滝上宗次郎の発言 (国民生活に関する調査会)

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○参考人(滝上宗次郎君) 御質問をいただいておりますと、先生は既にお答えを御存じではないのかと思ってしまいます。
 まず、規制緩和というものは大変痛みを伴うものであるということでございますけれども、確かに現在のように景気が悪い、失業者がふえているというところではなかなか難しい局面であります。一刻も早く景気を回復していく過程で、二十一世紀にいく前にあと五、六年しか残っていないわけですから、その中で雇用の問題といったものを少しずつ解決していかなければいけないと思います。五年、十年という問題じゃなくて、これは十年、二十年、三十年の問題ではないかと思います。
 それから、医療と福祉の入れかえにつきましては、私のレジュメのまず五ページ目を開いていただけませんでしょうか。
 厚生省の資料でございますけれども、真ん中の表に「高齢者の生活状況」というのがあります。これを見ますと、六十五歳以上の高齢者は千四百九十万人、在宅で千三百九十万人、施設の百万人となっております。施設の百万人を見ますと、病院に七十万人、老人福祉施設等に三十万人というふうになっています。こういう図のつくり方自体がおかしいわけです。例えば、人々がどこに住んでいるかというときに、ホテルに何万人住んでいるとは決して言わないわけです。病院というのは別に生活する場所でも何でもないわけです。なぜ病院というところに住んでいるというカウントをされるのかどうか。
 そもそもこれは九月十日ごろ厚生省がつくった資料ですけれども、こういった資料のつくり方一つ見ましても、病院が生活の場である、福祉の現場であるというふうに勘違いをしている。こういった原則的なところから直していかなければいけないと思います。
 それから、次の次のページを見ていただけますでしょうか。一番上に、老人病院と特別養護老人ホームの比較がございます。老人病院の方は月額三十五万から三十八万円ということです。特別養護老人ホームは月額二十五万円かかるということです。
 実は、これは厚生省の資料で、自己負担は老人病院では二万一千円ということですけれども、そういうことではありませんで、この東京周辺では自己負担は月に大体十二万円以上かかります。ですから、東京では大体月に四十五万円から五十万円お金がかかっているわけです。それから右側を見ますと、特別養護老人ホームは二十五万円かかっています。しかし、特別養護老人ホームの二十五万円には、建物の減価償却費とそこに住んでいる人たちの医療費が入っておりません。ですから、それを入れましてこちらでは約三十万円かかっているわけです。としますと、同じような要介護者が、片方の老人病院では四十五万から五十万かかっている、特別養護老人ホームでは三十万かかっていると、こういうふうに大変な不合理が働いております。
 同じ一人を施設に収容するにいたしましても月十五万円、年間にして百八十万差があるわけです。それで先ほどの図にありますように病院には七十万人生活しているということですから、百八十万円掛ける七十万人となるとどうなるんでしょうか。一兆円近いお金がむだに使われているということです。
 じゃ、なぜこんなふうに一兆円近いむだが平気で使われているかと申しますと、老人病院の方は保険からお金が出てくるわけですね。それから、特別養護老人ホームは税金からお金が出てくるわけです。そのためにこういうことになるわけです。
 要するに、過去の自民党の選挙を見ましても、自民党が福祉のために、福祉のためにというわけではありませんけれども、いろんなために増税をすると言ったときには過去必ず惨敗しているわけです。となりますと、どうしても日本人は増税は大嫌いだと。要するに、保険が上がるのは構わないけれども税金が上がるのは困ると。そういうことで大蔵省は考えるわけです。要するに、税金で賄う福祉施設はなるべくつくらないで、保険で賄う老人病院はたくさんつくろうじゃないかと。こういうふうに日本では医療と福祉が混同してしまって、そしてそのために、保険料も税金も全くお金に色がついていないのにもかかわらず、こんなふうに混同されて多額のむだな資金が使われている、こういった行政改革をぜひ行わなければいけないと思います。
 それから、先生は公設・民営とおっしゃいましたけれども、これが今後の将来を決める上で大きなポイントになろうかと思います。といいますのは、やはり介護というようなもの、社会保障というものは国の財源、公的なお金で賄わなければとても値段が高くて必要な人に必要なサービスが行われません。ですから、これはやはり公費を使うということです。しかし一方で、それを供給する主体は、私は民営でも構わないと思っています。
 例えば、私の住んでいるすぐそばに武蔵野市がありまして、ここはどういうことをやったかといいますと、最初自分のところの公務員で入浴サービスをやっていたんです。自分のところの市役所の公務員に入浴サービスをさせますと、一日三軒しか回ってこないというんです。三時過ぎになって一軒終わるともう次のところへ行かないで帰ってきちゃう。それで武蔵野市は何をやったかというと、同じお金を民間業者に払った。民間業者に払いますと一日三軒だったのが五軒回ってくるというんです。要するに、五時になって、終業時間になって、そしてそこで働いている者が終わったところで引き揚げてくるというんです。同じお金を使っても、民間人を使うのと公務員を使うのでは全く働き方が大きく違う。働く人の身分保障という問題もありましょうけれども、大きな福祉財源をどのように効率的にうまく使うかというのは今後の大きな議論ではないかと思います。
 それから、中山間部の問題でございますけれども、これは経済原則で成り立っているところではなかなかないわけなんです。こういうところで農業が行われることによって緑が保たれ、そこに村落が保たれている、生活があるといったことがあると思います。この辺に関しましては、私は、農業の問題と同じで経済原則だけを当てはめるのではなくて、どういうふうに中山間部を残していくのかといった違う視点が必要ではないかと思います。
 ちょっと私よくわからないので、最後の質問ははしょってしまいました。失礼いたしました。

発言情報

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発言者: 滝上宗次郎

speaker_id: 1791

日付: 1994-11-09

院: 参議院

会議名: 国民生活に関する調査会