保岡興治の発言 (政治改革に関する調査特別委員会)

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○保岡議員 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
 いよいよ今国会において衆議院議員の選挙区の区割り法が成立し施行されれば、本年一月の国会で成立したいわゆる政治改革関連四法も全面的に施行され、六年以上にわたり七つの内閣が取り組んできた、時代の大転換期を乗り切る日本の新しい政治の創造が本格的に進む土台ができることになります。
 ここで、我々は、何ゆえこの大きな政治改革が起こったか、もう一度その原点に立ち返るべきであります。それは、七年前、竹下内閣のもとで火のついたリクルート事件等による国民の政治に対する徹底した不信感の高まり、議会制民主主義の崩壊の深刻な危機感にあったと思います。
 このような政治におけるたび重なる不祥事は、個人の政治に対する倫理観の欠如だけではなく、政治にお金のかかる構造的な側面があることも無視できない点であります。そして、その元凶は、だれが考えても、日常活動と称する地盤培養の行為と、選挙そのものに国民の常識を超える法外な資金がかかることにあるのは間違いありません。第八次選挙制度審議会の答申にも、我が国においては、選挙の腐敗が後を絶たず、これに対する国民の根強い不信感がある一方で、他方、これを放任、許容する土壌があることも否めない旨の指摘がなされているところであります。
 そこで、このような政治と選挙の世界に住みなれた意識や体質のままで新しい選挙制度に足を踏み入れても、現行の中選挙区制度のもとでの政治の弊害を本当に克服できるか、かえって事態は今までより悪くならないか、各方面から強い疑問が寄せられるのも当然なことであります。我々が実現を目指す選挙制度改革を柱とする政治改革が、明治維新以来の大改革であると言われながら、いま一つ国民の支持の盛り上がりに欠けるのも、そのあたりに大きな理由があるのではないでしょうか。
 およそ政治改革を標榜する限り、それは政治家と有権者の意識革命を伴うものでなければならないことは当然であります。したがって、この際、選挙についても革命的な意識の改革を促す思い切った腐敗防止策を講ずることが、政党本位、政策本位の選挙を目指す政治改革の推進とその実現にとって、画竜点睛の意義を有するものであることを強く確信するものであります。そこで、選挙運動の末端の責任者が一人でも買収等の選挙違反を犯せば、候補者の当選無効と一定の立候補資格が剥奪される制度をつくることがぜひとも必要であります。かかる制度のもとで初めて、候補者みずからが選挙浄化の先頭に立たざるを得ず、選挙違反は政治生命を失うことに直結し絶対に割に合わないことを応援してくださる方々や有権者に御理解いただき、従来の選挙常識を根底から変えていくことが可能となるのであります。
 本案は、以上のような観点に立って、連座制を真に実効あるものとするための処置を講ずることとし、もって選挙における腐敗の防止を図るべく、ここに提案した次第です。
 次に、本案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一は、連座制の強化であります。
 連座制につきまして、本案では、候補者等の選挙浄化に対する責任を問うという新たな観点から、連座の対象者を選挙運動を行う組織体における末端の責任者にまで拡大し、公職の候補者等と意思を通じて組織により行う選挙運動において、選挙運動の計画の立案、調整または選挙運動に従事する者の指揮監督その他選挙運動の管理を行う者を「組織的選挙運動管理者等」として位置づけ、組織的選挙運動管理者等が買収罪等を犯して禁錮以上の刑に処せられたときは、たとえ執行猶予の言い渡しを受けても連座が適用され、候補者等の当選は無効とするとともに、連座裁判確定のときから五年間、当該候補者等の立候補を制限することにいたしております。
 次に、組織的選挙運動管理者等に係る連座制の免責について申し上げます。
 組織的選挙運動管理者等の選挙犯罪がおとり、寝返りによって行われたものであるとき、あるいはそのような選挙犯罪を防止するため候補者等が相当の注意を怠らなかったときは、連座制を適用しないものといたしております。このような場合は、候補者等と組織的選挙運動管理者等との関係において選挙浄化に対する責任を候補者等に帰することが妥当でないからであります。
 第二は、組織的選挙運動管理者等に係る買収罪等の刑の加重であります。
 組織的選挙運動管理者等は、選挙運動において占める地位の重要性にかんがみ、現行法における候補者、総括主宰者、出納責任者及び地域主宰者と同様に法定刑を加重することといたしております。これに伴い、刑事裁判において加重された罰条が適用されることによりその者が組織的選挙運動管理者等であることが明らかになりますので、その結果として、速やかな連座制の適用を実現することができることになります。
 なお、この法律は、公職選挙法の一部を改正する法律の施行の日から施行するものとし、衆議院議員の選挙については施行日以後初めてその期日を公示される総選挙から、その他の選挙については施行日以後公示されまたは告示される選挙から適用するものといたしております。
 以上が、公職選挙法の一部を改正する法律案の趣旨及び内容の概略であります。
 提案理由の説明を終えるに当たり、一言申し上げたいと思います。
 時代の大転換期に当たり、未来のすばらしい日本を築き上げるためには、国民の皆様に痛みの伴う改革をお願いすることを避けて通ることはできません。したがって、政治家みずからが毅然として身を正すことが強く求められております。本案と同様の精神に基づく議員提案をされた与党の各位に心から敬意を表するとともに、今国会において新しい腐敗防止制度が確立されるよう相協力し成果を得ることを心から期待するものであります。
 何とぞ、本案について御審議の上、速やかに御可決あらんことを心からお願い申し上げる次第であります。

発言情報

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発言者: 保岡興治

speaker_id: 16198

日付: 1994-10-20

院: 衆議院

会議名: 政治改革に関する調査特別委員会