滝上宗次郎の発言 (国民生活に関する調査会)
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○参考人(滝上宗次郎君) 私の得意分野を御質問していただきましてありがとうございます。
まず、シルバーマークでございますけれども、私はあれには何の根拠もないと思っております。要するに、かなり抽象的な基準で決めているだけでございますから、あれには根拠が余りないと思います。
それから、この間総務庁の行政監察報告がございまして、総務庁はその勧告書の中で有料老人ホームに関するシルバーマークについては一言も述べませんでした。逆に申しますと、シルバーマークのついているホームを調査したところ、そこがよくなかったということなんですね。ですから、厚生省との間で裏取引があったのかどうかわかりませんけれども、総務庁の発表の中にはシルバーマークについては言及されなかった、これが一点です。
それから、シルバーマークというのはたしか三年に一回再チェックがなされると思います。過去、十幾つの有料老人ホームにシルバーマークがついておりますけれども、これは数年前、バブルのころについたわけです。その十幾つのシルバーマークがついたホームが、ここへ来まして皆その更新時期を迎えています。先ほども申しましたように、この業界はバブルが崩壊してかなり悪くなっておりますから、このシルバーマークをつけたところが、ここで三年たってくるところが多いんですけれども、そのチェックの際に果たしてどういうふうに厚生省は態度を決めるのかなと。
というのは、バブルが崩壊しちゃってお客が来ないから、ちょっと経営的に危ないからシルバーマークを引き揚げちゃうのかといいましたら、シルバーマークを見て入った人たちは、これはパニックですよね。じゃ、相変わらずちょっと調子悪いけれどもつけ続けようかといったらシルバーマークの意味もなしませんですね。ですから、やはりこういう思いつきみたいな、お札を張れば片がつくといったような問題というのはおかしいと思います。やはり厚生省が経済官庁でないということからこういう安易な問題が出てきたのではないかと思います。
それから、倒産問題につきましては、これは大変な問題なんですけれども、現在、不動産業界がこれだけ傷んでおりますからどのぐらい潜在的に倒産問題があるかというのはよくわかりませんけれども、やはり準備はしていなければいけないと思います。
私、思うんですけれども、これ倒産した場合、だれも助けることができないんですね。有料老人ホームというのは非常に国が安易に始めてしまった、要するに消費者を守る法律も何もつくらずに始めてしまった。
それから、先生方は御存じでしょうか。五%という基準というものがございまして、有料老人ホームの入居者、例えば百人入居者がいるとすればその五%、五人がぼけたり倒れるんですよというふうな基準で介護システムをつくってくれ、こういうふうに厚生省の方からの指導があるのです。しかし、これはとんでもない話で、どこの有料老人ホームももう一〇%、一五%、私どもはオープンして十一年ですが、約二割の方がもう要介護者なんですね。ぼけている人だけで七人いらっしゃるのです。ということは、当初経営者は厚生省の指導を信じて、百人入ってきたらそのうちの五人が寝たきりだとかそうなるんだ、それをもとに計算しているんです。ですから、私は、たくさんの人が要介護者になって経営が圧迫されている、これは行政にも責任があるのではないかと思います。
それから、さらに大きな責任は何かといいますと都道府県です。都道府県の中には自分の県下、都下、府下にある有料老人ホームの決算書をとっているところがあるのです。東京都とかそういった都道府県が各県下の有料老人ホームの決算書をとっているならば、それはもうそこが経営的に問題があるならば、私はストレートにそこの行政の責任が重いと思います。というのは、毎年毎年の決算書をとっていてその業績の浮沈を見ているわけですから、それについて何もしなかったということは私は許されないと思います。
決算書を出せと言うところは税務署とそれからお金を貸してくれる銀行だけなんです。要するに、行政、地方自治体が決算書をよこせと言った以上は、私はそれなりの責任がそこにあり、そしてホームが倒産したとき入居者を救うためにはもう行政にすがるしかないと思っております。そういう意味で行政責任は重い、また行政責任が重いということで有料老人ホームについてより一層の推進とか抜本的な解決策というものをお願いしたいと思います。
それから、ドイツについて申し上げますと、ドイツは極めて有料老人ホームの経営が安定しています。理由は何かと申しますと、土地の値段が安いですから、入居一時金が安く上がるということもありますけれども、初期の建物をつくる段階で多額の公費の援助があります。それから、公的介護保険制度がドイツではこの四月、国会を通りまして、来年から公的介護保険制度が実施されます。特に、再来年になりますと保険料率が一%から一・七%に上がりまして、上がった再来年からは、ドイツの場合、有料老人ホームに対して公的介護保険制度が付与されます。こうした形で経営を安定化させていくということが重要だと思います。
冒頭申し上げましたけれども、日本というのは一番土地の値段が高い、一番人件費が高い、こういったところで純粋に一〇〇%お客様だけのお金で有料老人ホームを運営できるのかどうか、その根本の経営問題にまで立ち入った抜本策が必要ではないかと思います。
以上でございます。