佐々木良夫の発言 (厚生委員会)
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○佐々木良夫君 私は、本日の公聴会で日本社会党の推挙によりまして意見を申し上げることになりました連合宮城の事務局長の佐々木であります。きょうは、そういう意味で、宮城県内の勤労者、労働者を代表しての御意見を申し上げたいというふうに思います。
実は、本題の年金問題に入ります前に、私たち労働者が全国組織でつくっております全労済といういわゆる労働者福祉事業団体があるわけですが、ここに加入をしている約四千八百人ほどの会員を対象に、現在の暮らしと老後の生活ということで、昨年の十月アンケート調査を実施をしました。
その結果、現在一番不安なことは、また一番不満なことはという質問に対しまして、不安なことの第一位は、将来に備えた預金や保険、そして年金が不十分なことだというのが第一位でありました。第二位には、家族や自分の健康ということが答えられています。それでは不満なことはということにつきましては、税金や社会保険料が高いことだ、これが不満であるという回答が実はありました。
それでは、これから改善あるいは充実させたいことは、こういう質問に対しまして、当然ながら、老後の備えということが約六六%でありましたし、第二に健康管理という答えであったわけであります。
それでは、老後の生活についてどの程度不安を抱いているのかという数字的な結果を見ますと、多少不安とかあるいは身近な問題として不安がある、こういうことを合わせて七三・六%の人が老後の生活に不安がある、こういう数字が出ました。
それでは、ゆとりある老後生活を営むためにどのくらいの生活費が必要ですか、こういう質問に対しまして、第一位は、三十万円から三十五万円というのが二三・四%です。第二位に、二十万円から二十五万円、一八%の方が答えています。平成五年の総務庁の家計調査によりますと、高齢無職世帯の実支出は一カ月二十六万四千円でありますから、ほぼ実態に近い控え目な必要金額を答えているかと思います。
参考までに、連合本部が昨年の六月高年齢者の生活実態調査を行いましたが、その際、ゆとりある老後生活の必要経費はという質問に対しまして、三十六万六千円ということが答えとして返っています。
一方、平成四年の厚生省の国民生活基礎調査によりますと、高齢者世帯で、所得のすべてを公的年金や恩給のみで賄っているという世帯は約四七%にすぎません。その他の方は、当然預金あるいはその他の個人年金と併用と考えられます。参考までに、公的年金だけで十分と答えられた方は、全体で一%にすぎませんでした。
以上、これらの考え方に対しまして、現役労働者の不安材料はやはり何といっても老後の生活であり、そして、望んでいることは充実した公的年金の制度であるというふうに考えられます。そういう観点から、年金改正問題につきましては、十分御審議の上、我々労働者の意見を十分反映するようお願いを申し上げたいというふうに思います。
まず、今回の年金改正案に対します総体的な考えてありますが、年金は世代間の助け合いによる老後の所得保障制度でありますし、その柱であると思います。私たち勤労者にとっては、年金は、できるだけ少ない負担でできるだけ多い年金を受け取れば一番いいのでありますが、今日の高齢化社会に伴って受給者も年金費用も大きく膨らみ、一方では支え手が少なくなってきていますので、将来を見据えた対応が必要だと考えます。
今回の年金改正法案では、前回の一九八九年、平成元年の改正時に提案されました改正案とは異なりまして、私たち勤労者の意見を反映した部分もあります。その面では評価できる内容も含んでいるというふうに考えます。しかし、六十歳代前半の年金、いわゆる別個の給付について定年・雇用と年金の結合が不十分である点や、基礎年金の国庫負担の引き上げを見送っている点など、基本的課題については、残念ながら私たち勤労者の期待に十分こたえているとは言い切れない内容になっております。
したがいまして、今回の改正案に対しましてこれから申し上げます五つの修正と三つの補強について、ぜひ御検討の上、実現していただければ幸いというふうに考えます。
まず、その修正の第一には、六十歳から六十四歳の別個の給付につきましては、定年後に働くことを希望しても働く場所がないなど、働くことが困難な場合には現行どおり満額の年金を支給する措置をとっていただきたいという内容であります。
昨年八月、労働省調査の六十歳から六十四歳までの有効求人倍率は〇・〇八であります。つまり、定年後働き続けたいと思っていてもなかなか仕事が見つかりません。したがって、新制度の導入は、希望すれば少なくとも六十五歳まで働けるような社会の仕組みが整うまで実施すべきでないというふうに考えます。今回の改正案では、六十五歳になるまでの年金は現在の半分程度、四十年加入で月十万前後になっているわけですが、これでは老後のゆとりある生活は送れないということにつきましては、先ほどアンケート調査の結果で申し上げた数字からも明らかだろうというふうに思います。
第二に、在職老齢年金については、在職者に対する一律二〇%の年金カットを撤回していただきたいということであります。
改正案は、賃金の増加に応じて賃金と年金の合計額が増加するよう改善されることは評価できるものの、就労時の所得保障のあり方や就労促進への諸対策などを踏まえて十分検討を加えるべきというふうに考えます。在職者の二〇%の年金を停止することは、短時間労働や小日数労働への誘導効果が働き、フルタイム労働など多様な選択を阻害することにつながり、現行制度の持つ問題点を引き継ぐおそれがあるものであります。したがいまして、一律二〇%カットは撤回していただきたいというふうに考えます。
第三に、雇用保険の失業給付受給者に対する年金の支給停止については、少なくとも六十歳代前半層の雇用機会の確保と公的年金制度の一元化の展望が明らかになるまで実施しないでほしいという修正であります。
改正案では、平成八年、一九九六年四月から、雇用保険の失業給付を受けていると年金がストップされます。失業給付と年金とでは受ける理由が相反することになりますし、また、社会保障財政の適正化という観点からも、併給調整をするという考えそのものは合理的と言えます。しかし、定年後働く場が少ない現状の中では、多くの勤労者にとっては定年後の唯一の生活費となっているのが現実であります。こうした現状を御理解をいただき、少なくとも今日の雇用環境の改善が見きわめられるまで、また公的年金の一元化の展望が明らかになるまでは実施を見送っていただきたいということであります。
第四に、雇用保険制度に新設される高年齢雇用継続給付と年金の調整については撤回をしていただきたいという点であります。
雇用保険改正により、来年四月から、定年後の賃金が定年時より一五%以上低い場合には、六十五歳になるまでの間、賃金の一定割合が雇用保険から支給されることになりました。しかし、この高年齢雇用継続給付を受けていると、年金は賃金の一〇%分カットされてしまいます。これでは定年後の賃金に雇用保険で足し算をして年金で引き算をすることになり、高年齢雇用継続給付を新設した意味が半減してしまいます。したがいまして、雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整は撤回していただきたいというふうに考えます。
第五に、新制度については、次期財政再計算(一九九九年までに実施)時に、高年齢者雇用と基礎年金の国庫負担の状況を踏まえて見直すことを明記をしていただきたいということであります。
新年金制度は六十五歳まで働くということが前提になっていますが、まだ、だれでも六十五歳まで働けるという環境にはなっていません。特に、労働省調べの有効求人倍率も先ほど申し上げましたし、あわせて、宮城県の平成五年の調査によりますと、六十歳定年がまだ七六・一%にしかなっていません。それから、五十六歳から五十九歳の定年が八・一%、五十五歳以下がまだ一〇・六、一割以上もあります。六十一歳以上の定年は五・二です。こういうことから考えましても、まだ六十歳定年すらも固定されていないという現状を踏まえて、ぜひ御検討いただきたいというふうに思います。
また、年金財政の安定度合いは国庫負担の割合に大きく左右されます。したがって、新制度は、一九九九年に予定されている次期財政再計算時に高年齢者雇用と国庫負担の状況を踏まえて見直すことが不可欠であり、このことを法の中にはっきりと明記することが必要というふうに考えます。
以上が五つの修正をお願いする部分です。
続きまして、三つの補強する部分でありますが、まず第一に、基礎年金の国庫負担率の引き上げを明らかにしていただきたいという点であります。
現在の基礎年金の国庫負担率は三分の一になっているわけですが、少なくともこれを二分の一程度に引き上げていただきたい。そのことによって将来の保険料率は二六%台になろうというふうに思いますし、国庫負担率をさらに三分の二まで引き上げますと、三二%台に抑えられることにもなるわけであります。そのための財源などについては、確実に減少していく恩給財源の組み入れや間接税の重点投入などによって確保することが可能だろうというふうに考えますので、今回の改正では国庫負担率引き上げの目標と道筋を法律の中にしっかりと明記するように求めていきたいというふうに思います。
第二に、福祉ビジョンの明示であります。
去る三月に厚生省は二十一世紀福祉ビジョンを発表しまして、福祉社会への理念と方向性を明らかにしましたが、基礎年金の国庫負担の引き上げや具体的な介護システム、総合的な子育て支援の内容などは盛り込まれていません。これからの年金のあり方を決めるに当たっては、社会保障の給付と負担の具体的な将来推計や社会保障全体の中での年金制度の位置づけなどについては、一省庁としてではなく、政府全体として国民が納得できるようビジョンを示すことが不可欠であろうというふうに思います。
第三に、高年齢者雇用ビジョンの明示であります。
去る六月に労働省は中期雇用ビジョンを発表しましたが、高年齢者雇用ビジョンという観点からは不十分であります。年金改正に当たって、政府は、二十一世紀初めには希望すればだれでも六十五歳まで働けるようになる高年齢者雇用ビジョンを国民に示す必要があるのじゃないかというふうに考えます。
以上が三点の補強の内容であります。
最後に、年金問題の国会審議が国民の目に見える、重要な法案にふさわしい十分な審議を尽くされるようお願い申し上げまして、私の発言を終わりたいと思います。
以上であります。