甘利明の発言 (税制改革に関する特別委員会)
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○甘利委員 租特は、いい悪いという分類で分ければ、いい方だと思うのですね、いい方。では何がいけないかというのは、大臣おっしゃったように、その租特がちゃんと当初設定したときの使命を果たしているかあるいは果たし終わったか、あるいは新しい使命を果たしていくべき必要性が、新しい租特がこういう点で必要か、そういうおっしゃったようなスクラップ・アンド・ビルド、その見直しをちゃんとやっているかやっていないか。やっていなかったら悪いし、やっていればいい。租特本体は必要があって設定をされたものである。だから、租特イコール性悪説的な発想というのは慎む必要があると思います。
この間、過去の租特のスタートと終了の一覧表をちょっと見てみました。かなり、やはりスクラップ・アンド・ビルドをいろいろやっているのですね。国策自体が時代によってかなり変わってきております。
よく私は引き合いに出すのですけれども、通商の実態を記した通商白書というのがありますよね。日本の最初の通商白書というのは昭和二十四年に発行されているんですよ。今の立派なものから比べたら、本当にわら半紙の小冊子ですね、ぺらぺらぺらっとめくるともう終わっちゃうという。それを私、現物を見ました。非常に興味深かったのは最後のページなんですよ、最後のページ。
最後のページにどういうふうに書いてあるかというと、要するに、我が国は、国内経済を切り詰めても輸出に回さなくちゃならない。つまり、輸出か死かである。資源がない国ですからね。国内経済を切り詰めても輸出に回して外貨を稼いで、それで調達しなくちゃならない。輸出振興政策だったんです。で、租特も輸出振興に向けてどうあるべきかというのが主流だったんですね。
今は、この間まで通産省の標語は「手を結べ輸入で世界の国々と」というんでしょう。輸入振興。全く百八十度変わっているわけですね。租特自体も、輸入をどうやって振興していくか、製品輸入促進税制を初め、転換しているんですよ。時代時代によって役割を担ってきている。一覧表を見ますと、ちゃんとでき上がって終了して、新しいのができて終了している。きれいにある程度はスクラップ・アンド・ビルドが、かなりの部分できているんです。
租特で長いものもありますよ。研究開発に関する租特なんというのはかなり長いですね。しかしそれは、いってみれば本来日本の環境からして、人件費が高いわ地価が高いわ、いろんな意味で、高コスト社会の中で生きていくためには高付加価値政策をとらなくちゃならない。言ってみれば、特別措置というよりも基本政策に準ずるようなものですよね。だから長く続いている。やっぱりそれぞれかなりちゃんと理由があるな。大事なことは、租特は悪いんじゃなくて、時代時代の見直しとかあるいは創設とかをちゃんとやっているかどうか、そういう作業が行われているかどうかという観点だけだと私は思うのですよ。
この間、ある上場企業の副社長と話をする機会がありました。その企業は、近々ポルトガルに進出するんだと。で、もうポルトガルの近郊に土地を手当てをしているんだそうです。数千坪と言っていましたよ。甘利さん、幾らぐらいだったと思いますかと聞かれましたから、相当安いんでしょうね、そうやって大胆に行くんだからと言ったら、四千円ですよと言うんですよ、四千円。ああ平米四千円ですか、それでも安いですねと言ったら、全部で四千円だと言うんですね。おまけに向こうの政府は、十年間税金を払わなくていいですと。たった一つだけつけてきた条件は何かというと、そのかわり現地の人間の雇用四百人を保障してください、これだけだと。
だから、その企業の重役は、もうこれからは生産拠点は日本には一カ所だけしか置きません、あとは全部海外にシフトしますと。一カ所置くというのは、将来、日本経済ががたがたになって一挙に円安に振れたときに、生産拠点を一カ所だけは残しておいた方がいいから、その保険で置くだけです、あとは全部海外展開をしますと。まあするでしょうね、これだけ条件がよかったら。
今までしなかったのは、主に労働力の質の問題だったと思うのですよ。日本の労働力の質はいい、外はかなり悪いからこれを教育していくのが大変だ、だからコストは高くても日本の方がまあいいなと。しかし、海外の労働力の質はどんどんよくなっていますよね。特にアジアはもう急激に資質が向上していますよ。そうすると、こういうハンディキャップを背負って日本にいようというぎりぎりの思いが崩れちゃうのですよ。
そういう中で何とか支えるというのが、だから、ここで頑張っていくためにはいろいろ努力をしなくちゃならない、その努力に向かっためには、努力をした人にはインセンティブを上げましょうというのが企業租特なんですよね。そういう原点で設定をされてきたし、これからもそういう点で見直しは行われるべきだと思いますけれどもね。
ほっておけば、悪条件を強いられる国内から脱出しようという企業は後を絶たないですよ。それで、脱出する力もない企業しか残れないということになりますね。つまり、競争力のある企業は全部日本から出ていって、競争力のない企業が残るということになりかねないと思うのですよね。それに何とか歯どめをかけなくちゃならない、それに資するための租特でなきゃならないというふうに思っております。
今産業、特に製造業の空洞化にちょっと触れましたけれども、この製造業の空洞化と一体で言われている危機が資本市場の空洞化ですよね、大臣もよく御承知おきだと思いますけれども。現実にこれは同時進行をしているわけですよ。
大蔵大臣は、この資本市場の空洞化に対してどういう見解をお持ちですか。