与謝野馨の発言 (文教委員会)

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○国務大臣(与謝野馨君) 第百三十一回国会におきまして文教各般の問題を御審議いただくに当たり、所信の一端を申し述べさせていただきます。
 来るべき二十一世紀に向けて、国民一人一人がゆとりと潤いのある生活を実感し、多様な個性を発揮しながら自己実現を図ることができるような社会をつくっていくために、文教行政の果たすべき役割はますます重要になると考えます。
 私は、文教行政を担当する省として、このような使命に思いをいたし、文教行政各般の推進に全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。また、このために、教育や学術を未来への先行投資と位置づけつつ、文教予算の充実確保に一層努めてまいります。
 以下、主要な課題について、基本的な考えを申し述べます。
 第一の課題は、個性の尊重を目指す教育改革と生涯学習社会の構築であります。
 生涯学習の振興のため、多様な学習活動の展開を図るとともに、社会人を対象としたリカレント教育やボランティア活動の支援などの施策を積極的に推進します。また、放送大学については、放送衛星を利用した全国化の実施に向けて準備を進めてまいります。
 初等中等教育においては、みずから学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力などの育成を重視する教育の実現に取り組みます。また、総合学科、単位制高校の設置や職業教育の充実など魅力ある高校づくり、高等学校入学者選抜の改善と中学校における進路指導の改善充実などに積極的に取り組むとともに、環境教育や理科教育の一層の充実を図ってまいります。さらに、道徳教育や生徒指導の充実、国旗・国歌の指導等についても引き続き推進するとともに、学校週五日制については、実施の過程で出された課題の解決を図りつつ、その着実な推進に努力します。
 さらに、初任者研修等の充実により教職員の資質の向上に努めるとともに、公立学校の教職員配置の改善を着実に進めてまいります。また、義務教育教科書無償給与制度は今後とも堅持してまいります。
 高等教育においては、戦後最大とも言われる大学改革が進行中であります。カリキュラム改革、大学院を中心とした教育研究の水準の向上、大学入試の改善、教育研究環境の改善充実などに積極的に取り組んでまいります。また、理工系教育の魅力向上に取り組むほか、育英奨学の充実を図るとともに、昨今の学生の厳しい就職状況等にかんがみ、就職指導の充実などに一層努めてまいります。
 私立学校については、その役割の重要性にかんがみ、私立学校振興助成法の趣旨に沿って、その教育研究条件の維持向上と修学上の経済的負担の軽減等を図るため、私学助成の確保などに努めてまいります。
 第ニの課題は、人類の知的創造活動としての学術研究の推進であります。
 大学については、研究施設設備の老朽化・狭隘化・陳腐化、研究費の不足など研究環境の劣化が指摘されており、その改善充実を図ることが緊急かつ重要な課題となっております。
 我が国が、今後、科学立国として発展していくために、科学研究費補助金の大幅な拡充、大学の教育研究施設設備の改善、若手研究者の養成確保など、学術の振興のための総合的な施策の推進に努めてまいります。
 第三の課題は、スポーツの振興であります。
 広島における第十二回アジア競技大会は成功裏のうちに終了したところですが、長野オリンピックを初め、今後も我が国で行われる国際競技大会の開催支援と日本選手の競技力向上を図るとともに、国民のスポーツニーズの多様化を受けて、いつでもどこでもスポーツを楽しめる生涯スポーツの振興が重要な課題となっています。さらに、プロスポーツに対する国民の関心も一層高まっております。
 このため、スポーツ振興基金による助成を含め、スポーツ施設の整備充実、すぐれた指導者の養成確保、各種スポーツ事業の推進など、諸施策の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。
 第四の課題は、「文化発信社会」の構築を目指す文化行政の新たな展開であります。
 我が国の伝統文化を継承しつつ、文化の発信と交流を通じて国際社会に貢献するとともに、「文化発信社会」の構築に向けて積極的に文化政策の展開を図ることが極めて重要な課題となっております。
 このため、国立文化施設の整備充実や第二国立劇場の開場に向けての諸準備などを着実に進めるとともに、すぐれた芸術創作活動の推進や若手芸術家の養成の充実に努めてまいります。また、地域における文化の振興に係る各種の施策や文化財の保存と活用のための諸施策を推進してまいります。
 最後に、国際化の一層の進展と情報化社会に対応するための文教施策の積極的な推進であります。
 教育、学術、文化、スポーツを通じて国際交流を推進し、国際社会に貢献していくことは極めて重要な課題であります。このため、ユネスコ、OECD等の国際機関を通じた教育協力や途上国への援助、協力を推進するとともに、留学生交流、研究者交流や国際共同研究の充実等に努めてまいります。また、アジア諸国を初めとする海外の文化遺産保護に関する協力等を積極的に推進してまいります。
 また、情報化の目覚ましい進展に適切に対応するため、情報教育を一層推進し、ソフトウェアや教育方法の研究開発、情報ネットワークの整備等を図ってまいります。
 以上、文教行政の当面する諸課題について所信の一端を申し述べました。
 文教委員各位の一層の御理解と御協力をお願いいたします。

発言情報

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発言者: 与謝野馨

speaker_id: 23890

日付: 1994-10-27

院: 参議院

会議名: 文教委員会