羽田孜の発言 (本会議)

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○国務大臣(羽田孜君) 政治改革とは小選挙区制の導入で完了するということかというお話でございますけれども、国民の政治への信頼回復のため具体的行動を起こしていく必要があると考えております。その第一歩として、衆議院議員選挙区画定審議会の勧告に基づきまして、いわゆる区割り法を早期に成立させ、このことによって腐敗防止策の強化拡充等をも含みます選挙制度及び政治資金制度の改革を早期に実現させることが重要というふうに考えております。
 また、加藤大臣の問題についての御指摘がありましたけれども、国政の場におきます幅広い経験を有しておられる方々に職務を遂行していただくという方針のもとに御入閣いただいたものでございます。加藤大臣は、昭和四十二年に衆議院に当選されて以来、北海道開発庁長官、国土庁長官、農林水産大臣を初め数々の要職に就任された立派な方でありまして、いわゆる農林水産業をめぐります困難な状況の立て直しのために農林水産大臣として最も適任と判断したものでございます。
 また、細川前総理の証人喚問も含めた疑惑の徹底解明についてということでありますけれども、御指摘の細川前総理の問題につきましてはたびたび申し上げておりますけれども、あくまでも前総理御自身の私的な問題でございまして、私といたしましては、との前総理の決断というものを潔い身の処し方として重く受けとめているところであります。
 なお、前総理の証人喚問につきましては、これは国会の中でお決めになることでございまして、私からこれについて申し上げることではないというふうに思っております。
 なお、間接税の引き上げを中心とした税制改革の抜本改革、すなわち消費税の税率引き上げをという話であります。これは再三申し上げますけれども、活力のある豊かな高齢化社会を実現するためには、社会を支える勤労者に過度の負担がかからないよう、個人の所得課税の軽減と消費課税の充実を柱とし、社会の構成員が幅広く負担を分かち合い、福祉政策など積極的な展開にも適切に対応し得るバランスのとれた安定的な税体系、これをつくることが必要であろうというふうに考えます。
 年内に実現を目指します税制改革は、このような考え方のもとで進めているものでございまして、初めに消費税ありきといった態度をとるものではないことはぜひとも御理解をいただきたいと思います。
 税制改革につきましては、国会で全会派一致で議決が行われていることはもう既に御案内のとおりであります。
 なお、消費税の税率引き上げは撤回すべきということでありますけれども、個人所得課税の軽減と消費課税の充実を柱とする税制改革を年内に実現することは、やはり緊急に取り組まなければならない重要な課題であり、国会で先ほど申し上げたように全会一致で議決が行われていることを踏まえれば、その速やかな実現というものは一つの国民的な課題であろうというふうに考えます。
 政府といたしましては、税制改革の具体案づくりに向けまして国民の皆様の御意見に十分に耳を傾け、税制調査会で審議を進めていただきながら、先般の各党間の確認事項に沿いまして与党の協議会におきましても引き続き御協議を進めていただいて、各党派の会派の御理解と御協力を求めながら六月中には成案を得て、ぜひとも年内に税制改革の実現を図りたいというふうに考えながら、皆様の御協力をお願い申し上げたいと思っております。
 また、NPTの無期限延長を支持する理由でございますけれども、我が国は、国際的な安全保障を確保するため、核不拡散体制を安定的なものとする観点からNPTの無期限延長を支持するものでありまして、これ以上核兵器国をふやすことは絶対に避けなければならないことであるというふうに信じます。
 他方、NPTの無期限延長は、核兵器国による核保有の恒久化、これを意味するものではありません。我が国は、引き続きすべての核兵器国に対しましてNPTの第六条、核軍縮交渉義務でございますけれども、この規定に従って一層の核軍縮努力を行うよう促していく考えでありまして、これこそ唯一の被爆国として主張すべきことであろうというふうに私は信じます。
 北朝鮮に対し制裁を強行する法的根拠、また、国連の決議もないのに日本は無条件に制裁措置に従うということを言明しておるということでありますけれども、北朝鮮の核兵器開発は我が国を含みます北東アジア地域の安全保障上の重大な懸念であるだけではなくて、核不拡散体制や国際社会の安全保障にかかわる重大な問題であり、北朝鮮に対し核兵器開発に対する国際社会の懸念を払拭するよう強く求めていくのは当然のことであろうというふうに考えます。            他方、御指摘の北朝鮮に対する制裁につきましては、国連安保理において議論さえされておらず、そのような状況のもとで具体的なことを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますし、私は従来もこのことを申し上げてまいったわけであります。
 湾岸戦争の際の多国籍軍の海上封鎖への参加は武力の威嚇に当たるかということでありますけれども、湾岸戦争の際の多国籍軍による事実上の海上封鎖とは、平成二年八月二十五日の国連安全保障理事会の決議六百六十五号を受けて行われた措置のことを指しておるものと考えられますが、これに参加していない我が国として、これが武力の行使または武力による威嚇に当たるどうか等について確定的なことを申し上げる立場にはないというふうに申し上げます。
 次いで、日米、日韓が共同して緊急の事態に備えるということで、米軍に対する輸送や補給、洋上給油などの協力を行うことについてでありますけれども、政党間の確認事項によって政府として云々すべき事柄ではないが、北朝鮮に対する制裁については、国連安保理にて議論されてない現段階におきまして、自衛隊の米軍に対する協力といった仮定の問題を政府が論ずることは差し控えたいと思います。ただ、一般論として申し上げますと、我が国として米国の活動に対して協力する場合においては、憲法の枠内で行われることになるのは当然であるということであります。
 有事立法を推進するのかということでございますけれども、与党の中で発言をされたことを政府として確認するということではございませんけれども、北朝鮮の核兵器開発問題に関しましては、現在、対話によって解決する努力、これが行われておるところでございまして、これもまさに仮定のお話であり、具体的なコメントは差し控えたいと存じます。一般論としては、私どもは、憲法の範囲内で責任ある対応をとる考えであるということだけを申し上げさせていただきます。なお、集団的自衛権の行使は憲法上許されないという御指摘でございますけれども、私どもが申し上げてまいりましたのは、国際法上、国家は集団的自衛権を有しているものとされております。我が国が国際法上集団的自衛権を有していることは主権国家である以上当然ではありますけれども、憲法第九条のもとにおいて許容されている自衛権の行使は我が国を防衛するため必要最小限の範囲にとどまるべきものであると解しておりまして、集団的自衛権を行使することはその範囲を超えるものであって、憲法上許されないと考えております。
 集団的自衛権の問題につきましては、政府は従来から一貫して以上のように解釈しており、この解釈を変更する考え方はありませんことについては、もう再三申し上げてきたとおりであります。
 また、日本国憲法は国連憲章の根本精神に照らして先駆的な意義を持つものであるがということであります。日本国憲法が掲げる平和主義の理念、は国際紛争を平和的手段によって解決することを旨とする国連憲章の原則にも基本的に合致するものというふうに理解しておりまして、将来にわたってこの理念を堅持すべきものであるというふうに私も考えております。
 また、法務大臣に任命した責任は重大であるということでありますけれども、御心配をかけたことについては恐縮に存じます。
 この六十六条第二項は、「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」と規定しておりますけれども、ここに言う「文民」とは、旧陸海軍の職業軍人の経歴を有する者であって、軍国主義的思想に深く染まっていると考えられる者、自衛官の職にある者以外の者を言うものと解されております。
 永野前法務大臣につきましては、軍国主義的思想の持ち主でないことは、今日まで政治行動をともにしながら明確に私はそのことを感じております。この文民の解釈に関する従来からの政府統一見解の考慮につきましても、この問題について議論した上で実は任命したものであるということであります。
 再三述べておりますとおり、この発言というものは大変遺憾でありますけれども、同氏の辞任、そして歴史認識についての私の考え方の表明や諸外国への説明によりまして理解が得られつつあるということを私は確信しております。
 また、佐藤・ニクソン会談の密約の内容と経過、そしてこれを国会に報告するようにという御質問が続けてあったわけでありますけれども、御指摘のような密約は存在しておらないということを申し上げたいと思います。
 沖縄返還交渉に際しての核持ち込みにかかわる問題は、日米間で極めて明確に確認されておるところでありまして、密約の当事者とされております佐藤総理大臣自身を含む歴代の総理大臣、また外務大臣が、密約は存在してない旨国会の場で繰り返し明らかにしていることはもう御承知のとおりであります。したがって、御指摘のような調査や報告といった問題はそもそも生じ得ないというふうに申し上げざるを得ません。
 また、少数意見を排除しない比較的公正な民意を反映する現行中選挙区制のもとで早期に解散、総選挙を行うことということでありましたけれども、私ども新内閣は決意も新たにして取り組んでまいりたいというふうに考えておりまして、このため、私は誠心誠意を尽くして政府の責任者として重責を果たしていくという考えを持っております。
 特に、政治改革の推進は最重要課題の一つでありまして、第一歩として、新内閣としては衆議院選挙区の画定審議会の勧告を尊重して関連法を早急に提出し、可能な限り早い時期にその成立を目指し、次回総選挙が新制度のもとで実施できるよう努力していく考え方であります。
 細川内閣のもとで既に国民に対しお約束した諸々の政治改革が新しい選挙制度とともに実施されることとなっておりまして、現行中選挙区制のもとで総選挙を行うことは、これまでに行われてきた政治改革への努力を大きく後戻りさせることにならざるを得ない点をこの際強く申し上げざるを得ません。
 残余の質疑につきましては、関係大臣から答弁させていただきます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣柿澤弘治君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 112915254X01719940516_017

発言者: 羽田孜

speaker_id: 3201

日付: 1994-05-16

院: 参議院

会議名: 本会議