則定衛の発言 (法務委員会)
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○則定政府委員 引き続きまして、捜査処理の具体的内容等について御説明いたします。
第一は、オウム真理教関係者による事件の捜査処理の概況についてであります。
検察当局がオウム真理教関係者によるものと把握している事件につきましては、地下鉄サリン事件が発生した本年三月二十日以降、六月六日までの間、東京地方検察庁ほか三十数庁において、延べ三百名以上の人員を受理しております。
このうち、六月六日までに、延べ約九十名を公判請求しております。その内訳は、別表のとおりであり、主な罪名は、殺人、殺人未遂、殺人予備、逮捕監禁、営利略取等であります。
第二は、主な事件の具体的な捜査処理状況についてであります。
その一は、地下鉄サリン事件についてであります。
東京地検におきましては、地下鉄サリン事件に関し、本年五月十七日以降、殺人及び殺人未遂の被疑事実で麻原彰晃こと松本智津夫ほか三十三名の送致を受けました。同事件につきましては、その全容の解明に向けて現在なお捜査中でありますが、これまでの捜査の結果、松本智津夫ら多数の者は、共謀の上、山梨県西八代郡上九一色村所在のオウム真理教施設内にサリン製造設備を設け、原材料等を購入して、同施設内においてサリンを生成していたものであり、地下鉄サリン事件は、こうして生成されたサリンを、松本智津夫の指示を受けた者が地下鉄内で発散させて敢行したものであることが判明いたしました。そこで、東京地検におきましては、六月六日、地下鉄サリン事件の謀議及び実行行為に関与した松本智津夫ら七名については殺人罪及び同未遂罪で、また、地下鉄サリン事件の謀議及び実行行為への直接の関与は認められないものの不特定多数の者の殺害を目的としたサリン生成等に関与していた九名については殺人予備罪で、それぞれ東京地方裁判所に公判請求いたしました。
殺人罪及び同未遂罪の公訴事実の要旨は、麻原彰晃こと松本智津夫ら七名は、ほか多数の者と共謀の上、いずれも東京都内の営団地下鉄霞ケ関駅に停車する同地下鉄の電車内にサリンを発散させて不特定多数の乗客等を殺害しようと企て、上九一色村の教団施設内においてサリンを生成した上、本年三月二十日午前八時ころ、東京都内を走行中の営団地下鉄日比谷線、千代田線及び丸ノ内線の電車内計五カ所において、床に置いたサリン在中のナイロン・ポリエチレン袋を先端をとがらせた傘で突き刺し、サリンを漏出気化させて電車内等に発散させ、各電車内またはその停車駅構内等において、多数の乗客、営団地下鉄職員らをしてサリンガスを吸引させるなどし、よって、十一名をサリン中毒により死亡させて殺害するとともに、千百六十八名に対してサリン中毒症の傷害を負わせたが、殺害の目的を遂げなかったというものであります。
殺人予備罪の公訴事実の要旨は、森脇佳子ら二名は、麻原彰晃こと松本智津夫らと共謀の上、サリンを生成し、これを発散させて不特定多数の者を殺害する目的で、平成五年十二月下旬ころから同六年二月中旬ごろまでの間、上九一色村の教団施設において、五塩化燐、弗化ナトリウム、イソプロビルアルコール等を用いて、サリン約二十キログラムを生成し、また、渡部和実ら七名は、麻原彰晃こと松本智津夫らと共謀の上、同じ目的で、同五年十一月ころから同六年十二月下旬ころまでの間、同教団施設等において、サリン生成化学プラントを設計・完成させ、サリン生成原料を同プラントに投入して作動させてサリンの生成を企て、それぞれ殺人の予備をしたというものであります。
なお、地下鉄サリン事件に関しましては、なお相当数の被疑者を勾留して捜査中であり、近日中にさらに処分がなされる予定であると承知しております。
その二は、逮捕監禁事件等についてであります。
主な事件の公訴事実の要旨は、上九一色村の教団施設等において、教団を脱退して自宅に帰ることを希望した女性信者に対して、頭部等を多数回殴打するなどの暴行を加えた上、麻酔剤等の薬物を注射して意識障害状態に陥らせるなどして、同教団施設及び付近に設置されたコンテナ内に監禁したというもの、山梨県内の駐車場において、女性信者に対し、背部及び両足を抱きかかえるなどして自動車内に押し込んだ上、上九一色村の教団施設に監禁したというもの、東京都内の路上において、教団信者の長女に対し、背後から羽交い締めにするなどして自動車内に引きずり込んで逮捕した上、同女を上九一色村の教団施設等に監禁したというものなどであります。
その三は、営利略取等事件についてであります。
主な事件の公訴事実の要旨は、教団信者の実父から多額の全員を提供させたり、同人の預金等を不法に領得するため、同人を略取してその行動を制約しようと考え、宮崎県内において、就寝中の同人に対し、薬物を用いて半昏睡状態に陥れた上、自動車内に押し込み、上九一色村の教団施設に連れ込んで略取したというものなどであります。
そのほかに公判請求した事件としては、車両に隠匿していた小銃部品を他の車両に積みかえてさらに隠匿する目的で、東京都内の建物内駐車場にみだりに立ち入ったという建造物侵入事件、教団が被害者であるように装う目的で、松本智津夫が代表者である東京都内の会社店舗内に、点火した火炎瓶を投てきして発火炎上させたという火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反事件、いわゆる公証役場事務長逮捕監禁事件の犯人を石川県内のホテル客室及び貸し別荘等に宿泊させてかくまい、あるいは、その間、婦人用かつら等を供与して変装させ、さらに同人の顔面に整形手術を施してその容貌を変えるなどしたという犯人蔵匿・隠避事件、上九一色村の教団施設等で発生した監禁事件等の犯人に同施設内の秘密地下室を隠匿場所として使用させるなどしたという犯人蔵匿事件、教団顧問弁護士が、東京都内において、記者会見を行い、山梨県内の会社社長が上九一色村の教団施設にサリン等の毒ガスを噴霧していたとして、同人を殺人未遂罪で告訴した告訴状写しを配布した上、同人経営の会社から継続的に毒ガスが噴霧されていることが確認されているなどと発言し、公然、内容虚偽の事実を摘示したという名誉毀損事件などがあります。
以上が、主な事件の具体的な捜査処理状況であります。
警視庁を初めとする警察当局においては、オウム真理教にかかわると思われる各般の事件について、捜査を進めているものと承知しておりますので、各地の関係検察庁におきましては、今後とも相当数の事件を受理し、捜査処理を行うことになるものと思われます。検察当局としては、事案の全容を解明し、法と証拠に基づき厳正な処分を行うため、引き続き、万全の態勢で捜査処理を行っていくものと承知しております。
以上が、地下鉄サリン事件等オウム真理教関係事件の検察庁における捜査処理に関する報告でございます。