摘のようなお考えも私どもあろうというふうに考えますが、これは必ずしも簡単なことではないというふうにも思っております。
 いずれにいたしましても、政府といたしましては、未来に向けた関係を構築していくためにも禍去の歴史というものは直視していかなければならないという考えに基づき、今後とも誠実に対応していきたいというふうに存じます。
 また、戦後五十周年を前に戦争責任を反省し不戦の誓いを明示するために国会決議ということを御提案がございました。これは私自身、この大戦というものあるいはそれ以前の問題等についての反省あるいはおわびというようなこと、これを含めまして、内閣としてその方向を示すと同時に、国民を代表する国会、これが決議をするというようなことをかねて私は主張してまいったものであります。
 その意味で、今、浜本議員からの御指摘は私にもよく理解できることでありますけれども、今の私の立場で申し上げられることは、国会決議を行うか否かにつきましては専ら国会で御議論をいただくべきものであろうというふうに考えまして、今私からこうあるべきであるということを申し上げることはお許しをいただきたいと存じます。
 なお、五十年という節目を前にして、戦後五十周年問題調査会を設置したらどうだろうというお話でございます。
 これは今御指摘がありましたように、歴史を正しく客観的にとらえるということが大切であろうというふうに考えまして、その意味で私もこれは評価できることであろうというふうに思います。また、こういうものを検討した上で未来志向、未来に向けてどのように進んでいくべきなのか、こういった問題を検討することも大事なことだろうというふうに思っております。
 また、昨今におきます従軍慰安婦問題などの個々の戦後処理の問題をめぐりまして諸外国との間で懸案となっております問題につきましては、それぞれの問題の関係省庁におきましても対応しておるところでございますけれども、ただいまお話しのありましたことも含めまして、それぞれの省庁におきまして今後とも鋭意取り組んでいくことといたしたいと思っております。
 しかし、いずれにしましても、戦後五十年というのは一つの区切りであるということでありまして、これに向けて我々がどういう対応をしていくかということは、今後ともいろんな意味で皆様のまたお知恵をいただきたいということもこの機会に申し上げたいと思います。
 被爆五十周年を考慮いたしまして、国家補償に基づく原爆被爆者援護法を制定すべきではないのかというお話でございます。
 被爆者に対します戦争責任に基づく国家補償を行うことにつきましては、これは、例えば東京の空襲等あるいは一般戦災者との均衡上基本的な問題があろうというふうに認識しておりますが、その取り扱いにつきましては、現在、与党内でもプロジェクトチームをつくりまして検討が進められております。これを見守ってまいりたいというふうに思っておりますし、今後ともこの点につきましても御意見を賜りたいと考えております。
 集団的自衛権についての憲法解釈は変更しないことというお話でありますけれども、この点につきましては、この院でも繰り返し申し上げておるところでございますけれども、国際法上、国家は集団的自衛権、これを有しているものというふうにされております。我が国が国際法上集団的自衛権を有していることは、これは主権国家である以上当然であろうというふうに思います。
 ただ、憲法第九条のもとにおいて許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限の範囲にとどまるべきものであるというふうに今お話がありましたけれども、私どもの方もそのように解釈しており、集団的自衛権を行使することはその範囲を超えるものであって、憲法上許されないと考えております。
 集団的自衛権の問題につきましては、政府は従来から一貫して、これはもう自民党政権のときからでありますけれども、このように解釈しておりまして、今私どももこの解釈というものを変えることがないということだけは申し上げたいと思います。
 北朝鮮への核開発疑惑への対応、そして有事立法ということでありますけれども、北朝鮮の核開発問題に関しましては、これまでももうたびたび申し上げておりますけれども、現在、国連にありましても対話による解決に向け努力がされておるということでございまして、御指摘のような新たな立法措置の問題については、仮定の話でございまして、これは具体的にコメントは差し控えることをお許しいただきたいと思います。
 ただ、一般論として、国連の安全保障理事会で何らかの措置が決定される場合におきましては日本としても憲法の範囲内で責任ある対応というものをとるべきであろうというふうに考えておるところであります。
 なお、必要最小限度の自衛権の行使以外の武力行使を禁止している憲法の制約のもとでの協力か行わないということで、これは国連の方針が決定された場合であってもという前提でお話でありました。
 北朝鮮に対する制裁につきましては、先ほど申し上げましたように、現時点でこれについて具体的なことについてお話しすることはお許しいたかきたいと思います。そして、先ほども申し上げ生じたように、やはりどういう場合でも憲法の範囲内で責任ある対応をとるという考えであるということであります。
 なお、国連の枠外で米国の軍事活動への協力は許されないと考えるが所見いかんということであります。
 先ほどからもう既に申し上げているとおりでありまして、仮定の問題では申し上げることはやめますけれども、一般論として言いますと、我が国として米国の活動に対しまして協力する場合におきましても、これはいかなる状況にありましてもあくまで憲法の枠内で行われることは浜本議員のおっしゃったとおりであろうというふうに私も考えるところであります。
 また、国連常任理事国に入らなければならない理由は何か、入って何をしようとするのか、国民的な議論を喚起することが必要ではないかということでありますけれども、冷戦終えん後の今日、国連の役割というものは新しい世界の紛争の状況その他の中におきまして新しいニーズというものが生まれてきております。その意味で、国連の機能というものを一層強化していく必要があるという点におきましては、私は国際的にも広い合意があるものであろうというふうに考えます。
 安保理の改組に関する動きもそのような背景のもとにこれは活発化したものでございまして、御案内のとおり、昨年の十二月に国連の改組にかかわるところの作業部会というのがつくられ、たしかもう百カ国以上の国々がそれぞれ意見を表明されておるわけでございまして、そういう中にあって平和の中で今日の繁栄というものを築いてきた日本として、世界の平和と安定のためにどのような責任を果たすかが国際的に問われているのではなかろうかというふうに考えます。
 我が国は、これまで一貫して平和主義、そして国連中心主義、この理念を堅持して実践してきたところでございまして、常任理事国になるということは我が国が過去に蓄積した平和のための実績ですとかあるいはノウハウ、憲法の平和主義の理念を生かして真の平和の構築のために主体的に責任を果たすことであろうというふうに考えておるところであります。
 いずれにいたしましても、常任理事国の機能というのは皆さんもう御案内のとおりでありますけれども、ともかく国連の常任理事国というところでいろんな、例えば環境問題にいたしましても人口の問題にしましても、ここで多くの方向というものが実は定められてしまっておるということ、そしてこれは戦勝国が今常任理事国になっておるという中にあって、我が国のような国がこの中で一つの役割を果たすことというのは、今新しい時代の国連の中で求められているものじゃなかろうかというふうに私は考えておるところであります。
 今申し上げたことにつきましては、私は、これは外務大臣の職にありましたときにも国会ですとかあるいはマスコミのインタビューあるいは講演、そういったところで常にお話ししてまいったところでございまして、今後ともそういったつもりで国連というものに我々は寄与してまいりたいということはぜひともひとつ御理解をいただきたいというふうに存じます。
 また、包括協議に向けての政治的リーダーシップ、官僚主義というものを排したリーダーシップというものが求められているというお話でありました。
 現在、冷却期間にある日米包括協議の個別分野の交渉につきましては、日米双方とも交渉のドアはオープンという立場にございます。自分も細川内閣時代からこの問題には深くかかわってきておりまして、その重要性はよく理解しておるつもりであります。今後ともいろんな機会をとらまえまして交渉再開の糸口を精力的に模索していきたいというふうに考えております。
 その際、政府といたしましては、これは不調に終わったその日、これは私自身が各担当者を明け方でございましたけれども集めました。そのときに私から申しましたことは、今回は不調に終わったけれども、しかしこの問題が起こっている原因というのはやはり日本が大きな黒字というものを積み上げていること、しかもこれが非常に長い期間積み上げておるという現実、こういう中でこの問題が起こってきた、この事実を我々は直視しなければいけないんだということ。その意味で、いわゆるよそから言われたからということではなくてみずからがやるんだということ、これは実は私自身が主張してまいったことでございまして、官僚主義ということではなくて、我が国自身、国民の生活の向上という視点にも立って、これはまさに我々が主体性を持ってやるべきであるということを申してまいったわけでございます。
 このような観点から、一日も早くこういった交渉を成功させるために、鋭意大変な議論を重ねながら、今、日米間の窓口といいますか、この窓口はあいておりますから、今度この打開のための糸口というものを探っておるということをこの機会に御報告申し上げたいと思っております。
 景気の現状及び円高の影響についてでありますけれども、景気の現状を見ますときには、公共投資は堅調に進んでおると思います。また、住宅投資というものは高い水準で推移しております。個人消費は、いろんな商店その他の皆様方の御努力もありまして、やや持ち直しておる。あるいは個人のストックというものは、やはり一つの循環的なものにきておるというようなこともございまして、動きが見られるというふうに思います。ただし、設備投資のストックというものはまだ高いところにあろうということで減少が続いておりますし、また企業収益というものやあるいは雇用状況、これは依然厳しい状況にあるという認識をいたしております。
 このように、我が国の経済というものは一部には明るい兆しが見えてきたというものの、総じて低迷が続いておるという認識であります。
 円高の影響につきましては、一般論として申し上げれば、プラスとマイナスの両面があるということでありますけれども、急激な円高というものは輸出産業の円建ての手取りというものを減少させると同時に、企業収益を圧迫するということから企業活動に悪い影響を与え、我が国の内需拡大のための努力を阻害する懸念があります。
 こうしたことを踏まえまして、政策に対する市場の信頼を確保するためにも、政府といたしましては税制改革の実現に最大限の努力を払う一方、二月に決定した総合経済対策の着実な実施、また平成六年度予算の一日も早い成立を図るとともに、規制緩和を初め対外経済改革要綱に盛り込まれた事項の具体化に努めていくことが急務であろうというふうに考えておりまして、私どももこの円高の状況というものを十分注意しながら、適切な対応をしていきたいというふうに考えます。
 公共料金の引き上げ幅の圧縮や実施時期の延期についてでありますけれども、現下の厳しい経済状況のもとで、公共料金の取り扱いについてさまざまな御意見が寄せられていることはただいまお話があったとおりであります。
 私どもは、従来の方針、考え方を整理して体系化し、また本年四月、政府として初めて統一的な「公共料金の取り扱いに関する基本方針」、これを打ち出すことによりまして公共料金の厳正な取り扱いの趣旨を一層徹底するとしたところでございます。
 現在のところ、御指摘のあった個々の問題も含めまして、幾つかの公共料金の引き上げの申請が出されておりますけれども、これらについては現在政府部内で厳正に審査を行っているところでございまして、この結果について、今どれとどれをどういうふうにするということについては申し上げられる段階でないということはお許しをいただきたいと思っております。
 予定されている公共料金の値上げに対する対処方針ということでありますけれども、政府といたしましては、公共料金については経営の徹底した合理化を前提として、物価及び国民生活に及ぼす影響を十分考慮して厳正に取り扱うことといたしております。
 今お話がありましたように、国民が不況の中でリストラを図っている中で公共料金をあれすることは慎むべきだという御指摘はそのとおりであろうと思います。
 ただ問題は、今申し上げたような中で、いろんな公共料金を扱う機関におきましては、やはりいろんなリストラを図る、そして値上げというものを延ばし延ばしにしてきた現状というのも踏まえなければならないだろうというふうにも思います。しかし、これも真にやむを得ないものに限るとともに、その実施時期ですとか改定幅につきましては極力調整していかなければいけないとの認識は新たに持ちます。
 先般の物価問題に関する関係閣僚会議におきまして「公共料金の取り扱いに関する基本方針」これを取りまとめたところでございまして、国民に理解のいただける適正な公共料金が確保されるよう私どもとしても努力をしてまいりたいというふうに考えます。
 なお、雇用政策の問題でありますけれども、失業状況は、景気の長期にわたる低迷を反映いたしまして厳しい状況が続いておることは御指摘のとおりであります。
 このような厳しい状況に対応するために、去る二月に決定した総合経済対策、平成六年度の予算におきまして雇用支援トータルプログラムの実施など積極的な雇用対策を盛り込んだところでありますけれども、今後とも雇用情勢の迅速かつ的確把握に努め、こうした雇用対策が効果的に実施されるよう全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 それと同時に、景気の回復というものを図っていくこと、そして新しい雇用を開発すること、これが大事なことであろうというふうに考えておりまして、規制緩和等もこの一つであろうというふうに考えておるところであります。
 さて、租税制度は国民の声を十分に聞き、民主的プロセスのもとで議論を深めることが不可欠と考えるが、見解いかんということであります。
 これは再三申し上げてまいりましたけれども、活力のある豊かな高齢化社会を目指して、個人所得課税の軽減と消費課税の充実を柱とする税制改革を年内に実現することは緊急に取り組まなければぱならない重要な課題であり、国会で全会一致で議決が行われていることを踏まえれば、その速やかな実現は今や国民的課題であろうというふうに考えております。
 政府としては、税制改革の具体案づくりに向けまして、国民の皆様の御意見に十分耳を傾け、税制調査会の審議を進めていただきながら、先般の各党間の確認事項に沿って与党の協議会においても引き続き協議を進めていただくとともに、これまで税制改革の実現に向けましてともに協議を進めてきた社会党やさきがけの皆さんを初めとして野党の皆様方にも御検討を進めていただきながら、各党会派の御理解と御協力をいただいて六月中に成案を得て、ぜひとも年内に税制改革の実現を図りたいというふうに考えておるところであります。
 いずれにいたしましても、これはどのような方法で国民の理解を得られるかということについては、私どもも積極的に対応をしていきたいというふうに思っております。
 また、税制改革につきまして、国民の合意、理解を得るためにどのような措置を講じ、国民の理解を得られたとする基準に何を据えるのかというお話でありますけれども、やはり税制調査会、このメンバーの皆さんは幅広い分野からお集まりいただいております。そういう中でいろんな角度から御意見をいただくということ、そういう意見というものを反映させながら審議が進められるとともに、こうした審議の状況につきまして各種の媒体を通じまして国民の皆様に知っていただくことが意義深いものであろうと考えております。
 きのう街頭等でお話をいたしましたのも、こういった問題についても今まで私どもは、税制しかも増税を伴うことについては国民には余り声をかけなかったというのが現実でありました。しかし、なぜ今必要なのか、どうしてこんなことをしなければいけないのかということを率直にお訴えし、そしてそういう中でいろんな声もいただいております。
 また、私どもといたしましては、例えばいわゆる平成の目安箱なんということで政策提言というものもファクスによっていただいたりなんかもいたしております。こういう努力というものを積み重ねていく必要があろうというふうに思っております。また、国民の方々の御意見を直接聞くために各地でヒアリングを行うこともしていきたいというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、そういった御意見を踏まえながら答申を税制調査会でも取りまとめていただき、私どももそういうものをもとにしながら対応していかなければいけないというふうに考えております。ぜひともこういった問題につきまして、非常にこれは難しい、痛みを伴う問題でございますので、また皆様方のいろんな意味での御指導あるいは御鞭撻も賜りたいと思います。
 また、歳出削減の努力あるいは行政改革、そして歳出構造のリストラ、こういったものについての決意についてのお尋ねであります。
 行政改革につきましては、税制改革のいかんにかかわらず不断に進めていくべきものと認識をいたしております。今後ともこの行政改革、これを強力に推進していく、勇断をもってこれを進めていかなければいけないというふうに考えます。
 ただし、この臨調・行革審の答申等を受けまして、これは自民党時代から改革の努力というものは行ってきたところでございまして、行財政改革による歳出の削減というものを量的なものとしかも短い期間の中に多大なものを期待するというととは、なかなかこれはできないということについてもぜひとも御理解をいただきたいと思っております。
 いずれにいたしましても、引き続き健全な財政運営を確保して公債残高が累増しないような体質をつくり上げていくという財政運営の基本的方針を堅持していくことが重要でありまして、今後ともあらゆる経費につきまして制度の根本にまでさかのぼった見直しや施策の優先順位の厳しい選択を行うなど、徹底した洗い直しに取り組み、財政改革を強力に推進していく考え方であります。
 ウルグアイ・ラウンド合意後の農政の改革の方向についてという御指摘でございました。
 ウルグアイ・ラウンドの農業協定の実施に伴う影響を最小限に食いとめるとともに、我が国農業の将来展望を切り開き、二十一世紀に向けた農業構造の早期実現を図ることは、我が国農業の発展の上で何よりも肝要と考えておるところであります。
 政府といたしましては、今回のウルグアイ・ラウンドの農業協定の実施に伴います問題、そして後継者難という現実をも含みまして、国内対策については昨年閣議了解された基本方針に沿って農政審議会の議論も踏まえながら農業の本当の意味での体質強化あるいは地域活性化対策等の所要の対策について進めていかなければいけません。
 今お話のありました中山間地帯、これについては今デカップリングのお話もあったわけでありますけれども、ヨーロッパの中でも実はいろんな問題が起こってきております。ですから、こういった問題についてま、本当こそこで雇用の場といいますか、きちんと収入を得られるような場というものをむしろ支援していくことも大事なんじゃなかろうかというふうにも考えております。
 こういった問題も引き続き考えると同時に、やはり国際競争力、こういったものなんかについても我々は考えなければならないということで、お話がありましたように、抜本的な対策というものを考えるときであろうということに私も同感であるということを申し上げたいと思っております。
 なお、国際競争力のためには農業基盤というものがさらに強化されていくということ、これが重要なことであろうというふうに考えておりまして、平成六年度の予算におきましてもこういったものの対応をすると同時に、五年度の補正予算につきましても対応をしてまいったところでございます。今後とも、生産基盤整備の着実な推進など農業生産性の一層の向上を進めることにより、可能な限り国内の供給力の維持強化を図ってまいりたいというふうに考えます。
 この中で自給率が確保されるのかという実はお話もあったわけでありますけれども、自給率ということになりますと、いわゆる畜産のえさ、こういったものに対してどう対応するのかということがあろうかと思いまして、私どもといたしましては自給力を強化することが大事なんだろうというふうに思っておりまして、基盤整備というものは大変重要な問題であるというふうに思っております。
  米などの基礎的な食糧について備蓄を含む自給体制の確立ということであります。
 これは国土資源の制約のある我が国におきまして、現在の豊かな食生活を今後とも維持していくためには、国内生産、輸入及び備蓄などを適正に組み合わせて食糧供給を行っていくということが必要であろうというふうに思っております。
 特に、国民の主食であります米につきましては、不作の経験からいたしましても作柄の変動に対応し得る安定供給というものが必要であるというふうに考えておりまして、水田営農活性化対策の見直しを行うと同時に、平成八年度の米穀年度末の在庫数量を百三十万トン程度とすることを目途として七万六千ヘクタールの緩和等を考えました。二百万トンという実は御議論もあるところでありますけれども、かつてこれは二百万トン、しかし豊年の年が出てきますと途端にこれが大変な過剰になってしまって、これを処理するために大変なお金を使ったということも私たち考えなければならないことであろうというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、ウルグアイ・ラウンドの農業合意というものを踏まえながら、安定的な国内生産と国民への安定供給を確保できるよう、中期的な観点に立った備蓄を含む米管理システムというものを真剣に検討していくべきときであろうというふうに思いまして、皆様の御理解を賜りたいと存じております。
 なお、捜査資料を公開して経緯を明らかにすべきということでありますけれども、国会の国政調査権の行使に対しましては、政府といたしましても法令の範囲内でできる限り協力すべきものはしなければいけないというふうに考えております。ただ、捜査資料の公開等につきましては、法令上の制約があることはもう既に御案内のとおりでありますけれども、御理解をいただきたいというふうに存じます。
 なお、定数是正法の成立を期するほか、参議院の選挙制度改革につきまして検討を進める必要があるが、こうした改革に協力していく決意はあるかということでありますけれども、既に与野党間で検討委員会が設置され、来年の通常選挙を念頭に置きながら定数是正を含めて検討が進められていると承知しておりまして、速やかな成案づくりに向けまして各党各会派で十分御論議を深めていただきたいと考えております。各党各会派の合意が得られた場合には、政府といたしましても当然これは尊重していきたいというふうに考えるところであります。
 終わりに、私どもは、強権的な政治を進めていくという御指摘もありましたけれども、そういったことではない、本当の対話というものを十分尊重した政治を進める、これが我々少数政権のなしていかなければならない姿勢であろうということを認識しながら対応してまいりたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣藤井裕久君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 羽田孜

speaker_id: 3201

日付: 1994-05-16

院: 参議院

会議名: 本会議